第59話 兄の婚約者たち
来客……
来客ですよ…
ええ、例のレキシー嬢です。あの鼻に付く感じの人の家物色娘です。今回も従者が多いこと……
感覚としては100人くらいに見えるよ、実際は15人だけど…でも多いって………
さらに大変なことにバート兄上とともに学園入学前のオリエンテーションに出ていたライラ嬢も一緒に帰還した…カオスです。
顔合わせをしているらしい。とりあえずコミュ症先生の授業に避難している。そこから訓練へのハシゴ。いつものルーティーンに感謝!騎士団訓練のメニューは槍術の方に移行していた。
基礎訓練の後の実戦訓練で槍の型を教わり、ひたすら棒に振り回されてた。体が上手いこと使えず、遠心力に持っていかれ、突きに威力はなく、いなされ続けてボコボコにされた…魔力値が戻ってきたといえ、まだ全身にかけられるほどはない。部位ごとに出力を変えながらやっているがその辺は加減が難しい。ムカついて全身身体強化かけて模擬戦をしたが疲れの割には成果が弱い…納得できない仕上がりであるし、周囲制圧の魔素の操従も両立できなくなるし、ある程度管理魔法を使わないと厳しい現実がそこにはある。
ただ管理魔法の使用は副団長に止められてる。そんなものに頼ると弱くなる。自分の感覚で操れないものには成長はないとかいう理解できそうで理解できないラインの言葉を吐きやがって…!
そうして訓練を終え、帰る気がしない。
屋敷には奴らがいる…カフェに逃げようかな…余った魔力で転移はきついので屋敷に戻り、気配察知を展開…どうやらいないらしい、はにゃ?
裏庭に行くとオルが一人で厩舎に残されてた。
「置いて行かれたのか?ご飯は食べた?外せって?まぁいいか…」
「ブルラァゥヴォオォォォ」
元気に動き出した…リード付けとかないといけないんだっけ?やべっ…ライアンがいないとまだ世話の仕方に難が残る…それにしてもどこ行ったんだ?
「奥様方なら後光カフェに行かれました…」
「ラヴェか、マズくね?」
「キキョウ様がいらっしゃるので問題ないかと…」
「じゃあ大丈夫か…ハイハイおやつでも作ろうな…」
オルの要望でラヴェとお菓子を作ることになった。といっても簡単なパンケーキ!
厨房で材料をパクってきてトムも連行、外に厨房を設置、造形魔法でサクサクやりつつ火球も生成しておく。中火くらいにはなるだろう。
生地を作り、生クリームを作らせ、ラヴェにフルーツをもぎもぎさせる…オルがもいだフルーツを食べてる…うん、台無し!フライパンを温め、バターを敷いて型を生成して生地を流し込む!あ、型にバター塗ってないけどまずいかな…
そんな間に膨らんでいるので問題ない…あっという間にできたパンケーキをさらに盛っていく。クリームをかけ、フルーツを置いてかんせバクンッ!!
ムカッ!
オルに説教した…しょげやがって!こっちの方が悔しいんだぞ…その間にトムとラヴェが作り直していた…さすがであ~る。厩舎にオルを繋いで閉じ込めてから戻ると出来上がっていた。
「どこで食べられますか?」
「ここでいいよ!ホイ!造形魔法!」
机とイスを出すとテーブルクロスがかけられセットされる…さすがラヴェ!
