第61話 麺コネ機
「もう嫌です!生地作りたくないです!!!」
「そんなんじゃいつまでたっても下っ端じゃぞ!ウチののれんが欲しいんじゃなかったのか!?」
「いりませんよ別に!てかもうだいたい教えてくれてますやん…!」
「ふっ…この間は確かに油そばというちょい手抜きラーメンを教えたがまだ神髄は教えておらんぞ!我が弟子よ!」
「その師匠ムーブなんなんすか?…で他にもメニューがあるんですか?」
「ふふっ、貴様にはまだ豚骨で出汁をとることしか教えていないのに気づいていないのか?全く…愚鈍な奴だ!それでは冷やしラーメン、もとい冷やし中華も教えられんぞ!」
「冷やしラーメン!!!!なんですか?ソレは!!?これから暖かくなっていくんだから確実に覚えたいじゃないですか?もしかしてパスタにも使える技術ですか?麺を冷やすだけでいいんですか?タレもですか?でもそれだと油が固まっちゃうんじゃ?」
「……」
「もしかして一時期はやってレシピ紛失が起こった冷製パスタもそれで作れる可能性があるってことじゃないですか!?ワクワクしてきました!ぜひそれを伝授してください!師匠!!!」
「……簡単に生地をこねれる魔道具でも作ってくるわ、ラーメン出来たらオレの部屋持ってきて!」
「はい!ぜひお願いします!」
ラヴェを呼び分解しても良いパスタマシンを買ってきてもらい、自室で麺コネコネ君の試作品を作ることにした。最終的にはカットまで魔道具でできたらいいなと思っています。
必要なものは本来であればモーターだろうけど、この世界では風属性の魔法である。ミキサーと呼んでいる魔法を刻印する軸を用意していく。回転しやすいようにボールベアリングも付けちゃおっかな?ミキサーの刃の部分につけて…
…刃ってあったら危ないかな?アタッチメント機構にして最適なヤツに付け替えれるようにしておくか?鎌っぽい形と両刃みたいなヤツ、あと角みたいなヤツとかかな…
大きめに作っておくか、パワーも必要になってくるだろうけど多く作れた方がいいよね、小麦粉持ってくればよかった…あと重曹……
「マイク様、こちらお持ちしました!」
「うん、ありがとうラヴェ!あと小麦粉と重曹持ってきてもらえる?」
「こちらにございます!」
「さ…さすがでございます!ありがと!」
簡単に開閉できるようにして…水もいい感じのタイミングで入れられたほうが良いかも…できるかな…
アクリルっぽい素材はまだ造形魔法でできないのでブ厚めのガラスで中を見えるようにしてっと…
なんとなくできたので早速魔法を使用してみる!ギュルルルル…
水がちょい漏れ!水の注入口を回転に沿わない角度にして再加工…
水漏れの部分が変わった…フタの方だった。収納魔法からスライム素材を取り出す。これを内側に取り付ければ多分大丈夫…いや側面か…
でも加工の仕方わからない…
「ヘイ!スプマンテ!スライム素材の加工の仕方を調べて!」
「かしこまりました我が君!こちらになります!」
熱を入れて不純物が無くなり液状になり型にはめて冷やすといいらしい。
フタの内側側面にちょい出っ張るような形を生成、それにぴったり合い分離できるように造形魔法で型を作る。熱したスライム素材を型に流し冷やし、あっという間に作りフタに埋め込む。全部魔法で簡単にできちゃう!素晴らしき世界!
そして機構だけは簡単にできた。余ったスライム素材をすべり止めとして下の方につけて丸みを帯びさせた形状にして機構部分を覆ってあげよう。魔力残滓もたまらないようにしてとりあえずこれはこれでいいかな。麺コネコネ君試作型完成~~~!!!!
