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第7話 兄の婚約者

 コミュ障先生の授業をまいた午後、ゴリラ副団長も遠征で出かけていない!久しぶりにのんびりできる。


 向かった場所は庭園。作業しているであろうアーロンを連れて下町に遊びに行こうと思っていたが女性の声がする。珍しい一面を見れると思い遠くから覗いてみると長兄であるバートラムと同年代と思われる女性とともにいた。 


 この日イングランディーレ男爵家にはバートラムの婚約者となった。ビートブラック家男爵令嬢ライラ・ビートブラックが挨拶に来ていた。


 忘れていた…そういえばラヴェに言われたかも…


 とりあえず挨拶はめんどくさいので気配察知でアーロンを探しつつ長兄と婚約者を回避した。アーロンはなぜか疲弊していた。


「あの令嬢しんどいですぜ、こっちは貴族様と話すの慣れてないのに植物についていろいろ聞いてきて…坊ちゃんの温室も肥料見ただけでバレそうになりましたぜ」


「目の前にも一応貴族がいるんだけど?」

「坊ちゃんは別枠でさぁ。兄上殿とレモンの木を見つけるとおっしゃっていたので気をつけてくださいね~」

「なに!一大事じゃん!せっかく連行ゴリラがいない日なのに!植物オタク令嬢なんて会いたくねぇ!!」

「農業の勉強をなさりつつ伯爵家に奉公に出ていたとかで優秀そうな子でしたね。立派な方が嫁いでくださってこの家も安泰ですね。

 坊ちゃんは将来家から出ないといけないっすけど…、このままいけば確実に副団長に連行されて騎士路線でしょうけどね…」


「最悪だ…冒険者のほうがマシだ…よしっ!冒険者登録に行こう!ついてきて」

「無理ですぜ、今日明日はご令嬢のお相手をするかもしれないんでここ離れられませんぜ!」


 仕方なく一人で出かけようとしたらしっかり釘を刺された。厨房に行ったら料理長に占め出せれた。お茶会のための菓子作りで殺伐としていたのでおとなしく部屋に戻った。ラヴェにも注意された。

 ラヴェはなんでオレの目的を毎度知っているのかしら…


 仕方ないので屋上庭園にプールサイドチェアに寝転がり魔法の練習。火、水、風、土、雷、闇、光、無属性を使って混ぜたり分離したり、使うなと言われた消失弾を天に向かって撃ったりした。全部の属性を一定にしなきゃいけないので、極小なら魔力もそこまで心配ない。


 混ぜる中で火、水、土、光を使い成長促進魔法ができた。効果時間が短い上に元に戻る。


 自分に使ってみた。悪くない男前だった。今度使う時は加減するか服を脱ごう!


 他にも雷と土で磁石を再現して磁気魔法に昇華させることに成功したり、無属性を加えて指向性を持たせたりしてちょっとしたモノに磁石で開閉部分を補強した。


 魔法をいっぱい使えるようになった中で一つ不安が湧いた。覚えてない。何が使えて何が使えないのか…誰か整理してくれないかな……


 そうだ!管理魔法を作って魔法を管理しよう。AIみたいだし、オートで戦えるようになっても面白いかも…


 管理魔法は知らないので書庫にレッツラゴー!!!


 ランランで廊下移動していたせいでお茶会の席を外していた存在に気づかなかった。それがいた…長兄バートラムの婚約者ライラ・ビートブラック嬢が!


「あら、ごきげんよう!庭師さんのお弟子さんかしら。私はライラ・ビートブラック、ここのお庭には何度か来ようと思っているの!よろしくね…」


 何か勘違いして通り抜けていった。ん~~、服がよれよれの伸び伸びになっていたのを忘れていた。まぁいいか…


 気を取り直して書庫で魔導書をひったくって自室に戻る。


管理魔法から人工知能魔法を編み出せそうだが記憶機能を用意して思考法、情報の取捨選択、モラルやルール、その他諸々を記録するための本を準備する。魔力の源である魔石がないので、とりあえず必要そうな情報を一冊の本に魔力で書き込んでいった。


そうこうしているとラヴェが入ってきて夕食の時間であることを告げた。


少し早すぎないかと思ったら長兄の婚約者のために顔見せをするらしい。公式にマイク以外は顔を見せたことになっているらしいが、初日ということでしっかりと家族全員を認知する必要があるらしい。


おそらくマイクが突発的な遭遇をしたせいで令嬢がお茶会の話題にしてきたのが発端だろう。庭師の弟子といういない存在がマイクの結びつき、その誤解を解く必要があると判断されたみたい。


