第71話 ミステリーハウス
「使われず放置された屋敷の調査?」
「はい、特別依頼とされており、かなり危険ではあるのですが緊急を要しますので動いてもらえないかと…」
「オレまだ仮登録なんだけど?いいの?」
「はい、そちらに関しては特別に許可をいただいておりますのでよろしくお願いします」
冒険者ギルドに続け様に来たらこんなことが起こったのだった。掃除屋を考えたのはあながち間違いじゃないかもと思いつつ現場に向かうのであった。受付のお姉さんも付いてきてくれた。貴族街の西側に向かい関門の通りから少し路地に入った場所に例の屋敷があった。
まず門の片側が無くなり、もう片方も上の蝶番が外れて地面にめり込んで閉じている。左翼棟は崩れ落ちてツタが屋敷にまとっており、石畳と噴水跡の近くには草が生い茂っている。剪定されず無造作に切られた木が立ち並び、貴族街に異様な空間を生み出している。そのうえで濃い瘴気のような感覚…
「案内はここまでになりますが万が一の場合もありますのでこの入り口辺りで待機させていただきます」
よろしくお願いしあってから、依頼が始まった。
屋敷に近づくと窓ガラスは結構無事で曇ってる…正面玄関のドアは少しだけ開いている。入ったら急にバーンってなるんだろうなと思いつつ、ドアノブを回す。閉められるくらいなら自分から閉めとく戦法で中に入る。
入った正面に肖像画がある。おそらくこの屋敷の所有者だったバイアリ―ターク卿であろう。詳しくは知らんが王国最古の血統だったらしい。それも完全に途絶えたらしいのだが…
左右に二階に上がる階段。階段前に廊下に続く道があり、肖像画の脇に1つずつドアがある。
上から行くか一階から探すか…
依頼は屋敷の異常改善という含意の広い依頼なのでテキトーに捜査していくのは良くないのだろう。
ただ楽しむべきと思っているので造形魔法でサイコロを振り3が出たので正面左の部屋から探すことにした。ドアの方に進むと側面にもドアがあり、複雑構造であったがとりあえず放置。
部屋に入ると待合室のような場所で簡単な応対ができる作りで、隣は簡単な給仕室になっていた。特に何も感じられない。流れのままに正面からして反対側の部屋はおそらくメイドの控室…?奥に食堂、厨房というように続いており、右側の残りの部屋は団体用の部屋や一人用の客室になっていた。反対側も似たような造りと思っていたら崩れていたのでよくわからんかった。左翼跡側には部屋はそれほど分かれおらず大部屋だったっぽい。
崩れた左翼棟の2階に上がる。執務室か書庫か…本棚っぽい残骸跡…判断できないものがたくさん。
ロビー二階を通り右側に移動。こっちは大食堂かな厨房もある倉庫…壊れた魔道具、ひっくり返った棚、バルコニーがあると思ったら床が抜けた…珍しい造りだな…柵ごといったからそもそも崩れかかってたんだろうと思う。
大丈夫大丈夫…異常はない!全くもって見当たらない。この辺のクローゼットを開いてもどうせ何もな…
不透明度30%くらいの人型がハンガーにひっかかっていた…
いや意味わからないって…!!!
と思うと同時にクローゼットを思い切り閉めた。
恐る恐る開けてみると一度目と同じような透明な何かがそこにはあった。手を伸ばしてみて触れられない。
「これは…」
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名前 なし (ゴースト)
年齢 不明
バイアリ―ターク家の元妖精
体長/体重 0
魔力量 20/20
魔法属性 風・闇
使用魔法
風属性:乱気流、空気攪拌、真空魔法
闇属性:気配遮断
体術:物理無効
混合:環境同化、空気汚染
合成:なし
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鑑定を条件反射で使ってしまったが元妖精ってなんだ?これが原因なのか?つーかいつまでハンガーにぶら下がってんだコイツ…
しゃべれるんかな?さっきからジタバタしてるけど、もしかして動けないのか?封印された的な…?
うん、なんでハンガー?どんな妖精?服飾にまつわる妖精なの?
鑑定の情報に出てこなかったのでわからないけど浄化だけじゃアカンのかな?
そう思いつつ浄化含め魔法をキャンセルできそうな魔法を行使してみる。妨害魔法では意味がないみたいなのでかかってる魔法を外す効果をイメージする。光属性の魔法っぽい…
断絶魔法!!
光があふれ出す。対象となったゴーストはモヤが晴れていく…
そこにはハンガーから解き放たれ背中に羽を生やした存在があった…羽の模様は蝶っぽく、透明で神秘的に思える手のひらサイズの人型で中性的な体つき…
なんか近くを飛び回り始めた…ぽこぽこ殴ってくるしやかましいな…
あ、コレしゃべれない系のヤツ?めんどくさいやつだ…どうしよ…使役してみるか……
てなわけで使役魔法をほほほのほぉ~い!
