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第72話 妖精

「なんで離れられないんだ!!!何をした人間!!!」

「え?固定魔法でそのハンガーと同化させただけだよ…魔力じゃないとキミたち悪魔を捕らえられないでしょ?」

「さすがは我が君!我らのこともそこまで理解されているとは…さすがです!」

「それよりあの屋敷には面白いものでもあったか?」

「はい、妖精との日記、バイアリ―ターク家の歴代の手記、バイアリ―ターク家秘伝の魔法などなど、我が君にも後ほど満足できるものが揃っておりました。」

「ほえええ、すごい収穫だね…行ったかいがあったね」


 現在屋上庭園にはマイクとスプマンテ以外にも、妖精パンがおとなしく浮いており、ハンガーから他に移ろうとしているスノウ、それを知らんふりをしてbgmを流す音の悪魔マルちゃん、カクカクビッグスライム天の透けの人間アウェーの空間が作り出されていた。


 マイク的には悪魔は4体目なので特に珍しくもなく、これまでのパターン通りであれば石関係のモノにしか作用できない。乗り移りも自身の理に関わるものでなくてはならず、その際に魔力残滓を残していくので追跡もしやすい。壁の悪魔がどこにいるかは追っていないので知らないが、次会えたら捕らえようとマイクは考えている。


「それでバイアリ―タークの子よ!名前を聞いてもいいかな?」

「マイク・イングランディーレだよ…気軽にマイクと呼んでくれたらいいよ!それでパンはどういう存在なの?」

「ボクか…ボクはね…」

「妖精は悪魔とは正反対の気質でこの世の物質というより個性好むものとされています。この妖精の場合はおそらく我が君の持つ体の魔力に惹かれております。私の記憶で残ってる資料としてもある魔物に複数寄り添い力を行使し、人間側にも魔王側にも被害をもたらしたという資料も残っております」

「っ……!!」

「ありがとうスプマンテ!とりあえずパンにも聞くから黙っといてな!」


 気にくわない顔のパンに視線を向ける。


「んっ!ん!そうだね!改めて僕が妖精のパン!歴代のバイアリターク家当主に仕えてきたんだ。そしてボクを開放してくれてなおかつバイアリータークの血を受け継ぐキミに付き添おうと思ったのさ!」

「…聞いたなぁ~ってことはこのまま使役状態で構わないということかな?」

「あぁ!今の魔術形態がどうなのか知らないけどそれでかまわないよ!おそらくバイアリタークの秘伝魔法もこれのことだろうしね!」

「ぐっどいんふぉめーしょんじゃん!なるほどね…道理で資料がないわけだ…うん!ヨロシクね!」

「うん!ヨロシク~~!


 こうして我が家に悪魔と妖精が増えたのだが、ちょっと増え過ぎかも…


 現在固定魔法を随時使用しているのはスノウのみ、スプマンテにしてもマルシュロレーヌにしても魔王出ないことがバレればどこかに飛んでしまう可能性すらあるけど、それならそれでしゃーなし。父上は悪魔を封印しようと考えているけど、このままだとちょっとした争いの火種になりかねない。それはオレの望むところではないので確実に回避できる方法を考えておかなければならない。


 仮案1

 悪魔という生命体を疑似的に想像し封印する


 仮案2

 固定魔法を3体ともにかけ、完全に封印してしまう


 仮案3

 全員連れて魔王領にトンズラかます


 うん、この辺りだな…他にも考えておきたいけど思いつかないな…。異次元空間に移動させて随時召喚するとか?全属性混ぜる合成魔法ならワンチャン行けるかもな…


 それにしてもパンは屋敷の中飛んで行っちった。大丈夫なのか?子孫じゃないと見えないとか言ってたっけ?いや、言うてないな…大丈夫なはず…




 〈ノヴァリリス視点〉

 淑女教育と基礎学習の時間を終え、休憩中だった、そこになにかフワフワと入ってきた。危険性を感じれず眺めていたらナナに声をかけられる。


「そこになにか飛んでるでしょ?気にならないの?」


 私を守るようにすぐさま反応するナナであるが私に見えているその姿を捕らえられていない…


「お嬢さまどこですか?」

「え?見えてないの?ほらこっちに向かってきてるでしょ!」

「おお!ここにもバイアリ―タークの血を受け継ぐ子がいるのだ…!マイクよりも少し成長している…ってことはお姉さんかな?」

「まいく?あの子にあったの?」

「ふふっ、よく聞いてくれたね!ボクは妖精パン!マイクに仕える妖精さ!」

「妖精?」

「お嬢さま、何とお話を?どうされたのですか?」

「あ!ちなみに普通の人にはボクは見えないよ、マイクとキミとあとは2,3人かな?」

「そうなの?お母様に報告しなくちゃ!」

「面白そうだね…ついいていってみようか…」


 私はお母様がいるバルコニーに向かった…お父様もいた…


「ねぇ!見てお母様!妖精だって!」

「……なにを言っているの?…どれのこと?どこにいるの?」

「………」

「え?見えてないの?お父様は?」

「やぁキミがマイクのお父様かい?バイアリ―タークの血はキミから受け継がれていたんだね…今日からマイクに仕えることになったんだ!ヨロシクね」

「妖精……精霊とは違うのか?」

「受け入れが早いね…その感じボクらにあったことあるのかな?」

「ああ、勇者に何体も付いていたからな…あの子につくってことはあの子の魔力が気に入ったってことかい?」

「え?違うよ、別にキミでもこの子でも良かったけど、助けてくれたのがマイクだったってだけの話だよ…キミらの先祖に助けられて以降キミらの血に付き従うと決めていたからね」


 何かよくわからない話になってきた…バイアリ―ターク?聞いたことない家名だったけど、それが関わっているということなのかしら…?


「セブン…妖精がいるの?私には見えるようにならないのかしら?」

「ああ、ごめんよ」


 そういってお父様は魔法を施した。


「これはあなたの視界?うわっかわいい!この子が妖精!!なんで私に見えなのかしら悔しいわ…」

「あっ!さっき言ってた2,3人ってもしかしてあとはお兄様方だけってこと?」

「そうだよ!たぶん!あってないから知らないけど…楽しみだね~」

「じゃあお兄様方にも会いに行きましょう!今なら家にいるはず!」

「トク!マイクに説明をしに来いと伝えてくれ…」

「はい!かしこまりました」


 私はバルコニーを出てバートラム兄上とジーン兄上に妖精を紹介しに行った。二人とも驚きつつもマイクの仕業と知ると納得していた…妖精を認識して味方であると理解してくれたみたい…


 この子私にくれないかしら?


 しばらくするとパンは帰っていってしまった。


 でもたびたび屋敷内で見かける。聞いてみると屋敷内でも好きにしていていいとマイクに言われているらしい。良くないのではないかしら?


 少し気がかりではあったがパンがこの屋敷を守っていることが明らかになったとき私はこの妖精という存在にようやく安堵するのであった。





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