第69話 ガラス磨き
バナナ園にいつものように来た。朝の散歩のついでに扉を開く。朝の時点でだいぶ気温が高まっている。
換気をして空気を入れ替えても熱はこもる。適温は20~30℃なので上がり過ぎてしまうこのバナナ園の中は注意が必要。換気扇を回しつつ、サーキュレーターも使い熱を逃がす。
そういった部分を普段は気にしているのでガラスが汚れてることに気づくのが遅れてしまった。内も外も…
というわけでコミュ症先生の授業を受ける前にピカピカにすることにした。
上の窓は空けているけど関係なく、泡魔法を巡らせて高圧洗浄でキレイにしていく。
「うお!簡単にキレイにしていきますね、坊ちゃん」
アーロンはこの庭の管理をしているはずなのに結構他人事である。
「なんだよ…放置してる庭師が!何しに来た!」
「いやいや放置していたわけじゃないですぜ!坊ちゃんの仕事範囲だと思ってあえてしなかっただけでさ!」
「クソ詭弁!!!回れ右しろ!どっか行け!!」
「そんな言わなくても…何か手伝いまっせ」
「じゃあそこのワイパーみたいなので水切って!」
ガラスを磨き終えるとますます気温が上がった気がした。今日も日差しが強いな…
「氷魔法の魔道具置いたほうが良いですぜ!」
「いい!もうこれ以上魔力供給するのメンドクサイ!映像魔法ですらめんどくさいのに…てか魔力残滓溜まってるじゃん!誰もやってくれないんだから!」
「ならせめて日の当たる方くらいはガラス変えたらよろしいのでは?」
夏場だけでもそうしようか…アーロンに言われたように屋上庭園に設置してるような曇りガラスにすることにした。これで変わるのか?誰が記録付けといてくれる?
とりあえず掃除は終わったのでその辺りはテキトーに確かめれば十分…
コミュ症先生の授業に出て各地の特産品やら観光地などの勉強…いやどんだけ現代的な観光産業かよ…!!平和そのものやん…つーかどんだけ物知りなん!この先生も…復習せずにかぶることなく教えてくる。教師としては無能よりだけど知識量半端ない…
授業の後は屋上庭園の外に浮く…
朝の掃除の後に思いついた。ガラス掃除と屋根掃除…最近暗すぎる気がしてたのよね…
朝と同じように泡魔法を繰り出し、高圧洗浄で汚れを落としていく。夏の暑い時期は屋上庭園に誰もいるわけないので全体的にパッパッと魔法をかけていきキレイになる…
内側からも外側からも見にくい造りになっているが中からは多少は見えるようになっていた。外からはほぼ屋根のようなガラスであっても中からは仲のいい親子がバッチリ見ていた。
「ゲホッゴホッ…え?宙に浮いてるの?魔法なの?」
「大丈夫ですか?お母様…冷たすぎましたか?今日の気温的には冷たい紅茶でも良いかと思ったのですが…」
「ちがいます、外を見てノヴァ!マイクよ…!」
「へ?」
さらに視界の悪くなっているガラスに何かを噴き出して音を立てている?
