第52話 兄の婚約者new!!
バートラム兄上が婚約者であるライラ・ビートブラック嬢と仲良くして1年くらいが経つ…
10歳を超えると婚約者がいる状態が普通となってくるらしい…生まれる前から決まってるとかいうトチ狂ってる貴族家があるらしいが、基本的に12歳になる年に王都の学園に通い始めるのでそれまでに決まっているのが貴族嫡男にとってはベターらしい。バートラム兄上とライラ嬢は今年の9月入学に向けて進めていると聞いた。
そしてイングランディーレ家にはもう一人の近い歳の男児がいるわけだが、ジーンの方にも婚約が決まる運びとなった。
お相手はビートブラック家の隣の領地でもあるパーマー家のご令嬢レキシ―・パーマー嬢の名前が挙がった。現在の王国の思惑としては北西の地域辺りを魔人領の防波堤として機能させるためにイングランディーレ家に陞爵に合わせて領地を与えていく方針と考えられる。将来的にはノヴァリリスの辺境伯への嫁入り、マイクの北西周辺貴族への婚約が既定路線となり、ユニヴァース公爵家の名を与えられることになる。
ただマイクはなんとなく知っているのでちゃんと逃げる準備はしている。
そうした事情もあり本日がその顔合わせの日になっていた…
めんどくさいので当然すっぽかし、コミュ症先生の美術の授業を受け、ゴリラとの基礎鍛錬・槍術訓練を受けて屋敷に帰ってきていた。
従者の数が多い…!10人くらいおる?騎士がパンパンに入っとるやないかい!合計で30人くらいか?パーマー家が子爵家であるのは知っていたがビートブラック男爵家とこんなに違うん?仕方なくアーロンを探し庭で遭遇…
「今どんな感じ?」
「うわぁ~帰ってきましたね、坊ちゃん…
とんでもないわがまま姫ですぜ…屋敷にあるモノ片っ端に目をつけては持ち帰れないか画策してますぜ…高圧的ですしバナナ温室にも目ぇつけてましたぜ!」
「マジ?映像魔法の方じゃなくて?今から光学迷彩で隠して認識阻害というか記憶誤認させれないかな?」
「げぇ!わがまま姫よりあくどいやないですか…洗脳ですぜソレ…
今はお茶会で屋上に釘付けのはず…今頃屋上庭園のギミックとトムのお菓子に魅了されてるころですぜ」
「うわぁ~ジーン兄上は対応してるんでしょ?トムは最悪大丈夫だけど、そうそう手放すこともできないよ、すぐ行ってくる!」
そうして温室を光学迷彩で隠しつつ映像魔法でも昔の庭園を再現、悪くないかな…
裏庭に移動…馬の管理をしているライアンにも一応確認しておく
「オルを見られたら連れていかれるかもですね、珍しいものが好きみたいで…これだけ白馬も揃えてますから…」
「確かに馬車も豪華だね…わがまま令嬢って聞いたけど?」
「ええ…あちらの御者さん曰く、領地でもなかなからしいですよ」ヒソヒソ…
「うわぁ~関わりたくないねぇ~、まずはオルに…いや隠ぺい使えるから大丈夫かな」
オルに説明して隠ぺい魔法もしくは光学迷彩使ってっと指示しといた…遊ばない遊ばない…明日走り行こうな!!……
次に厨房に行くとトムがしおしおしてた…
「まずいですマイク様、連れていかれちゃいます。何とかしてください!」
というのでとりあえず爆笑しておいた…カフェのクッキーやらスイーツも作らせてラーメンなんかのメンドクサイ料理も教えているのに手放すわけない…
え?オレの名前出したの?オレ挨拶してないんだけど?それで軽んじられてると思って怒ってたの…?
