第79話 サバイバル演習
マイクは騎士団の訓練メニューであった王国騎士剣術・槍術・盾術・体術・弓術・馬術を去年修め、残りはサバイバル術、罠制作、工務活動を残すだけとなっていた。
工務業においては全隊員必修ではないはずだがマイクは受けることになっていた。なぜかは知らないが…一応講義は受けていて土木関連に関する知識は増えていたり、壁や砦修復技術、魔法を使った修繕方法など様々なアプローチでいろんな場所を支えてきたことがうかがえた。
サバイバル術や罠なども講義や実習があり、基礎訓練をしつつ受けていた。
そして今回はサバイバル実習における試験日であった。急に呼ばれるから何かと思ったぜ…
安心も束の間…馬車にすし詰め状態にされ、長い間揺られているとかつてカブトムシを捕まえに行った山を越えた渓谷辺りに来ていた。馬車の中で聞いた限りでは2泊3日のサバイバル行軍らしく騎士団見習いによる最終試験も兼ねているらしい…
急に?なんで?オレだけ何の準備もできてないんだけど…
現地に着くと副団長に用意されていた30キロ近い荷物を渡された。いやいや、オレ7歳よ…体重じゃん!何コレ?嫌がらせ?
「では諸君!これよりサバイバル演習を開始する。事前に決まっていた通りグループごとに決められた地点を通り、ユニヴァース領のロジ市に集合せよ!明日の夕暮れまでが期限であり、間に合わなかった者はまた今年も見習いとして基礎訓練をしてもらう!質問はあるか!」
『はい!ありません!』
「では行け!」
「待て待て!ありますよ!ありまくるよ!質問が!」
「小僧には今から説明する!他の者は各々開始せよ!」
全員がいなくなった場所でゴリラと相対していた。
「これからそれを背負ってユニヴァース領のロジ市まで行ってもらう!スタートは3時間後。飛ぶのは禁止、収納魔法も禁止、転移も禁止、己の力と知識のみでこの山を越えていってもらう!」
「え?帰っていいい?別に合格なんていらないんだけど‥」
「ならん!これを終わらせずには帰れないことにした」
「へ~、どうやって?」
「ワタシがついて行く!」
「最悪じゃんか!」
「保護者兼見張りだ!小僧に拒否権はない!やれ!」
「ううぇええ」
「身体強化は使っていいぞ!最近は抑えているみたいだがそれでは荷物も持てないだろう!」
言われなくてもそのつもりだよ…他は属性魔法は使えるな…重力魔法を使えば荷物もそこまでだな…
「これがチェックポイントだ!あと重力魔法は飛べる可能性がるから禁止だぞ!」
「なっ…!後出しじゃん!せこっ!」
「まだ始まってもいないのにそういわれてもな…」
3時間待ってから山に入ることになった。
「ふぁ〜あ、疲れるなぁ〜、副団長休憩するよぉ〜」
「これ食べるぅ〜」
「結界は使っていいの?ダメ?眠れないじゃん…」
喋りかけてもまともに対応してくれない副団長……返事がない、ただの腐ったゴリラかな?へぶっ!!
昼寝をする前にチェックポイントを通過することにした。近くに魔物や魔獣の気配はない……
「収納魔法からハンモック出していい?え?ダメなん?用意してない方が悪くない?はぁ〜あ」
荷物の中にある組み立て用の長椅子をベッド代わりに横にすることにした。平地に均して15分寝ることにした。虫がむかつく…虫除け取り出さなきゃと思ったけど、収納魔法禁止なんだった…くそっ…!
再度動き始めて進んでいくと橋がかかっていた。不安定な橋だな…補強しちゃお……
マイクは吊り橋の横に造形魔法で橋をかけてしまう。
石橋を叩き壊して進め!って言いますからね!へっ!
頑丈に造った橋の強度を鑑定魔法で確かめながら進み、10年くらいは問題ないことを確認して崩そうとしたら何か言いたげに副団長がついて来た。
どうやら崩れる仕掛けになっていたらしい。ヘぇ〜鑑定魔法で確認する場所間違えてたわ〜
次のチェックポイントを目指して歩いていくとどうやら反りたつ壁の中腹にあるらしかった。下に着いてクライミングを開始することにした。
コレ得意な奴が上って上から引っ張ったり協力するヤツだよね…一人の方がラクだからいいけど…寂しくね?意識した途端なんでも一人でできてしまうことにそう思ってしまう。
30㎏の荷物はあるけど、関係なく足場を作って上っていく。螺旋階段の方が良かったかな?いや下から突き上げる形で造形魔法で押し上げればよかった。自動エレベーター今からやろうかな?
