第74話 競馬
騎士団で馬上訓練を続けていたマイクはある噂を耳にした。この秋各領地の代表の馬を合わせて競馬するというものである。
この話を聞いてその領地に行くことにした。出場登録はゴージャスができると言っていたので頼むことにした。あくまでも領地名が代表名になるらしく登録は義姉になるビートブラックの名前を勝手に借りることにした。
大丈夫大丈夫…貸しもあるし問題ないはず…
問題はオルの体毛だな…月毛…もうはっきりわかるようになってしまってる。イングランディーレの屋敷の人間でもオルが月毛であると知ってるのは御者のライアンとラヴェとアーロン、副団長だけのはず…トムとかも知ってるけどすごいことと思ってない。
隠ぺいかけたり環境同化使えば問題ないのだけど魔法禁止なので使えない可能性あるのよね…馬具も検査を受ける必要があるので魔道具にできないし、魔法の発動が検知されると重りに変わる魔道具を装備しないといけないので魔獣の血が入っている分、オルにはマイナスに働きすぎる。
純粋な能力勝負…それでもオルは強いけど強すぎて権力者に気に入られ過ぎても困る…
なんか染められないかな?
競技当日、開催地である母の実家でもあるユニヴァース領に来ていた。とりあえずラヴェを連れてきたら、アーロンも付いてきた…
「いや普通にこんな遠出簡単に許すわけにもいきませんでしょ…」
そんな警戒しなくても大丈夫なのにな…
競技開始時間は13時10分からの芝コースで2000m、スタートしてからすぐ坂がありゴール盤を横目に楕円のコースを右回りに回っていく形態で向こう正面終わりからなだらかな下り、第4コーナーから正面に入ると一週目と同じ坂を上ってゴールというなんとなく阪神競馬場のような造りになっている。
鞍上はもちろんオレ!ドレスコードとかもあったらしく急いで準備してカッコよくしてもらった。危なかった…馬番は2番枠は4枠の海外ランダムパターンが採用されており、発走時間を待つだけとなっていた。
馬券も売られており、かなり正確にオッズもあり、メチャクチャ盛り上がっていた。変動も魔法で行われているためか激しくすぐに反映されるため、前世に近いと感じていた。八百長とか簡単そうだと思ったができない仕組みがあるらしい。それに関しては始まればわかるということである。
開始までは他にもメシを食べたり、集まってる人の階級を探ったり、色々と楽しんでおいた。発送前にオルの様子を見に行ったら元気そうにしていた。この日のためにしっかり染色剤を探しておいたので月毛っぽい発光はない…これなら1レースくらいなら問題ない…体調も問題なさそう…
「よっしゃ!やってやるぞ!オル!!」
「ブルゥゥォォォオオオ!!」
周りを見ての場違い感はすごい。6歳児の体格で馬に乗っていることも異様だが、ほとんどが馬に乗りなれた騎士が鞍上にはいる。馬だけが負けない体格、なんとなく陰口でも小ばかにされているのが分かるほどだ…
ちなみに斤量的なハンデはない。正確にはわからないが60kgでやってるみたい…
もう始まるようだ…返し馬とかもなくパドックも軽く歩くだけ…すぐに発走場所に集まってゲートにいれられた。
問題なくゲートに入って気づいたけど、開く音にビクつかないかな?使役魔法もだいぶ前に切ってるからオルの思考が全く読めない…応募の時は意気揚々だったのに今はなんで出たんだろうって気持ちが強いな…
そんな考え方をしているとゲートが開いた。
やっぱりビクついた…一瞬遅れ頑張って追いつこうとしている。うわっ冷静になれ、落ち着いてラチ沿いに行ってくれ…なだめてなだめて伝わらず坂にも関わらずぐんぐん前に行ってしまった。
暴走だ…これはしんどい…
前から1,2,3…8番目くらい、12頭立てだからまだまだ後ろなんだよな…巻き返したと思ってこれじゃ無駄としか思えないな…
坂を上って1コーナーを曲がっていく。ちょっと外回らせられすぎている…一頭だけ2200くらい走らせられそう。もうどうにもできん…魔法がないと乗ってるだけになりそう。
あとはゴーサイン出すくらいか…
なぁオル…話聞いてくれんの?
第二コーナーを超えて向こう正面を入ってからもずっと対話していた。ずっと外いるよって…並ぶのがいいのか?先頭に勝つために走ってるんだぞ…
すぐに第3コーナーに入り、下り…周りの速度抑えている中オルは行ってしまう…
しゃーなしか…遠心力に押し出されないようにスピードを上げながら内に切り込みながら上がっていく。アウト・アウト・イン…峠道かな?
直線に入り他の馬も加速してくる。オルは…
なんか全然余裕そう…1ハロン残して先頭に立つと一頭も寄せ付けず突き抜けてしまった…
………ちょっと強すぎるかも…
注目されちゃうから!そこそこでよかったのに…レコードとか聞こえるんだけど…
やらかしてしもうてるやないかい!!
ゴールの方に戻ってくると歓声がすごかった。案の定偉そうな貴族に声をかけられ「光栄です」ってずっと言っておいた。見たことねぇ貴族ばっかだな…
賞金をもらい、ラヴェたちの元に戻る。
「ユニヴァース公爵にはなんて言われたんすか?」
とアーロンに聞かれた…
え?血筋的にはおじいちゃんがいたらしい。全然わからなかった…どれ?あの人?その隣?
どうやらナチュラルに対応していたことでスルーしていたおじさんだった…母上にあんま似てないな…
「公爵夫人はいないの?」
「みたいっすね…王都でたまに奥様とあってるって聞いたことありますぜ」
どっちみちビートブラックの名前で参加しちゃってるからな…孫ですなんて言えないし…スルーして帰るか…
魔法が使えるようになったオルはノビノビしていた。いくつもの枷がとれたようでいろんな店の料理を催促された。仕方ない…頑張ってくれたからな…
こうしてそのまま帰り無事一イベント終えるのであった。




