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第97話 カレーは辛い

 冒険者ギルドで依頼を受けた帰り、何かいい匂いがする…


 懐かしいお腹の空く匂い、これは…


 貴族街でかげるものではないと思っていたが、これはすごい…前世の記憶が駆け巡るが今は何よりもそれをかきこみたい…


 目的の場所はあった…レストラン?開店前だ…いや知らん行くしかない…仮にスパイスが他の方面に特化されているのなら、自分でカレーを完成させなきゃいけなくなる…それは無理!ただルゥーは欲しいから結局作らなきゃいけなくなるかもしれないが、0からムリ…


 ここにそのヒントが…!!!


「頼もぉぉ!!」

「仕込み中だ!!帰れ!!ガキ!!」

「頼む!カレーを食わせてくれ!!!」

「ダメだ!うちは夜しかやってないんだ!帰れ!」

「お願いします。一口だけでもいいんだ!なんでもする!だから!!」

「………そうか…ならまず掃除からやってくれ…!」

「おお!任せろ!!」


 オレはホールからキレイにし始めた…ホコリを立てないように丁寧に早く仕事をしていく。トイレをやった後に報告してからいつから浸かってるのかわからない皿洗い!!キッチンの清掃もしつつカレーの匂いを嗅ぐ…


 すごいよだれが零れそうだ…


「そんなに喰いてぇのかオレのカレーを!」

「あぁ、まだ食べたことないが食べたい!」

「ふふっ、そうか、なら最後に表の掃き掃除に行ってこい!!終わったら食わせてやる!」

「よっしゃ!!」


 オレは気合を入れて表の掃除をした。建付けの悪い看板も直し、割れたガラスを直し、側溝に詰まっていた落ち葉を取り払い、壁も含めてピカピカにした。


「おやっさん!終わったぞ!」

「よしっ!!席つけ!食らわせてやるぞ!とくと味わえ!!」

「おっしゃあ!!」


 カレーだ!!カレー!!具は豚バラか?芋…人参、玉ねぎ…オーソドックスの化身か!このオッサン!!


 パクッ………!!


「ん?」


 …これは……


「辛ぇぇぇぇぇ!!!!!なんだこれぇぇぇ!!!」

「ふははは!!どうだ!ガキんちょ!!うちのカレーの味は強烈だろう!!」

「なんだこれは!?こんな辛いなんて聞いてねぇぞ!!」

「ああ?なんだ?これ食べたくて来たんじゃねぇのか?カレーは辛ぇに決まってんだろ!!」

「こんなもん味もクソもあるか!!うま味もなく野菜から甘みを感じられるわけでもない!オレはこんなカレーをカレーと認めない!!」


 オレはそう言ってその店を飛び出した!!


「決めたぞ!カレーを一から作ってやる!!ほとんどわからねぇが香辛料の店を探して色々試してやる!まずはスプマンテに聞かなきゃ!!!ああ!ヒリヒリする!つーか痛ぇぇ!!あのクソ店主がああ!!!」



 香辛料のお店から回ることにした。


 カレー屋で食べた時に鑑定魔法で使われた香辛料は記憶しておいたので、それを探してみる。シードと呼ばれる乾燥状態の植物とすでに粉状になっているモノ…わからん…


 なんだこれは?


 とりあえず必要そうなものをそれなりの量買い込んだ…高い…


 屋敷に戻り厨房に行くとすぐに料理長に追い出された。ついでにトムも追い出された…


「お嬢さまの慰めメニュー組んでるので試作やらは外でやってくだせぇ!」

「ええ!!料理長!!!自分も?!!」

「仕方ないな…いつも通り裏庭でやろうz」



 裏庭にいつも通りキッチンを作り、結界で風が入らないように、匂いで他の人間を惹き付けないように工夫して厨房を整える。


「てなわけでカレーを作ります!」

「なんすか?カレーって?辛いんすか?そんなに香辛料を使う料理なんて砂漠の国でしか聞いたことないですよ…」

「それだ!ヤンドとかいう国の料理だ…ただその国は分量がテキトーな分味が不安定なんだよ!あたりを引けるかどうか運しだいだ…そんなものを料理とは言わん!美味しさが上下するなんてありえない。常に美味い料理を作るべきだ!!」

「な…なんか熱意がすごいっすね…でもわかります。自分にもそのくらいの考えは身に付いてます!」

「よしっ!じゃあ始めるぞ!!」


 だがカレーの作り方は正直シラン!なのでスプマンテ先生に書いてもらったメモを準備!そしてかつての前世で読んだらしいカレー作りの記憶も引き出して新たにカレーをそしてルゥーまで作ることにした。


 辛いのはそこまで好きではないのでチリペッパーはスパイス5%、あとはターメリック、クミン、コリアンダー、カルダモン、オールスパイスを調整してナツメグやクローブス、ガーリックパウダーも準備する。


 具材には玉ねぎやジャガイモ、ニンジン、鶏肉を用意…


 トムに具材を炒めさせ、こっちはスパイスの比率を試していく…


 ターメリックは色付けらしく、基本的な香りはクミンやコリアンダーらしい…このあたりが基本として整えていく。取り寄せた書物ではターメリックが4割を占め、3ずつのクミン、コリアンダー、辛みのチリペッパーが5%、あとは他の香辛料を加えて調整していくもの…


 てなわけで数%ごとに記録しながら確かめていく…かつての味を求めて料理の旅へ!!!



 ◇◇◇


 来る日も来る日もカレーの研究は続いた…あの頃の美味しさにならなかった。塩も入れ忘れるカレー作りあるあるをかましつつ、時間をかけてカレーを研究した。


 気付いた時には冬は終わり、ぽかぽか陽気の日が続くほどだった‥


 だがここにカレーは完成した!急いで米を炊き、カレーライス用の皿を準備!いざ、実食!!


「くぅぅぅう~~美味い!最高!いや!最&高!!」

「これがカレー…なんか死ぬほど時間かけて、これでそんな変わるかな?とか思ってたけど、すごいっす!野菜の甘み、バターと牛乳を加えたまろやかさもある!決して辛すぎないうまさ!!そしてこの米!今まではそこまで有難みが分からなかったけど、これはもうすごい、完璧!ズッ友宣言してやがる!!」

「分かってんなぁぁぁ~~!!やはりお前は最高の助手だぜ!トム!!」

「恐縮です、マイク様!!」


「マジで美味いですぜ!坊ちゃん…これは食べれば食べるほど次が欲しくなりますぜ!酒ありますかい?」

「ですなぁ~!米も軽視してましたが腹に溜まりますし、エネルギー補給にも向いてますし、辛さも調整できるんですよね…いいですね!」

「マイク様!これは素晴らしいです。もっと辛くしてください!お願いします」


 アーロン、ライアン、ラヴェがそれぞれ喜んでくれた…うむ、よかった…


 ルゥーの方も作れた…小麦粉などを用いてスパイスを調整して、甘みとしてチャッツネをペースト状にして加え混ぜて固めて完成させた。これでいつでも美味しくカレーを楽しめるようになった…うおおお!!!


 よしあの店に喧嘩を売りに行くぞ!!!


 カレーを持ってあの店を目指したが…


 すでに潰れて他の店が営業をしていた…


 うん…だろうね……

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