第9話 チーズケーキを食べよう
料理人下っ端トムという男がいる。彼はラヴェと同じ年でイングランディーレ家の厨房で働いている。ラヴェがここで働くときに同時についてきた不運な子でもあった。
何が不運なのか、それはイングランディーレ家三男マイクに連れ回されることがである。
本日も彼はマイクに連れられて貴族街のスイーツ通りに連れてこられていた。
着いたのはケーキ店だ。マイクたちが食べに来たのはチーズケーキ!甘さを控えめ、塩味も感じれるスイーツである。
「マイク様チーズケーキだけで何種類頼むんすか?」
「君も食べるんだよ、何が使われているのか食べながら当ててね」
「いや、そんなことできねぇすよ。チーズケーキはレシピも公開されれてますよ、レシピ本買ってくださいよ」
「鑑定魔法があるから原材料はわかるよ。いつでも再現できるようになってもらわないと困るでしょ、急にオレが食べたいって言ったら対応しないといけないんだから…」
「いや、この店で買ってくださいよっ!」
「いつまでも男爵家にいるわけじゃないんだから、覚えてくれないと…」
「え!?自分もついていくんすか?」
「え?逆にラヴェが来るのに君が来ないの?」
「うわっ、それはせこい!絶対雇ってくださいよ!それなら頑張ります!」
マイクはすでに男爵家を出ていく準備をしてはいるが、ラヴェが本当についてくるか分かっていない。こうして少しずつではあるが将来騎士になるか、宮廷魔導士になるか冒険者になるか地方の文官になるか楽に生きる道を探している。
「この下にあるのって何なんですかね」
「クッキーとかクラッカーみたいなものだね…それより作り方のほうが重要じゃない?」
「それは問題ないっす。試行錯誤なんで!」
「スパルタだね、頑張ってね食べ過ぎで太るなよ」
「メイドの皆さんにも食べてもらえば大丈夫っすよ!」
「よしっ!お土産も買っていこう!君が作ったといえば、今後期待が高まるから失敗できなくなってすぐ上達するね」
「絶対やめて!」
ケーキ店を出てからも胃がもたれない二人は気になるものを片っ端から買っていった。荷物は当然収納魔法、この魔法の欠点は質量が失われないことであるが、マイクは重力魔法でそれを無効化する。
「トムの腕を上げるために他の食材も買っておこうか」
「マイク様の分は自分が作ってるんですよ。もはやマイク様専属扱いですよ。普段は下っ端の作業しかしてないのに…」
屋敷に戻り厨房でチーズケーキの試作品づくりを始める。
「スフレ、ベイクド、レア…大きく分けると3つだな…どれが一番作りやすそうだ?」
「なんでいるんすか?なんで手伝ってくれるんすか…?」
「将来ケーキ屋さんになるためだろうが!さっさと準備しろ!蒸したチーズケーキとか新しいのを作るんだよ!」
「えええ!!それメッチャいいじゃないですか!」
「アホォォォォ!それじゃチーズ蒸しパンじゃねぇかってツッコめぇぇ!ケーキの定義を忘れんな!」
「いや十分おいしそうでしょ!行けますよケーキ屋さん!」
テキトーな話をしつつ、クリームチーズを混ぜ混ぜ、砂糖と卵を入れてネチョネチョ、薄力粉、生クリーム、レモン汁を加えチピチピチャパチャパ、バターを溶かして加えドゥビドゥビダバダバ
ちょうどいい器を造形魔法で作って流し込む!オーブンにぶちこんでファンキーモンキードゥビドゥビドゥーンドゥーンドゥーンドゥーン…
続いて先ほど作った生地とメレンゲを用意する、生地を作る前に卵の卵黄と白身を分けておくものとする。
メレンゲはかき混ぜるのが面倒くさいので造形魔法で電動の泡だて器を作成…風魔法で回るギミックとする。はじめは加減が難しかったがすぐはねないように調整…あっという間にメレンゲを作れるようになった…試作品かき混ぜ君1号はとりあえず厨房に置いて置くことにしよう!
「ええぇぇぇぇ!なんすかそれ!僕にもください!どうなってるんですか!」
「えぇぇい!楽を覚えるな!若い時の苦労は買ってでもするものだろう!死ぬ気で混ぜろ!」
「いや僕より若いのになに言ってるんですか!どうなってるんですか?ソレ…」
「秘密だ…せめて風魔法が使えるようになってから言い給え!」
「ううぅ…悔しい…いいなぁ~風魔法…身体強化しかな…あ!身体強化使えばいいのか!」
「ふっ!ようやくソコにたどり着いたか…これからもそうして研鑽を続けてゆくがよいぞ!」
「なんで師匠面なんすか!?」
生地とメレンゲを混ぜ型に入れる。もちろん造形魔法!さらにトレーを敷き中にふきんとお湯を投入!
オーブンに入れる。
さらにさらにクラッカーを土台にするために粉々にしてバターを加え形を整えて冷やす!同じように生地を作るそして重要なゼラチン!これがないので片栗粉で代用!熱を入れてから冷やすと使えるらしい、使ってから失敗すればええねん!魔法で速攻準備し生地に加え、作った土台に生地を流す。
冷やして完成!
簡単にベイクドチーズケーキ、スフレチーズケーキ、レアチーズケーキを作った…
「うっぷ…ちょっともう今日はチーズケーキ食いたくなっす!」
「うん、オレもだ…よしっ…ラヴェに食べてもらおう!」
「お呼びでしょうか!?」
「「早っ!!!」」
一切れずつ用意して食べてもらった…
美味しいという言葉に思いがけず喜んだが隣でオレ以上にはしゃいでいるヤツがいて冷めた…
その後他の料理人も食べああした方がいいこうした方がいいとアドバイスがあり、チーズケーキはさらに強化されるのであった。
ちなみに料理人たちはチーズケーキより試作品かき混ぜ君1号に心動かされ強請られた…仕方ないので魔石をセットすれば十分使えるようなものを作ってあげたのだった…
世知辛ぇぇぇ




