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第51話 初クエストへ

 冒険者という仕事がこの世界には存在する。

 各街にあるギルドに依頼が集まり、それらを個人やパーティーを組むことでクエストを達成していく。様々な街で需要があり、街中の依頼では清掃や郵便、外の依頼になると薬草の納品や害獣駆除となっている。冒険者が特に重要視される点は魔物を討伐する能力に特化している点である。


 騎士や衛兵は対人戦が主であるが冒険者は人外の敵を相手にする過酷な仕事になる。それらすべて相手に合わせて戦わなければならないので危険が付きまとい毎年登録者の約半分が生死不明になるほどのリスクが存在する。


 そんな危険な職業への一歩を今日迎える人物がいた…


 名前はマイク・イングランディーレ…イングランディーレ子爵家の三男にしてその存在はあまり周知されていない幻の貴族である。貴族として生きる彼がなぜ危険な冒険者になろうとしているのか?それは…


 今となっては暇だからとしか言いようがない…


 以前までなら将来どこでも生きられるように冒険者をやったほうが良いと思っていたが、カフェが成功しいろんな利権を手に入れて正直将来に対しての不安はこれっぽっちもない…!だからそんな危険な仕事する必要がない。だがやるのだ…ヒマだから…………


 本来冒険者登録は10歳からという規定はあるが以前冒険者ギルドを訪れた際に仮登録ができた…それにより最低ランクの依頼を受けることができるようになっていた…といっても貴族街でしか受けれない依頼があるので簡単に入ることができる弱小貴族が受ける依頼がなかなかの頻度で存在する。清掃やゴミ処理、下水で繁殖したスライムの討伐など、意外と苦労しそうな依頼が散らかっている。


「マイク様でしたらこちらが無難かと思われます」


 そういって受付嬢に示された依頼は逃げた猫の捜索依頼や手紙の代筆、郵便配達などの比較的簡単な依頼だった。ワキの方にアエロリット家侍従募集が見えたが見なかったことにしよう!


 意外と最低ランクでも受けれる裾野が広いことがわかった。どうやらランク的にF・Eというものは王都内には多いらしい。さらに冒険者ギルドでは王国内に限らず様々な場所の依頼を共有しておりどこの冒険者ギルドでも受けることができるようになっている。かといっても時間制限や依頼料も設定されているので不用意に遠くの依頼を受けに行くものは少ない…通信と管理が世界に馴染んだことでかなり円滑になっているというわけである。


 そんなわけで冒険者としての初依頼でもある迷いネコ捜索依頼を受けることにした。


 一見難しそうな依頼であるが追跡するのは難しくないはず…


 まずは依頼主の屋敷に向かった。宮廷貴族で父の同僚にあたる家らしい…執事さんに話を伺ったところお嬢さんの飼っている猫が一週間帰ってこないらしい。手掛かりになりそうなものを見せてもらったがデカいエサ用の器…


 ええ!!バケモンやん!!!どうやら逃げ出した猫は魔獣らしい。というより徐々に狂暴化して大きくなっていったらしい…処分しようとしたお嬢さんに止められあれよあれよという間に成長して逃げ出してしまったという顛末を聞いた…うん、アカンやん!


 一番危険な依頼を受けてしまったと思いつつ仕方なく探すことにした…


 たまに身につけていたというスカーフを手に考えることは魔法で何かできないかということ…嗅覚強化とか気配察知特化とか追跡術とか千里眼とかサイコメトリーとか…


 サイコメトリーか…アリだな……


 なんとなくの魔力を込めて残留思念的な超常現象を探ってみる…魔法の形状としては魔力察知に近い。


 そうしてブラブラ歩いていると魔法が完成した。探知魔法という名称を付けて早速使用…魔力量で距離が変わるようだ…


 反応のある方に向かうと魔法騎士団の訓練場に出た…


 なんとなくわかる魔素が濃い、というか魔力残滓が蔓延している…アホなのか魔法騎士団…

 テキトーに浄化させながら隠密魔法を展開して進入する…気配察知が対象ではないものに反応する…


 隠密魔法対策の何かかな?仕方なく合成魔法光学迷彩を発動する…万が一も考えて多めに魔力を使い探知魔法の対象にしている猫の元に向かう。


 後ろが騒がしい…隠ぺいもかけておくべきだったかも…てか正面から堂々と入ればよかった…クソが…


 隅に寝っ転がっているデカい存在があった…見たことある品種だけど名前知らない猫が巨大化していた。どうやらこの辺りは魔力残滓が濃く、瘴気のようなデバフ効果を発揮するような環境になっていた。というのもこの場所はどうやら攻撃魔法の練習場で的などもあり弓道の射場のような場所らしい…うん。うぜぇぇ