「マイク様!コーヒー牛乳でよろしいですか?」
「うん!ヨロシク!」
「あはは、マイク様はまだまだ子供ですね!ラヴェ!僕はカフェラテで…って熱っ!!」
凄まれるトム…将来は完全に尻に敷かれるな…いやオットマン扱い…どころか床の建材にされそう…そんなことを考えているとライアンが帰ってきた…
「おや坊ちゃん!茶会ですかな?」
「モグモグゴクンッ!そうだよ!ライアンも食べる?」
「へへっありがとうございます。ご相伴にあずかります!!」
一緒に帰ってきたパーマー家の人にも声をかけてみた。
「わっしもですか、ありがとうございます。ですが作法の方が勉強不足ですので遠慮したく思います。」
「気にしなくていいよ…やることあるなら別だけど…ちょっとゆっくりすれば?」
「へい!では…」
そういってライアンに伴って席に着いた。ラヴェによりパンケーキとコーヒーが並べられた…トムもすでに席ついて食べている状態で恐る恐るしているパーマー家の御者さん…ライアンの動きに合わせて動いていた…やっぱりヤベェ家なのかなパーマー家って…
「そのままでも行けますが砂糖とミルクを入れても大丈夫ですよ、試してみてくだせい…」
「パンケーキはこのシロップどうぞ!」
「あ、ありがとうございます…」
「あ!大丈夫ですよ、自分ただの料理人見習いなんで!トムって言います!」
「あぁ、ではこちらの方は?」
「この屋敷の三男のマイク・イングランディーレ様ですね、優しい方なので作法とかも気にしなくて大丈夫ですよ、ねぇ坊ちゃん!」
「うん!だいお~ぶだいお~ぶ!ゆっくりしてってよ…!」
「は…はぁ~ではいただきます……ん!!モグモグパクパク……美味い!!!!こんなおいしいものをいただいて本当にいいのですか!!!?」
「えええ~~~大丈夫だよぉ~気にしないで~美味しいものは共有した方がもっと美味しくなるんだよ!あははは!!」
「作ったもの褒められてうれしいだけでしょう、坊ちゃん…」
「えええ!?貴族様がお作りに!????」
「えへへ~~すごいでしょ~~~今日も頑張ったから自分へのご褒美なのさ~~~」
「なんと………」
「ハイ!マイク様は常に頑張っておられます…」
「あ、マイク様!晩飯どうします?油そばっていうの挑戦します?この間の材料残ってますけど…」
「うわっいいじゃん!やろうぜ!」
「マイク様残念ながらご夕食は食堂に集まってになります!」
「ぐはっ!最悪じゃん!面倒くせぇ!!!トム変わってくれ!!!」
「無理ですよ、全員から何コイツって思われるだけですよ!ご自分でどうぞ!」
最悪の情報を得て裏庭でダラダラするのであった…
日が暮れ食堂に向かう。めんどくさいので厨房から食堂に出る。まだ誰もついておらず机の準備をしていた。早すぎたか…
なぜこちらから来たかというと屋上から聞こえてきた兄上の婚約者たちの会話からマイクがすごいので紹介したいというものだったからだ。なんどか自室のドアが叩かれてた。ずっと裏庭にいたけど…それらに関してはスプマンテとマルちゃんに教えてもらった。
端の椅子に存在を隠して待機。準備がされたテーブルへラヴェに案内してもらう。席に着き静かに待つ、いつも通りの夕食前、最初に待つのは難癖がつかないようにすることと意外と話しかけられないから…
なぜなら…
「お久しぶりです。ライラ嬢、レキシー嬢、本日はお会いできてうれしいです。よろしくお願いします」
という自分でもよくわからない挨拶で断ち切るからだ…!これは強い!あとは隠ぺいで隠密して食事を楽しむ…ああお腹空いてないな、失敗した……パンケーキ…いや生クリームか…くそ…
ただ話は聞いておく…レキシー嬢はずっとしゃべってんな…
聞いてて思ったんだがコイツ…この家のことメッチャ好きじゃない?ジーン兄上はずっと聞いてるだけだけど、普通に崇められて困ってない?年下で爵位も下の義姉上すら敬ってるし…怖いな……ただこっちには気づかないし、存在認識すらされてないな…よかたよかった…
ライラ嬢も引いてる、バート兄上はこういうところでしっかりフォローには入れてて偉いなぁ~すげぇ…まだ11歳でしょ?もう12歳か…あれ?こっち見て笑ってる?まさか…バレた?父上もうなづいてる…へぇ~すげぇ…魔力分析とか解析が必要なんでしょ…もしくは看破・鑑定魔法…どれかを身につけたのか…それとも教えたのかな?問題児から目を離さないようにって……だとしたら厄介…
その後何ごともなく過ぎ、自室に戻れた…見送りもせずに済んだ…ふう何もなくて助かる…あ、天の透けプルプルしないで…




