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第83話 山

「今年は山だな!山に行こう!!」

「急になんですか?山は危険では?」


 成人したトムがたしなめてきた。今年に入り、ラヴェとトムが15歳を迎え、正式にマイク付きの侍女と専属シェフになっていた。専属シェフというの建前でもあり、マイクに振り回される便利なコマとして侍従内では認識されている。


「死ぬほど虫よけ手に入れてきたから大丈夫っしょ…ちょっと行ってくるだけよ」

「ご飯はどうします?」

「積んだから心配すんな…!準備してこい!」


 ラヴェとトムに出かける準備をさせて山に向けて空を飛んだ…謹慎食らうきっかけとなった渓谷に行くことにした。王都の領の端でほぼユニヴァース領、少し進むとロック鳥の棲み処のハゲ山があり、ゴリラとやらかした派手戦闘跡地が今も広がっている。ユニヴァース領では開拓せずに手に入れた場所でもあり、新しく産業の地区としたらしい。ゴリラの名前が地名になるとか…オレは?


 そんな感じで腹立つその場所にはいかず手前の渓谷でゆっくりすることにした。


 なるべき人がいなさそうな場所を見つけて降り立った…草が生い茂っているが関係ない。風属性の魔法ミキサーとかまいたちである程度活動範囲は確保できた…川沿いはデカい岩が転がっている…景観が悪くならないように砂利を生成して川の方に向けて道を作る。


 その間に虫よけを振りまき、結界のように四隅に蚊取り線香と魔物除けを設置してもらう。他にも調理道具屋、リラックスできるものは出しておいたのでラヴェとトムに準備しておいてもらった。


 川の上流過ぎたせいか勢いも強い…まぁいいや…遊ぶに適してないけど空中に浮かしちゃえばいいな…


 近場の木を切り倒しつつ即加工、しっかり一定距離で木は残していく。木陰が無くなっても困るし、土砂崩れなんかも起こっても困るしな…貯水能力も失われるらしいし、人の手が入ってないからこそしっかりやっておこう…


 探知・鑑定・気配察知をフルに使ってもそれほど危険な生物はいそうにない。この時期にこれならそうそう強い存在は出てこないんだろう…


 2人の元に戻り、整えられた空間をさらに整え地面を一部平らにして厨房を軽く作り、BBQの準備をしてもらう。魔物除けの結界を張り、人の存在が薄くなるようにする。これによりメシを炊いても寝ても問題なくなった。たぶん…


 とりあえず着替えて川で遊ぶことにした。水着、スポーツサンダル、ゴーグル装着!行ってきます!!


 冷たい!勢いが早くてあっという間に流された。滝があったので落ちてみた…


 あっ…これ思ってたやつよりもだ…滝つぼに直行して意識を失うかと思ったがセーフ…衝撃はすごかったがどちらかというと楽しいアクティヴィティだな!!


 …と思ったいたら、ワニ型魔物に襲われちゃったのでバチ逃げた…危なかった…重力魔法とホバーリングで空を進み、デカい岩の上で一休みしてから、キャンプ地に戻った…


「なにかやらかしましたか?マイク様」

「安心しろ!ちょっとワニ型魔物に電撃食らわせただけだ!」

「ええ!そんな魔物いるんですか!?やばいじゃないですか!!!」

「それよりご飯食べようZ!」


 しっかり火がついた炭火と用意された網の上にトングで肉をどんどん乗せていく。


「うわぁ!マイク様!自分やりますよ!!!」

「黙れ黙れ!こういうところも楽しむんだろ!ラヴェ飲み物入れてくれ!」

「はい、オレンジジュースご用意しました、どうぞ!」

「そういえば自分成人したのでお酒飲めるんですよ!ありますか!」

「もちろんないよ!自分で用意しなよ…あとオレたぶん酒嫌いだし…あれただの腐った水だろ…」

「なんてこと言うんだ!!全世界の酒飲みに謝れ!味方全滅したぞ!マイク様!!!」

「大げさな…酒なんか飲むヤツにロクな奴はいないさ、ねぇ!ラヴェ?……ラヴェ?」

「すみません!これまで摂取したアルコールを断ち切ってきます!!」

「!!えええ!!!ちょっ…!!無理だって!!過去にでも飛ぶ気か!!!」


 どこかに走り去るラヴェを眺め、トムに「マイク様のせいですよ、ラヴェかなりの酒飲みですから、今後はそういった発言は控えたほうが…」と言われてしまった。みなまで言うな…

 それからオレたちはラヴェが戻ってくるまでモクモクと肉を焼き、黙々と食した。


 オレンジジュースがぬるくなるころ戻ってきて、ラヴェは大量の汗をぬぐい、「全体液を入れ替えてきました」とかいう恐ろしいことを言い始めた。かわいそうなのでお酒は別に飲んでもいいと伝えたところ、「マイク様が嫌いなものは私もき…きら……き、きらうぃ…嫌いです…!」と返された!ムリすなよ!!


 午後は釣り竿を垂らしてみた。こんな上流に魚がいるかは知らんけど…


 エサはミミズやらワームがいなかったので鶏肉を上手いことそれっぽくして投げといた。取れないことを祈ろう…


 それにしてもいいところだ…風は気持ちいいし、木漏れ日がキレイ、反射する水面と影が濃い岩場…遠く聞こえる鳥の声、反応している竿…軽く上げてみる針が刺さってなかった…ちゃんと肉だけいかれた…

 腸詰めみたいになってないと厳しいか…


 ラヴェにお願いするとあっという間にワームっぽいエサを作った…すごいな…トムも近くで竿を垂らし始めた。


 ふう~~おきらくごくらくだ…のんびりゆったりマイペースに…生きていたいものだね…こうやって感傷にふけっているときに決まって竿を引っ張るヤツが現れる…!上等だよ!釣り切ってやらぁ!!


 見たことあるような川魚が連れた…イワナだったかな…すげぇ!美味そう!


「トム!これ焼いて!」

「あ!マイク様!!大物っす!手伝って!!!」


 念動魔法を行使してトムの補佐をすると…


 サンショウウオが釣れた…釣ったらあかん奴では?トムは「なんですか?コレ、食べれます?」とか言ってる。詳しく分からないので持って帰ることにした…


 とりあえずイワナを美味しく焼いてもらい、おやつとして食べ、山アクティベティ自然編は一通りできた気がする。もうちょい人連れてきた方が良かったかな…コテージでも作って別荘が欲しいかも…


 持ち運べる別荘を考えるのはありかもな…収納魔法にねじ込んで重力魔法で軽くすればかなり魔力は減らされるだろうけど…でも邪魔かな?少し考えよ…


 あとジップラインとかバンジーとかしたい…できる場所どこかに無いかな…ねぇ兄上!


 兄上たちのモノになる領地に思いをはせるのであった…

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