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第5話 いざ!下町

 …ん……朝か…

 昨日は副隊長と模擬戦をして…気を失ってたようだな…魔力不足だったか。


「あ、おはようございます。マイク様…」

「ラヴェ…おはよう…」

「軽いお食事を用意しました。ごゆっくりお食べになってください。お加減がよろしくなければいつでもお呼びください」


 いつものようにほかの仕事に向かったラヴェル、いやいつも以上に丁寧だったな…見間違えか?


 食べ終わり、庭園を散歩する。


「おお!坊ちゃん!昨日は散々だったな!」

「なんだアーロン、ゴリラにコテンパンにされたの知ってんのか?」

「しっかり覚えてるようで安心ですぜ、昨日は旦那様も副団長殿も慌てていましたから…」

「父上が?」

「副団長殿ににじり寄ってましたね…あのような姿は久しぶりですね」

「ふーん……そうか、それより枝豆の種届いたみたいなんだけど…」

「あ~あ…花屋に頼んだ奴ですな、こっちに運ぶよう手配しましょうか?」

「いや、貴族の屋敷にあんなもの注文されて確認の連絡来たんだよ、どうせなら取りに行こうぜ!」

「ははっ、屋敷の外に出たいからって無茶苦茶ですな…ラヴェ嬢を待たれては?」

「アーロンが付き添ってくれれば問題ないだろ」

「ふっ、二日続けて旦那様に心配をかけることになりますね」

「はっ!父上はオレのことなんて大して気にかけてねぇよ!さっさと行こーぜ!」


「…旦那、本当にこのままでいいのか?」そうつぶやいたが誰にも届かない


「ぶつぶつ言ってると一人で行っちまうぞ!」

「ハイハイ…すぐ行きますぜ~」




 貴族街と下町を隔てる関門に向けてアーロンを連れて歩いていく。関門といっても完全分断されているわけではなく、こちらから向こうの下町が見渡せるようにドデカい門が開いている。閉まることは少なく貴族街をつなぐ2つの門ではしっかり門番が仕事をしている。そうして出入りをしっかりチェックしているわけだが…マイクは下町への立ち入りを当然許可されてないのでココはなんとかやり過ごさなければならない。


 だが心配はない…


 マイクは以前から隠密術を使い屋敷から脱走しており、貴族街に関してはある程度道を覚えている。しかも脱走しすぎて制限がかかっているためバレないように外出の際は身分を隠すような格好もしっかり用意している。さらにアーロンは隠密の達人なので下町に向かう関門は簡単に通り抜けられる。


 そうして関門を静かに脱すると右手に武器屋、整備所、などの職人ギルドに所属する工房などが立ち並び、反対側には商人ギルドのドデカイ建物が堂々とそびえたっている。ちなみに商業ギルドには貴族側からも入れるようになっていて関門にドッキングする形になっている。その通りを抜けると、雑多な賑わい香ばしい匂い、様々な人が行き交う時計塔前大広場がある。


「やっぱり人が多いな、遠くからしか見なかったけど…」

「迷子になられたら困りますぜ、坊ちゃん!」

「あぁ…で花屋はどっちだ?」

「戻って右の路地ですね」

「先に言えよ!」

「こんな目キラキラさせる坊ちゃん中々見れませんぜ!こいつはラヴェ嬢に恨めし案件ですね…」

「ラヴェが?そんな反応するかな?」

「わかってませんねぇ。女の子の機微程度上手く乗りこなせないと貴族社会でやっていけませんぜ、坊ちゃん…」


 花屋に着くと注文した枝豆の種を受け取り育て方を教えてもらう。アーロンがいるだろって?このオッサンに野菜は育てられない。いつの間にか毒草にしてる恐ろしいやつなんだ…

 なのでこれは自分で育てる。スペースは屋根の上かな。勝手に屋敷改造したらさすがに怒られるかな?ほとんど感情向けられたことないから知らないけどおそらく問題ないはず…


 ほかにも長ネギらしき種、ニンニクっぽい植物、レモンの苗をもらい、すべて収納魔法にぶち込む!収納魔法のデメリットは重さが反映されることなので自分の体にもしっかり重力魔法をかけておく…風邪薬と胃腸薬を一緒に飲むようなものである。


 よ~し寄り道してか~えろっ!ラヴェにお土産も買っていこう!