「なにをしているのでしょうか?」
「さぁ?」
「おそらく掃除でしょう…朝も表にある温室をああやってキレイにされてました。正確には水属性の魔法のようですがそれを高速で打ち出しているのかと…」
「そうなの?ナナ…ガラスは割れたりしないのかしら」
「おそらく問題ないかと…強化ガラスと呼ばれていますのでかなりの衝撃に強いものと報告を聞いています」
「浮いてる理由はわかるのかしら?」
「重力魔法が使えるのは聞いております。その辺りは魔力のゴリ押しで運用しているのでは?」
「倒れたりしないかしら?それよりこんなことができるのね、あの子は…」
「お母さま、あのマイクの魔法はある程度の魔術師にはできるのでしょうか?」
「分かりませんね…旦那様くらいではないですか?」
そんな会話をされてるとも知れずアクロバティックに無重力を泳ぐように反対側に移動
反対側は普通の瓦屋根で同じように泡を散らし洗い流す。
「うん!ピカピカ!よしっ!!」
「主人…!なにしてるんだ?」
「掃除だよ…終わったけど…悪いんだけど天の透け!雨どいの中掃除してもらえない?」
「雨どい?どこさ?あの筒の中か…うんやって見せよう!」
天の透けも使いつつ外観の気になる部分も掃除させていった。厩舎もキレイにしたらライアンが喜んでくれたのでかき氷をプレゼントしておいた。
だが問題がある…
先ほどから母上の護衛メイドのハナが屋上庭園に招こうとしてくる。もちろん、母上からの命令なんだろうけど…
行きたくない…
オレはお茶会って嫌いなのよね…話すことないし…楽しくない…あの状況で何を得ればいいのかわからないし…
掃除があるの一点張りでなんとか20分抵抗したが行くことになってしまった。久しぶりに全力の魔法を時を進める魔法を発動してみようか…
そう!睡眠魔法という気づいたら朝を迎えるオレの渾身の魔法を!
「失礼します。マイク様をお連れしました」
「お招きありがとうございます。」
そういってすぐ席に着いた。うんマナーをへし折っていくぜ!
「ふふ…今日は疲れてるのかしら…ごめんなさいね呼んでしまって…」
「いえ、それで呼ばれた理由は?」
「別にお話がしたいだけよ、将来何になりたいとかどんな女の子ががタイプとか」
「さっきの宙に浮く魔法のことも知りたいわ!あれは重力魔法って聞いたけど、本当?」
うわっ!メンドくさっ!!模範解答用意しておくんだった。
とりあえず重力魔法を体感してもらって母上の質問に答えることにした。
「うわっ!これが重力の無い状態…すごいわ!動くのも難しいしすごい魔法なのね、すごいわマイク!」
「あ、ありがとうございます」
「いいわね…私にもしてほしいけど…(我慢ガマン……)
それだけ魔法を使えるなんてさすがはセブン様の子ね!」
「いえ、あのくらいであれば他の能力でもできるみたいなので大したことじゃないみたいですよ。固定魔法と操糸魔法を組み合わせている人もいたり風属性の魔法で浮ける人もいるみたいなので…」
「そうね、それでも素晴らしいことよ。あなたは他にも動いているでしょう。こうやって話せる日は稀でなのよ。素直に喜んでほしいわ」
「ああ、すみません、こういう場だと振舞とかに気をとられて楽しむことを考えたことがないので…」
「そんな堅苦しい場じゃないわ、あなたのことが知りたいだけ。これが硬いのかしら?ふふっ…」
うん、やっぱり居心地悪いわ…近づくのが怖いのに…いい距離感考えてほしいわ…
兄たちの婚約者の印象の話から将来の婚約者の話などに持っていかれ最初の思惑通りに話を進められた。だがそこに寄り添う気持ちは1ミリもなかった。兄の婚約者の印象は会話もしてないし人柄も知らないのでわからないで乗り切り、どんな婚約者がいいかという話は別にいらないで乗り切り、将来何をしたいかには今と同じように好きに生きて好きにお金を稼ぎたいで乗り切れた。
どんな女の子が好き?という姉の問いにも勝手してても何も言わない人で乗り切った。乗り切れたかどうかは正直わからん。ハナとかナナの顔はだいぶ渋かったし、ハッハとアッネの顔もだいぶ顔が引きつってて皺が増えそうな感じだった…
しゃーなしじゃん、貴族っぽい裏の意味なんてないけど…伝わってるよね?別に好き勝手やらしてほしいって言ってるだけだからね。それがダメなのか?でも大丈夫じゃ…大丈夫じゃないか…まぁいいか……
今度から屋敷の掃除するときは姿見せないようにしよっと…




