第49話 ピザパ
さ~てだいぶ暖かくなってきた。日も長くなり、一日の長さも多いように感じられる。そういえばこの世界の季節感は前世と似ているように感じる。気候が違うくらいかな…夏はそんなに湿度が高くない、秋はあるのかわからない、冬は寒い。ただ雪は6年くらいで2回くらいしか見てないな…そして春、花粉が飛んでない!黄砂もPM2.5も!桜がない、社交も落ち着いてくる、そんな季節!
王都の謁見も終わったらしくイングランディーレ家は子爵になったらしい。知らん間に爵位が上がるのだね…でも関係がなさ過ぎて驚いちゃうなぁ~
スピーカーを作って以降はあまり目立たないように過ごしているつもりなので本日も裏庭に来てある準備を進めていた…
「今日はなにを?」
御者をしているライアンが馬の相手をしながら話しかけてきた。
「これはね~ピザ窯!ドーム型にすることによって熱が対流していい感じに焼けるらしいんだよね」
「はぁ~、熱の対流ですか…?難しそうですね」
「大丈夫大丈夫…ピザが美味しく焼けるってだけだから…」
そうしてできたピザ窯付近に台所をつくり、食材を並べていく…
風が強いので風の結界を裏庭に張る。動線には敷いてないので誰かの行く先を邪魔することはないはず…酸素も問題にない。同時進行で換気もできるようになっているから!
「なにか手伝いやしょうか?」
「うん!お願い!トムが風邪でいないんだよね!」
「ほう、大丈夫なんですかい、トムは?」
「うん、だからねアイツの目の前で美味しいピザを食べてあげようかなと思ってさ!あいつの部屋すぐそこだし、香りも届いてくれらいいなぁと思ってさ!」
「鬼畜ですなぁ!」
「いいのいいの!ハイ、清潔魔法!じゃあ、まずはデカいボウルにぶち込んで二次発酵しておいた生地を広げていくよ」
そうして円状に形を整えていく!粉をまぶしつついい感じの大きさ。ピザーラのMサイズくらい!トマトペーストを塗りたくって具を乗せていく。
オレはモッツァレラチーズを敷きつつ醬油ベースのチキンを4枚マヨをかけ、反対側にバジルと追いチーズ、
ライアンの方はチーズ、ズッキーニ、茹でエビ、ニンニクチップスが半分、反対側にカニの身を漬けたオイルごとチーズを盛り付けつつキノコを散らす。
どちらのピザにも刻みバジルを振りかけて完成!
「じゃあ、これから窯に突っ込んでゆくよ~!」
バチバチに温めたピザ窯にさす股状のピザ専用フライ返しでぶち込む…入口は空けっぱなしでいいのだろうか?この辺は詳しくわからない…
待ってる間にオルと遊んだ…夏からだいぶ成長したな…もうちゃんと馬じゃない?本当に月毛だし…きれいだなぁ~
「乗馬用訓練も時期終わりますよ…そうなったら乗りに出ましょうか…」
「馬上での訓練も増やすか!小僧!!」
うるせぇゴリラが来た…なんで裏庭でメシ作ってるときに来るんだよ!あ、やべ!焦げるかも!
取り出してみるといい感じで焼けていた…全然目話したらアカンかった…危ない!
ピザカッターがないので風属性のエアカッターで代用。できたぁーー!
「むむっ!ワタシの分がないではないか!」
「いや、勝手に来といて何言ってんだ!マルゲリータ、照り焼きチキン、ガーリックシュリンプ、カニを1切れずつ食べれるだろ!」
「うむ、仕方ない我慢するか…」
「うわっ!オル!ダメだよ!!ピザは食べられないでしょ!馬なんだから!」
「大丈夫ですよ坊ちゃん、魔獣になりかけたせいなのか内臓も強くなって偏食になり始めたので」
「え?マジで…でも万が一があるし積極的に食べさせる必要も…うわぁ~!!!食べるなよぉぉぉ!!チーズのばして食べやがって…!ハイジか!あ!そうだ!!トムに自慢しに行かなきゃ!」
一種類ずつ皿にのせてオルにテキトーにまたがり北棟1階の一番手前の窓をノックする!