次にパスタマシンを分解!伸ばす部分と切る部分の簡略化を考える。
まずは伸ばして平たくしていく工程となるローラーの魔道具を幅広く作る。こねた生地を飲み込ませてみると通り抜けさせる。Uターンしてもらいたいので返しを作り…あれ?うまいこと行かんな…
内側にローラーつけて出てくる側にもローラー…
どうにかできた…細かい部分はまだまだだがこの工程を繰り返せばいい感じに薄く延ばせるようになった。
こうなってしまえばカッターの部分を再現していくだけ!いくつもの溝のあるローラーを回して切っていくみたい…なるべく高めに設置して垂れてくる麺を確保できるスペースを作ったほうが楽に作業できるな…
ちょうどいい長さでカットできるようにしておいた方がよいかも…思い立ったらやっちゃうでおなじみマイク・イングランディーレは大型はさみを設置。魔力感知式で手を添えると下に刃が出てきて上から刃が一気に降りてくる仕組み、今後はサイズ指定とか長さ指定とかできるようにしたい。今は厳しいのでこの仕組みにして片手なり麺棒なりで麺も回収できるようになっている。楽でいい!
これで一通りの作業の効率化は出来た。あとは置く場所と3つの機体のポジショニングだな…
「失礼しま~す!お食事お持ちしました!」
「来たかトム!、これでどうだ?」
「ええ!もうできたんですか!?うわっ!どう使うんですか?」
「ラヴェ手順教えてあげて!オレはラーメンを食べる!」
「かしこまりました!マイク様!」
メシを食べながら2人の作業を眺めておく。3つの魔道具は基本的に触れて魔力を注ぐ形になっているが何かあったら面倒だし、安全機構も作っておいたほうがいいか?
難しい工程はないので簡単に覚えてくれそうだが、形を整える部分はしっかりやってほしい。打ち粉もしっかりまぶしてくれ!アイツ全然作業覚えてくれてないじゃん!
うわ!麺の長さもバラバラ…素人か!あいつ…隣に一玉ずつ置く用のカゴ置いといたのに理解してくれないなんてまだまだだね…
今考えたことを全部通信魔法でトムに指摘した…メチャ振り返ってきて「直接言ってくださいよ!ビックリするじゃないですか」って言ってきたけど、「まだラーメン食べてる途中でしょうがっ!!!!」と返してあげた。
よく考えれば中華麺以外も作れそうなことに気づいた…太麺とかも作れるしな…
ラーメンを食べ終えてからパパッと太さを変えれるように溝幅を変更!…正確には追加で溝同士の幅が違うものを2つずつ作り切り替えれるように用意!これで太麺とうどんが作れるようになるはず…
言うは易し、行うは難し…単純な幅が切り替えられる機構にしたのだが生地によってはばらつきが出そう。安定性が足りない…
なんとか太さを可視化でき、運転中に再現性高く麺を出力できるように仕上げられた。
「なんで太さを変えるんですか?」
「無知め!仕方ない教えてやろう!この大きいのがうどん用!コシがありつるつるして美味い!太麺の方は汁がより絡むようになって美味い!ふつうのヤツはなんだかんだ言って美味い!」
「理由ショボ!別に一緒でも良くないですか!?」
「何事もバリエーションが違えばうれしいだろ!同じメニューばかりで何が楽しいんだ!ちなみに茹でる前に軽くもんでおくことで縮れ麺というよりスープが絡みやすい麺も作れる!ラーメンは大体こうした方が美味い!」
「それはわかってますよ、何回作らされたと思ってるんですか!?」
「ふっ!修業に終わりはないということだぞ!」
続いてそれなりの大きさになった魔道具をどうするかの話になった…厨房はもう空いてないらしい。マズイじゃん!製麺所でも作る?
とりあえず一回で量を作って保管する方向になった。余ったらトムがマイクのところに持って行ってフリーズドライ!よしよし…完璧だな!
やがて厨房の倉庫を出たり入ったりするうちに常備される運びになった…素晴らしき解決法!良きかな良きかな……