 買い物を終えて少しだけ辺りを散策する。雑貨屋、服飾店、男爵貴族が使う商店、八百屋、時計屋、そして大広場に来た。


 屋台が並びベンチも置かれ、人で賑わっている。


「牛串2つちょーだい!!」


 受け取る前にカウンターの石板に手をのせる。認証が終わると商品を買ったことになる。


 お金は流通しているが転生者の介入によって魔法で簡略化されてしまった部分である。地方では銅貨、銀貨、金貨と大雑把に管理されている。かつては王国全体でどんぶり勘定的な取引が横行され、各地での相場が領主次第商人次第になるケースが生じていたことで数字で細分化が始まったらしい。


 管理は王家と2つの公爵で管理されており、各々で監視しあうことによって独占を抑止している。そこに勤めるものは貴族に関わらず、信頼のおける従者や平民からも登用されている。能力とともに何よりも信頼度での就職が行われている。


 タッチ決済は適性検査の際に魔質登録することで支払いや個人情報の管理をを簡易化させた。王都に住む者は義務化されており、他都市でも同様である。所属する派閥(王家か公爵)の銀行から引き落とされるようになっており、通信魔法と管理魔法で全てが円滑に行われている。


 膨大なデータバンクがどこにあるのか、どこかでハックして犯罪行為がし放題ではないのかと考えていたどこかのバカが銀行の通信魔法にアクセスしたのだが妨害魔法や反発カウンター魔法が組み込まれており、痛い目にあっている。当時は魔質登録していなかったのでバレなかったが…


 念のため魔力の質も3重4重に変えてブロックしたのが功を奏し、無事5歳で魔力登録できた。あぶにぃ~あぶにぃ~


「はい、どうぞ!アーロン」

「おお、悪いな…このあとは帰るのか?」

「冒険者ギルド見てみたい!」


 貴族街に戻る方向を逸れて進むと見えてくるデカい建物。サグラダファミリアのような長い塔が刺さった造りで門がバカデカい!人の出入り口用の扉ではないな。


 くぐり戸方式だった。騙された。軽く7~8人が通れる扉を抜けると


「おい!ガキが来るとこじゃねぇぞ!帰れ!」


 少しコワモテのモヒカンに無造作アイブラックが話しかけてきた。喧嘩を売ってきたが正しいかも…


「わぁ怖っ!安心してください、ただの見学希望なので…お付きもいますし…」

「ど~も~お邪魔させていただきますぜ~」


 いきなり悪態つかれた…なんで入口でたむろってんだ?


 エントランスの天井は高い、アーチ状にクロスしているが質素、飾りが少ないな…すぐ正面に受付、左手には酒場が併設されている。うん、アルコールクサい…昼間からすごいな~壁も汚ねぇな~


「おいっ!聞いてんのか?こんなところにガキなんか連れてきてんじゃねぇよ!あ?」

「まぁまぁ、冒険者ギルドに子供連れてきてはいけないんなんてルールはないんですぜ。それに依頼主の可能性もあるじゃないですか?」

「あんなガキに依頼料が払えるかよ!痛い目見る前に帰れや!!」

「坊ちゃん!どうします?」

「そうだね、この時間帯にまともな冒険者なんかいるわけないし、帰ろうか!」


 喧嘩を売ってみると案の定…


「あん?喧嘩売ってんのか?おいガキ!護衛がいるからっていてててっ、なんだコレッ!」


 そして急に宙に吊るされ始めたモヒカン野郎をわき目に…


「じゃぁ、失礼しました~」


「あれ、なにしたの?」

「はて?何のことかわかりやせんぜ。他のかたが助けてくれたのでは?」

「シラこいなぁ~、まぁいいか。帰ろ…」


「あ、ラヴェにお土産買ってない!」


 またしても下町を周ることとなり5歳児にはきついほど歩いてやった。雑貨屋でネコのヘアピンを買った。喜んでくれるかな…

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