そんなふうに考えているうちにチェックポイントを通って踏破、ココからは岩肌がさらされている火山みたいな山…下っていくだけなんだけど、日も暮れてきた。魔物の気配もないならここで今日は休もうかな…
そう考えていると上からバサバサ音がする。数羽のデカい鳥…鑑定
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名前 なし (ロック鳥)
年齢 7
デスペラード休火山に生息
体長/体重 400~500cm/80~120㎏
魔力量 5000/5000
魔法属性 火・風
使用魔法
火属性:火球、炎纏い、噴射
風属性:かまいたち、竜巻、
体術:身体強化、自由飛行
混合:火球追尾付与、炎吸収
合成:なし
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めんどくさいのが来た……
わざわざ来てくれなくていいのに…
「シャア!!!」
「グワァァァ!」
「グラゴシャァァァ!!!(誰のナワバリだと思ってんだ!!!食らうぞ!ガキィィ!!!)」
うわっ!!なんか一羽だけなんかはっきり意味乗せてきてるヤツおる…
再度鑑定で言語理解を持つ特殊個体らしい…しかも長!13歳!長寿なのかな?
「グワラァァァァ!!!(さっさと出てけ!ガキィィィ!!)」
メチャクチャ怒ってる…
造形魔法でカヤックを作り乗り込みつつ、水属性の魔法を大量に生み出し溢れさせる!水の流れをコントロールして勢いのまま下っていく…副団長は置いていく…すまないな……一人で頑張ってくれや…
魔物の資料をまとめた時にロック鳥の特徴は頭に入っていた。水を極端に嫌い雨を避けて過ごすという特性があるので牽制にもなる逃走方法なのだ!
「ふっ、サヨウナラゴリラ…これで監視もいなくなって快適に…うげっ!!!」
そんな訳なかった。簡単に振り払えるわけがないことを再確認した。同等のスピードで走って下山してる…アホだ…
原則ができなくて危険ではあるがナワバリさえ出ればどうとでもなるか…崖があったので水流の向きを操作してカヤックに念動魔法を行使したいない技術をまかない方向転換!森に突っ込んでいった。多少遠回りになったが回避としては悪くない…
そして着いてきている副団長…無傷かよ……バケモノめっ!
魔物を気配察知で感知しつつ野営の準備をする。多少暗くなったが照明魔法があるので問題ない。光は魔物も寄ってくるので速やかに準備をする。結界がダメなので四方を造形魔法で囲むことにした。よしよし…
荷物の中にメシが…ない?え?入ってないんだけど…奥の方をひっくり返すと浅い!!!!
そこにはただ重さだけがある。なんだこれは…こんなことが…あっていいのか?
「準備不足だな…始まる前に足りないものをチェックしておくべきだったな…」
「いや!勝手に連れてきたのはそっちだろ!あの時点でメシなんかなかったんだからオレのミスじゃねぇだろ!」
「だからこそだ!小僧は食料を探すべきだった…それをしなかったのは小僧のミスだ!」
「知るか!!そんなの!!勝手に連れてきといて…もういい!」
「収納魔法は使うなよ!その時点で小僧は失格になるぞ!」
「勝手にしろ!そんな試験受けた覚えはない!訓練ごときでそんな縛りプレイできるか!こっちは7歳だぞ!」
「なら王国騎士団副団長としてユニヴァース領への不法侵入者とみなし処罰する!」
「やれるもんならやってみろ!今日こそブッ飛ばしてやる!」
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報告書
第12回騎士団試験において参加者56名計12組中11組55名が無事試験を突破。
負傷者1名、特別に副団長が推薦したマイク・イングランディーレ(7)がチェックポイント2つ目を通過した後、トゥジュール地帯で不正を確認。副団長自身がそれに対処し、マイク・イングランディーレを処罰した。これにより今後マイク・イングランディーレの試験資格を永久にはく奪する。さらに未成年であるため半年間の自宅謹慎を命じられた。
上記によりトゥジュール地帯の南森林区域が半壊。試験区域も含まれるためその状態の区域を踏破した試験参加者には再度試験を実施する必要がある。要確認。
並びに巻き込まれた試験官8人が戦闘に巻き込まれ、重傷または意識不明の重体。現在ユニヴァース領にて療養中、意識を取り戻しほぼ改善している模様。
当事者である王国騎士団副団長ブルースはあばら骨2本、左脚脛の骨折、右腕消失、鎧全壊、騎士団員証紛失。今後の業務において差し障る可能性あり。副団長曰く問題ないとのこと。ちょうど腕一本邪魔だったとの報告。戦闘後負傷した試験官の代わりにチェックポイントの復旧と受付を担当。同時に負傷試験官の移送、および試験官の応援を行っていたためほぼ無事であることを確認した。
一方相対したマイク・イングランディーレは全身打撲、意識不明、装備紛失。治療後、王都のイングランディーレ家の屋敷へ護送後小競り合いアリ。現在謹慎中。
以上
王国騎士団作戦参謀統括官 アグネス
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