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第96話 伯爵令嬢誘拐事件

 毎年行われている王国騎士団正規雇用試験だが、今年は別の場所で行われたらしい。


 前回森を吹き飛ばしたせいかと思ったが、毎年変えているらしい。一瞬ドキッとした…


 そんなわけで今年も新しく王国騎士団として採用された人たちがおり、争いがない世界ではあるが魔物などの脅威に対抗するために毎年騎士団員は増えていっている。


 はたしてすべて管理できているのだろうか?もちろん事務員なども毎年雇用しているが非戦闘員をそこまで雇えるのだろうか…


 王国のシステムが分からないので気になるところであったが、この間訓練所を訪れた時に聞いたのは管理魔法で素行や実績が分かるようになっているらしい。

 記録する側も特定の人間ではなく管理魔法によって指名されるようで不特定多数が対象となるため不正のしようがない…


 なんか難しいシステムなんだな…そうしてまた騎士団訓練場から巣立っていく。


 ブレシア、カタリナ、ゴージャスは第2騎士団に所属しているのでよく会えるのだが、時期が悪いと辺境騎士団に行かなければいけないかららしい…オブライエンの元にいたケンドールがまさにそのタイプだったみたい。


 人に歴史あり…だな


 なぜこんな話をしているのかというとノヴァリリス姉上の近日中の婚約が内定しそうだからだ…

 お相手はもちろんサニヴ・オブライエン伯爵令息…


 その際に連れていく騎士の雇用などめぼしいのがいたら父に知らせてほしいという依頼をもらったためこうしてわざわざ騎士団についていろいろと調べているのだ…珍しくも…


 これで将来伯爵夫人の座が確定的になった。はたして王都から離れられるかは疑問ではあるが、姉上は良くも悪くも言いなり人間っぽいし、逆らうことはないと思っていた…


 数日後屋敷は騒々しく人が行き会っていた…


 姉上が失踪した…


 書き置きには『探さないでください』と残っており、現在捜索中ということになった。オブライエン家にも連絡したが来ていないということらしい。


 母上が体調を崩し、父上は仕事で帰ってこれていない…すぐに連絡は行ったはずだがどうなることやら…


 ラヴェが聞いた話ではオブライエン家にお茶会に出かけてから戻ってきていないらしい…現在夕方くらいなので攫われてからはかなり時間が経つ…御者をしていたライアンもいなくなっているので馬車ごといかれたみたい…もしくはライアンが裏切ったか…


 それにしてもナナがついているはずなのでその万が一という可能性すら難しい。あの人もラヴェくらい強いはずだし…なにが起こっていることやら…


 とりあえず一人ぼっちのオルの元に行き、世話をした。メシも厩舎で食べ、戻ろうとするとオルが寂し気にしていた…仕方ないので縮小の魔法をかけてみたらかわいいぬいぐるみみたいな姿になった…

 部屋に連れていき、一緒に寝ることになった…ファンタジーやな…


 朝は明け兄たちは屋敷の落ち着くことのない様子を見ながら出かけていった…今日は馬車もないので歩いていくかとも思ったが、ライラ嬢とレキシー嬢が拾いに来ていた…二人も心配してくれているらしく不安げな顔を浮かべていた…


 庭にアーロンの姿はなく、おそらく探しに出ているのが分かる。カフェで働くキキョウも捜索に駆り出され、父も昨日から帰ってきていない…


 このメンツに追われて見つからないなんて誘拐でしかないな…個人的な逃避行で逃げ切れる訳ない…


 さてさて誰か怪しい人はいるだろうか…


 まぁ一番にあげるとすれば婚約者候補だった人たちだよな…嫌がらせか?

 シルバーホーク侯爵家のシュトラウス、サドラ―子爵家のアスコット、ゼダーン伯爵家のダブリン、もしくは…オブライエン伯爵家の対抗派閥か…不穏分子か…


 王都内に気配察知使ってみるか?探知の方がいいのかな…そぉ~れ!!


「ぐぉぉぉ!!頭痛ぇぇ!!!こんな副作用あんのかよ!!これ直でやらずに他のデバイス挟んだほうがいいわ、キツイ!!!情報量で頭イカれる!不特定多数がオレの頭をパンクさせに来てる…」


 でもわかったことがある…すでに救出はされている…というか父上もいる。アーロン、ライアン、ナナ…

 大丈夫そうかも…場所は…っと…んん?


 王宮?


 何ごとだ?


 これは…


 関わらないのが吉だな…知らん知らん…オレには関係ない。はい、オッパピー


 しばらくして屋敷内は安堵を取り戻し、母上がその報告を聞き駆け付けようとして周りが困り始めた。


 オレはオルを連れて遠出をすることにした。ラヴェはたぶんいるでしょ…王都から一番近い遠浅の海岸に来て寒いなと思いながら過ごした…お茶が美味いな…



 ******

 報告書


 第13回騎士団試験に関する追記事項


 試験不合格者の中から場所が変わったことによる苦情が届いたがこちらがその要望を無下にしたことでその矛先が去年の問題を起こしたイングランディーレ家に向かうこととなった…


 イングランディーレ家伯爵令嬢ノヴァリリス様が乗る馬車を襲撃後、捕縛


 しかし事件は終わらず、そこに偶然を装ってゼダーン伯爵三男ダブリンが現れる。そのまま保護の姿勢でノヴァリリス様を誘拐、異変に感づいた侍女が交戦を開始、その騒ぎを聞きつけたお忍び王女とその護衛たちで事態を収束させる。


 この事件で問題を起こした騎士団見習いの無期限の騎士団試験の不受験、騎士団並びに王宮に関わる仕事への採用は全て不受理することが決定。さらに半年の謹慎処分となった。


 続いてゼダーン家三男ダブリンは事件の関与を否定、しかし証拠としてノヴァリリス様の部屋に見つかった謎の書き置きからゼダーン家所有の紙とインクであることが判明、これによりダブリンには貴族籍のはく奪と数年の社会奉仕が決定した。


 以上


 王国騎士団特別任務部隊 パステル

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