「はぁ~どうせ大々的な存在になることはないんだから、そのままにしておいてくれればいいのに…」

「こんな姿で人前に出られていたのですね。これでは誤解されても致し方ありません。何があったのですか?」


テキトーにはぐらかし身だしなみを整えていく。


家族が集合することは珍しいことではないが、マイクが呼ばれることは少ない。邪険にされてるのはわかるが誤解を解いておくことが必要なのだろうか。それとも別の理由でもあるのか。無難に終わってほしいと思いながら食堂に向かう。


すでに次兄と姉はいた。今日は客人がいるということで席が違うらしく、長机で2人が1つずれて向かい合うように座り上座のほうが空いている。次兄の隣に座らせられ、横から舌打ちが届く…正面の姉とは目が合わない。


数分して全員が揃う。お互いに紹介しあい。話しかけられないだろうと隠密術を使い存在を薄くする。父上にはすぐ気づかれた。しかしすぐ無視された。コッチ見んなや!


配膳はラヴェなので問題はない。それよりライラ・ビートブラック嬢がこちらを見るたびにビックリするのが面白かった。こっちに話題が来ないように両サイドの母姉が見事な会話術で封殺。こっちに意識が来そうな瞬間次兄がシャットアウト!盤石の布陣だった…仲いいなこいつら……


メニューはフルコースに近い形で出され絶品だった。この世界普通に調味料揃ってるし、料理数も多いし、さすが転生者の手が至るところに入っている。デザートまで進めば父が席を外すので、同時に小声で挨拶して退室。瞬間全力で隠密術、逃走術、隠ぺい術を行使!


「なかなか大変なミッションでした~!お疲れ様んサタバサ!」

「そうでございますね。しかしお部屋に着く前に油断しないことを忠言いたします」

「うわっ!いつの間に!!」

「失礼!」


そういうとラヴェはオレを抱えてダッシュで移動。部屋に駆け込む。


「なにがあったの?」

「ライラ嬢のお付きがマイク様を警戒されておりました。本日は部屋から出ないことをおススメします」


なにかめんどくさいことになったなと思いつつ、人工知能魔法用の本に足りてないことを記述していく。



翌朝…散歩しているとライラ嬢の気配を察知別の場所から覗くと東屋でお茶してる朝から…、アーロンのいる倉庫には行けなくもないけど騒げないので、反対側の庭に退避…


その後コミュ障先生の授業をおとなしく受け、ライラ嬢が帰るまで部屋で待機していた。


コンコンとノックがあった、ラヴェであれば勝手に入ってくる…


音を殺し、屋上庭園に退避、プールサイドチェアに寝転がり、持ってきていた人工知能魔法用の本に必要そうな情報の記述を追加…


しばらくするとどこからかアーロンが現れた。


「婚約者殿が探しておりますぜ」

「まだ帰ってないの?長兄さんはなにしてるのさ…」

「坊ちゃんについて詰め寄り過ぎて放置されたみたいですね、わりと険悪ですね」

「最悪じゃん!アーロンの方に行ったってことはかなり本気に探してるってこと?」

「えぇ…伯爵の屋敷で噂や何か起こることにもたいしてかなり首をつっこむ気質であらせられるとか…」

「下手したらもう一泊しそうだよね」

「ええ、ですのでお見送りにエントランスまで出向いてください」


どこからか現れたラヴェが呼び出されたことを告げる。


「すでに一度マイク様の部屋に返事も聞かず特攻しています。お付きの者にたしなめられていましたが、あの様子だと何度か来そうですね」

「面倒だね…かくれんぼも終わりかな…」


支度をしてエントランスに向かうと途中廊下で母がいた…中々厳しい顔つきになりそうな顔をしていかがなされたのか?そんなふうにオトボケかましていると肩をつかまれる。生まれて初めてのスキンシップでは…?


「上手くやりなさい…このままではあなたの平穏は終わりますよ」


小声で言われ、エントランスに歩き始める。それについていくとすでに父以外揃っていた。


「マイク様!少しお話よろしいかしら!」

「少しなら問題ありません。どうされましたか」

「マイク様はどこかお体を悪くされているのでしょうか、あまり表に姿を出していらっしゃらないようですが…」


やんわり聞いてくれてるのかな、虐待されてるか聞かれると思ってた…


「問題ありません。私はイングランディーレ家三男でありますので将来のために技術を付けたり、勉学に励んだり、色々と忙しいのです。みんなはそんな私を見守ってくれているだけですので、ライラ様もどうかそう対応していただけると助かります」


「そうでしたか…なにか助けになれることがあれば、おっしゃってくださいね」

「はい頼りにさせていただきます。この度はご心配をありがとうございます」


そうして見送り無事ライラ嬢は帰っていった。母は安堵の顔を一瞬見せ、引き返していき、長兄は明らかにこちらをにらんでいる。なんでだよっ!


そうして一日がまた過ぎていった

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