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第80話 マイク謹慎中

 自分勝手なゴリラにムカついていた。ぶち殺してやろうと思った。底は知れずともこちらも全てをさらしたことはない。全てをかければ行けるはずだった。


 …盛大に負けた。全てを技を見極められ、魔法を織り交ぜ加減を無視して全力を尽くしたつもりだった。じゃれつきを振り払うように手加減をしているうちに再起不能にすべく動いたつもりだった。策にハメ、腕を飛ばし、移動も壊して勝ったと思っていた。


 バケモノだった…


 あの状態からすべての技を跳ね返された。何も届かなかった。意味が分からない。勝ち確から勝ち目がないくなるとは思わなかった。最後は自爆…出力に耐え切れずおれ自身の体が悲鳴を上げた。体の内側の身体強化にもっと気を配るべきだった…内蔵含め血管や脳、神経全てに至るまで密に濃く施す練習をしておくべきだった。


 あの後屋敷に戻り謹慎が命じられたらしい。どこにも所属していないのに謹慎とは何ぞや?という話ではあるのだがひとまず無事帰れて即回復したのはデカい。ゆっても1か月かかってますが…


 ラヴェの献身がいつにもましてすごかったうえにトムもかなり気づかいを見せてくれた。オルもかなり心配だったらしく闇属性の影渡りを覚えて部屋に入ってきた…愛馬にも心配されるなんて主としてうれしいものではあるが、たびたび来るのでコイツ魔法使いたいだけじゃね?と思うようにもなっていた。闇に沈めといてやろうか?


 悪魔たちは特に反応はなく、いつも通り接してきた。魔王領じゃ普通なのかな?この謹慎の間にあらかたのギルドからの魔物資料は終わり、魔物図鑑の編集は一時的に打ち止めとなった。

 マルちゃんもオレの前世の記憶から様々な音楽を再現してくれていたがそのストックもほぼ尽きたといえるほど記憶デバイスにまとめておいてくれた。どんだけ忘れ去られた記憶があるのか…覚えてないだけでこんな体にはしみ込んでいるものなのな…不思議だな…

 石の悪魔であるスノウは固定魔法で存在を抑え過ぎたが今まで動けなかったこともあり特に抗議することもなく過ごしていた。


 謹慎中は特にすることもなくおとなしくコミュ症先生の授業を受けたり、屋上でのんびりしたり、バナナ園の様子を見たり、裏庭でパーティーをしたりしていた。パーティーといっても試食会みたいなものでトムとラヴェ、アーロン、ライアン、オルといったいつものメンツでのものだった。あれ以来副団長は来ていない。さすがに気まずいと思ったか!ハハハッ、意外と繊細だな!!!


 ちなみにコミュ症先生との契約は謹慎中に終わった。基礎的な範囲どころかこの世のすべての文化を学ばせようとしてくるのでいい加減面倒くさくなってきたので解雇することにした。知っておいて損はないだろうが使えなきゃ意味がないだろ。その後の行方は知らない。


 他には転移魔法を使ってカフェに行っていた。どうせバレないしな…

 ココやシェナはそもそも謹慎について知らなかった。キキョウさん何してるの?連絡員も兼ねてるでしょうよ…あ…すいません、はい!自分が悪いです。報告だけは勘弁してください。

 そんな感じで運営に携わったり、ココの似顔絵屋の手伝いをしたり、屋台もバレないように開催した。意外と作り手の顔に視線はいかない者だと理解した。他に公に顔はさらせなかったけど…それなりの息抜きもできるので謹慎中は本当に助かった。


 ただよく考えれば、大した見張りもいなかったんだよな…なのでそういうポーズだけとっておけばよかった。いつも終わった後に考えつくんだもんね…視野が狭いな…


 アーロンの小屋から地下道にも行けたのでデカい場所で訓練が出来たりはした。体の周りに結界を纏って空気の清浄しながら走ったり、棒を振ったり、天の透け相手に模擬戦をして体を動かした。

 アーロンやラヴェも相手をしてくれた。これまでの訓練も続けた。


 だが遠出がしたい…


 あの時以来自由に行動できてない。貴族としては勝手に行動しているからそんなことないんだろうけど、本来であればそれなりに貴族子息との交流があってもいいのだが、そんな感じもしないしな…


 そうして謹慎が解けた。


 といっても行く当てがある訳もなく暑くなった感じるだけ…なにをしようか…冒険者ギルドか?さっそく海行っちゃうとか?コミュ症先生の授業と訓練が無くなっただけでカラッポに感じる。まさかのコミュ症先生ロス!?アホみたいな話だ…


 散歩にでも行って兄上の学園生活を冷やかすか…

 魔物図鑑の報告に行くか…

 屋台やるか…


 う~~~~ん、しっくりこないな…




 オルと散歩に行くか…



 王都郊外の草原でオルに乗りテキトーに走らす。以前よりもさらにデカくたくましくなっているような…?

 ふぅ…少し遠くまで行こうか?オル…



 気付いた時には海に来ていた…飛ばしすぎだろオル

 …といっても東南側の一番王都から近い港、潮干狩りなどが盛んな遠浅の海で養殖なんかも試みられてるらしい。きれいな場所だ…


 近場のベンチに腰を下ろし、オルにも水を準備してあげてゆったりする。


 ……のんびりゆったり、この半年制限される中でやってきたことではあったがちょっと遠出すると違うな…また来よう!また…どこかに行こう…


 今日が青空で良かった…

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