「ヘイ!トム!!元気かい!」
「うっうぇぇ…寒いですよマイク様ぁぁ~」
「なぁなぁピザ焼いたんだよ!上手くね?美味いよ!馬いるよ!」
「ちょっ…あんまり大きい声出さないでほしいっす、頭に響くんすよ…」
「もぐもぐ…ごめんごめん…仮病じゃなかったんだな…ピザ食べる?」
「ピッツァですか?今は寝かしてください!それか回復魔法ください…!!!」
「おっけおっけ!夜に回復魔法かけに来るよ!じゃぁねぇぇ!」
「え!なんで今ください!てかピッツァ食べたいです!ごめんなさい!ちょっ…待っ…行かないで!」
器用にオルに乗っていたら、ライアンに乗ったことあるのですか?と聞かれた。もちろんない、だからこその横乗りで固定魔法を使ってるのだ!ライアンは驚いていたが時間が取れたら乗馬を教えましょうという話になった。もうオルは食べたでしょ…わかったわかったもう一枚作るよ、全くもう!
仕方なくもう一枚作ることになった。ついでにラヴェも呼んでトムの部屋にアオリに行くのであった…
「よぉ~し!ピザのお礼だ!どんとこい!」
あくる日訓練場にてゴリラと向かい合っていた。何がお礼だ…嫌がらせじゃねぇか!
「基礎鍛錬は続けつつ今日からは王国騎士剣術・槍術・盾術・体術・弓術・馬術あとサバイバル術、罠制作、工務活動に切り替えて教えていくぞ!」
「多いな!詰め込みすぎだろ!まだ6歳だぞ!」
「安心しろ!本来であればどれかに絞って極めていくものだ…」
「ならオレは剣術かな…できれば片刃剣使いたい」
「よし!1か月以内に剣術は終わらせるぞ!来月は槍術だ!」
「ちょっと待てぇぇ-----!!!!なんで全部やらせそうな流れなんだ!そんな無茶できるかぁ!!」
「…いいか小僧!よく聞け……貴様は現時点でも相当強い…魔法が万能に使え身体能力が高く基礎を疎かにせず、一つ一つ丁寧に力を積み上げていける。小僧はそういうヤツだ…」
「おお!」
「だからこそ全部できるはずだ…成長に終わりはないということを見せてくれ!いや見たい!!!」
「なんかいい感じのこと言ってるのかと思ったらお前のエゴじゃねぇか!こんなにできるかぁ!」
悪態をつきつつもなんとなく訓練を始める。剣術は今までの訓練でも木剣を扱うのでやる内容もそれほど変わらない。素振りと打ち込み、模擬戦の中でいなしやカウンターなどが増えより実戦に沿った技を叩きこまれた。基本的な王国騎士剣術はバカ真面目な実直な剣術でありそのキレイさは精度が上がれば上がるほど攻撃力やキレに繋がっていく。限界値もあり、上位の騎士はそれ以外の戦術や技術も会得していく。
対人戦だけでなく魔物を相手にすることも想定した技も習うようになるみたい…
うん…1か月じゃ無理だよね……魔物役とかいるのか、狩りにでも行くのか?
「来い!小僧!」
…このゴリラは魔物だな…うん、ブッ飛ばしてやろう!
訓練後物足りなさを感じていた…
「やはり小僧に王国の剣術は合いそうにないな…」
「分かってるよ!いちいち言わなくても!キレイな剣術なんてどうせオレには似合わないよ!」
「いやそういうわけではないが…何か他のイメージが邪魔をしているな…押し切るではなく撫で斬るような…」
核心をついてきたな…
「となると片刃剣か…だが片刃剣は脆いからな…あまり武器としてはおススメできんぞ…」
「ふ~ん、まぁ将来的な話だよ…まずは刀を見つけるところからだね。それまではこの剣でピザぐらいは切れるようになるよ…」
こうして改めて剣の鍛錬を受けるのであった…
やっぱり刀がいいなぁ…刀はどこにあるだろうか…いずれ見つけよう…そんで居合できるようになろう…