…まずいねぇ~~~~
一旦体制を整えるため自室に移動…ジーン兄上とレキシ―嬢は分かれてそれぞれの自室に戻っていることを気配察知で確認…戦力分析、敵を迎え撃つ準備を整えていく。
侍従含め騎士の中にバケモノはいない…パーマー子爵自身も夫人を連れているのを確認…なるほどね、こっちにも人が多い…客のくせに図々しいな…こんな圧かけて効果があると思ってるのか?思ってるんだろうな…将来への楔を今の内から打っておこうっておいうのが丸出しだな…
パーマー領もビートブラック領と同様にかつての勇者パーティーの世話になっている。魔物の大軍勢から領都を守りパーマー前子爵も守り切ったとか…
そのお返しがコレか?アホだろ…新興貴族だとみくびってんのかな?まぁオレには関係ないか…
イングランディーレ家の意向を探りつつ、パーマー家の情報収集を自室から行う…面倒ごとにはなるべく関わりたくない…そうして確認が終われば屋上に行き、先日からやっている魔物図鑑の作成のチェックをしていく。
基本的にはスプマンテの力によって自動作成されているのでそれらを読んでいくだけで大体まとまっていることが確認できる。スプマンテの疑問により魔物素材の価値や希少部位、活用方法にアクセスできるようなページも追加した。さらに必要素材の必要頻度など定期的な割合などもまとめたがあんまり意味ないかと思い保留にしておいた。
そうこうしていると作業している(畳に寝っ転がりながら資料と見比べてるだけ)とラヴェが来た…
ディナーへの招待らしい…ふぅ~嫌やなぁ~
食堂に行くとまだ誰もいなかった…長机のどこに座るかとなると一番の下座が当然であるので導かれるままに座っておく。6歳児だからな…かわい子ぶっておけば問題ない…
お誕生日席には当然父セブン、左手に母上が座る。反対側にパーマー子爵、子爵夫人、レキシー嬢。母の隣から兄が座っていくはず…そうなると……
…レキシー嬢の隣じゃねぇかぁぁぁ!!!
最悪だ!!挨拶すっぽかしたツケがとんでもねぇ利子付きで返ってきた…!
なるべく距離をとろう!今の内にちょっとだけ…
しばらくしてほぼ全員そろって入ってきた…え?そんな決まりあるん?対等です的な奴?聞いてないよ!!
全員が席に着いたところで父上と目が合い、簡単なあいさつの後自己紹介をした。嫌味でも言われるかと思ったら無視された…うん逆にありがたい…
そのあと隠ぺい魔法で気配断絶しておいた…レキシー嬢はすぐ隣にいる存在なのにその後一度もこっちを察知できなかった…給仕にはわかるようにしておいた。左に魔法が全張りで右ががら空きみたいな雰囲気。正面の姉上もたまに見失っていた。ちょっと面白い……
会話も当然聞いておいた…内容はマウントをとりつつ利権のいくつかを寄こせというものだった…うん全部オレのや!父上はたびたびコッチを見てた…やはり父上には魔法の意味がないな…パーマー子爵の申し出をしっかり断っていた…功績はイングランディーレ家だけのモノではないという言い訳でかわし続けてて大変そうだったなぁ…なぜこんな奴らと関係を作らないといけないのか理解できないな…
ジーン兄上はどう思ってるのか向かい合う二人からはポーカーフェイス過ぎて何もわからない…読心術でも使えればよかったのだが、先ほどから話す内容もあまり膨らむことがない、当たり障りのない会話…これはキツイでぇ~、頑固とワガママじゃ相性悪そうだしな…
何もわからないまま食事も終わりテキトーに席を外した…断りなくたったが気づいたのは父上だけ…通信魔法で一方的に退席を伝える…
マイクの存在を認知できるのは後ろに控える侍従たちのみ、パーマー子爵に仕える人はマイクの存在を視認しているので平然と席を外していった子供を呆然と眺めていた…いつもなら相手の隙をとことん突く子爵が全く触れない。何かされているのか、だが誰も触れない…何かがおかしい…だがその存在は退席とともに意識からパッと失われた。
人の認識をずらす混合魔法幻惑、幻影魔法に妨害魔法が組み込まれた魔法、この食堂でマイクの魔法を理解できたのはセブン・イングランディーレただ一人である。
無事乗り越え帰っていくパーマーご一行を見送ることなく風呂を浴び床につくのであった…