「………るかっ!来るのが遅いんだy…ん?なんだこのパス?いつの間に…へっ?もしかして契約?もう一度ボクと契約してくれるのかい?バイアリ―タークの子よ!」
「バイアリ―ターク?悪いけど、オレはこの家の存在じゃないよ」
「そんなはずない!なんの関係もない人間がボクと友誼を結べるわけないもん!」
「使役魔法だろ…これは相手が魔物であれば誰とだってできるだろ、たぶん…」
「誰が魔物だ!!ボクは昔からこのバイアリタークに仕えてきた妖精パン様だぞ!図が高いぞ、子孫の分際で!!」
「だから子孫じゃねぇって…話聞かねぇタイプか?オレはこの屋敷の調査で来ただけの人間なの!この屋敷で起こってる不可解な現象は全部お前のせいなのか?パン!」
「不可解な現象?ボクはここで何もできなかったんだぞ!誤解したのはそっちだろう!あと君は確実にバイアリ―タークの人間だぞ!魔力でわかる」
「それは知らないけど、なんでゴーストになってたんだ?」
「それは…たしか……悪魔と争ったような気が…」
「なんの悪魔だ?」
「金の悪魔だ!名前は…」
「スノウだ!」
そうすると他から声が聞こえる…
宝石?いや金って言ってたか…?今度は金を司る悪魔か…いつの間にいたんだ?
「人間よくやったぞ…どうやらそこの妖精と混ざっていたらしい…そのせいかお互いに力を打ち消し合いゴーストなどという魔物になってしまったようだ。礼を言うぞ!」
「そうだ!思い出した!!この悪魔がこの金が気に入ったとか言って居付くようになったところからこの家はおかしくなっていったんだ!覚悟しろ!悪魔めっ!」
「ほう!やれるものならやってみるがよい…」
「容赦しないぞ!」
「おい!やめろやめろ、アホか!争ってる場合じゃねぇわ!しばらくおとなしくしてろっ!」
「「ああ?」」
とりあえず妖精パンの方は使役魔法で言うこと聞かせられるので、悪魔スノウを捕らえておく。悪魔は基本的に自身が司る物質を媒体にして活動しており、他の者に乗り移って移動している。
てなわけでハンガーについてる金と悪魔に固定魔法…これで問題ない…これで抜け出せないので操糸魔法の糸を括り付けるだけ…
「「!?」」
「よおーし二匹ともおとなしくしておいてな…まだ屋敷の全部調べてないから…」
妖精と悪魔を連れつつ部屋をでて2階を無事調べ終わる。奥にまだ建物が続いており、渡り廊下を進む。ここには外階段だけ…
奥の建物には書庫があり、いろんな本があった。転移魔法でスプマンテが入ってる人工知能魔法本を呼び寄せる。
「我が君!どうされました?…ここは?」
「この感じ同志か?もしや文字のスプマンテか?」
「ん?この気配…石のスノウか?貴様も我が君に会いに来たのか?それにしても500年ぶり程か?」
石?500年?
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名前 スノウ (悪魔)
年齢 不明
石を司る悪魔
体長/体重 0
魔力量 50000/50000 +周囲魔素
魔法属性 ?
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…悪魔のステータスって初めて見たけど、なんかすごいな…
金とか見栄張ってたんだな…かわいいかよ……
「なっ…なっ…我は石ではない!金なんだ!金!金が好きなんだ!金のスノウなんだ!」
「まだそんなことを気にしているんですか?相変わらず進歩がありませんね」
「急に現れて一体どうゆうつもりだ?」
「あなたこそ魔王様を前に不敬ですよ!ひれ伏しなさい!」
「嘘をつくな!これが?この子どもか?人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ」
「もういいからスプマンテはここの本記録しておいて!魔力も置いておくから…」
「お任せください我が君!それでは失礼します!」
他の部屋は執務室なのか自習室なのか?教室かな?あ!なんか開いた…
机をいじっていたらいろんな資料の入った引き出しが開いた。スプマンテに任せよう!机に放置しておく。
「おい!人間!貴様本当に魔王なのか!」
「だったら?」
思った以上に出しちゃった魔力の威圧におじけづく反応を見せるスノウ…
「どちらにしても関係ないだろ…黙ってついてくれば…」
そのあとも探索するも何も出ず妖精も悪魔も連れ帰ることにするのであった。
後日屋敷の解体作業中に結界に囚われた場所が出るのだが調べても何も得られず、再度マイクに依頼が回るのであった。