 テキトーに浄化をかけ範囲を広げる…


 …ん?……あれ?あの巨大ネコ…は………


 …いた!…動いてなかった、てか小っちゃ!ぐったりしてるわ…ん?なんかの魔法かな?浄化で解決したのかな…うん、一件落着だな……


 ネコを抱いて屋敷戻る途中で異変を察知して魔法騎士団訓練場を散策する団員とすれ違う時に聞こえたのだが「なんか今日は空気がきれいじゃないか?」「憂鬱だったけどなんか晴れ晴れしてきたな」「それより侵入者なんか本当にいるのかよ」「誤作動だろ…こんなところ忍び込んでも何もないだろ!」


 そういって通り抜けていった…


 もしかして魔力残滓認識してないの?え?いいの!?これ?……大丈夫か?


 心配ではあるので父上に報告することにした。ただ浄化の力は魔法陣がなさそうなのでちょっとだけ研究してブン投げて空気清浄機を作ってもらう方向で誘導することにしよう…いや自分でやろうかな…派手にやりたくないしな…だれかやってくれないかな?



 無事に依頼主に猫を返しに行った。3時間くらいであっさり終わったので屋敷の執事さんに驚かれた上に猫が縮んだことにも驚かれた…説明必要かと思ったけど猫が見つかったことと危険が無くなったことで安堵したらしく問題なく依頼達成となった…


 達成報告は依頼主側がギルドにするらしく、屋敷を出てオレは早くも次の依頼を確認しにギルドに戻ることにした…ギルドにはすでに連絡が届いておりなんの手違いか依頼のランクもDに上がっていたらしく楽々終わらせてきたオレに受付嬢さんは驚いていた。ふふっホレちまってもいいんだぜ…!!!


 続け様に依頼を受けようとしたら今は資料整理しかないと言われた。各地方から集まる情報に対して精査したものがこの王都に集まっている。その情報を分かりやすくすることがこの依頼らしく、主に魔物や地形気候などに関することがまとめられているらしい。興味がてら受けてみることにするととんでもない資料の束に襲われた…


 どうやらこの依頼を受けるものは多くないらしい…うん、だよね…冒険者がするわけないよね……


 目に入るだけでもかなりあるが依頼料は歩合制らしく、スプマンテを引っ張ってくれば楽にできそうなことはわかった…まとめ方に決まりはないらしいのでポケモン図鑑をイメージして名前、ビジュアル、おおよその体長・体重、亜種の有無、習性、分布、ランク付けなど、資料として見やすいプロットを作ることにした…


 初めに手に取ったのはゴブリンで少しずつ進めようかと思ったが、コイツ形態変化が多すぎる…!人間のジョブくらい範囲が広いし、地方によって戦術変えてくるし、終いには空飛ぶゴブリンとか波乗りゴブリンとかいう種類も見かけるとか…初手からとんでもない魔物資料作る羽目になってるじゃねぇか!!!


 3時間くらい進めたところで受付嬢さんがやってきた…


「えええ!?すごいキレイになってる??…あぁ端に重なっているだけですか…でも仕分けがなされているんですね…追加はこっちですか…うん素晴らしいですね!!上と掛け合って正式な書類の形にしてもらいましょうか」


 …なんだか嫌な気配……


 ある程度ゴブリンに関しては出来た上に各地での動きを別途資料に重ねて提出、本来資料1部につき銅貨1枚、今回であれば50部くらいになっているので大銅貨5枚になる予定だったが銀貨10枚を受け取ることになった。もちろん振込…


 かなり見やすくなったと評価を受けすでに各地で閲覧できるようにしてしまったらしい。もちろん冒険者ギルド内だけの共有石板での閲覧になるらしいのだがオレだけいつでもどこでもアクセスできる権利をいただいてしまった…本来はSランクと評価される最上位の冒険者だけの特権らしい…冒険者全員に常備したれよ…!


 資料が優秀らしく今後もお願いされた。魔法契約も結び、全情報を手に入れることになった…


 こうして初依頼を達成するのであった。


 ちなみに余談だが資料を収納魔法にいれて持ち帰り、スプマンテに処理させた。スプマンテは事情を知らないので持ち得る知識をまとめ始めて魔物の欠点とかも記し始めた…え?バカなの?魔人たちの方もやりましょうか?マジか…こうしてグーグル先生ならぬスプマンテ先生が強化されるのであった…

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