第48話 また許可取り
試作型のスピーカーを作り終え、しばらくのんびりしようと考えカフェに来た。
ココは個室で作業をしていた。絵物語を完成させていたので読んでから映像魔法に取り込んだ。記憶魔法に保存して管理魔法でスライドショーにするだけの簡単な作業である。
「いつみても見事な手際だね…魔道具職人になることもできるんじゃない?」
「魔法陣は書くというよりかは魔法を具現化する…感じなんだよね。伝わらないか?あとは積みあげるだけだからね、6歳児には簡単な仕組みだよ!」
「あははは!そんな6歳児いないでしょ…マイク君が将来どうなるのか楽しみだよ」
「意外と早熟な人間は大した功績を残せぬまま死んでゆくのさ!へっ!」
「そんな達観してる6歳児いないって…それでこのあとどうするの?」
「これここでも使えないかなと思ってね~」
そういって取り出したのは設置型のスピーカーを取り出した。
「これは音が出る魔道具なんだけどカフェに置いていいムードを演出しようかな…と」
「うん!6歳児が考えることじゃないね、それでどう使うの?」
その日、その翌日と設置したスピーカーから時間帯に合わせてそれっぽいBGMを流した。前世のクラシックはもちろんよく聞いてた楽曲も歌詞なくしたインストゥルメンタルバージョンにしたり、そもそもオーケストラになっていたりするものを前世の記憶を引っ張り出して記憶魔法に詰めこんだ。
それが流れると人がそれを聞くためにどんどんカフェに入ってきた…さすがに席の方に陣取る者はいなかったがカウンターの前は音楽を聴くためにごった返した…
おかしい…音楽聞くことくらいはもうできてるはずだろう…
調べると魔道具屋にスピーカーのような魔道具はあった。蓄音機みたいなやつ。だがレコードの数が圧倒的に少なかった。娯楽としての認知がかなり低いらしい…
カフェ内にいる奴らのほとんどが足やら首やらでリズムをとっている。うん、すごい一体感…
当然父上に呼び出された…
「…で特許は?」
「とってないです…」
「仕組みは簡単だが管理魔法のシステムと積層構造・並列構造の有用性に関して論文にまとめるべきだと思うが?」
「はい、おっしゃるとおりかと…」
「はぁぁ~~~」
呆れられた…なんでや!このくらいすでにある技術だと思うやろ!問題はまだあるんだ…中身を聞かれてないという問題が!クラシックに関しては転生者の前任の方々が残してくれてるので馴染みはあるしジャスラック的な問題はない。アニソンとかJ-popとか聞き馴染みがなさそうなのに完成度が高いものを聞かれるのが心配…そっちの著作権ってどうなってんだ?
そんなわけで自室に戻って論文づくり!…と言ってもそもそもまとめてある。ナイス!スプマンテ!魔法陣の縮小化に関する問題と解決法に関しても必要だな!功績は譲るつもりで構造に関することの研究資料などとともに切り取り模倣魔法で作成!!そんであっという間に提出!どやっ!
「もうできたのか?……すでにこれほどまとめていたか…もしや他にもあるのか?だとしたら…いや!これだけ受け取ろう、全く…
次々に便利なものを生み出すのは構わないがこういう面倒ごとが起こるんだ。後処理が嫌なら考えて発表しなさい」
「はい!お手数おかけします」
「それでこのスピーカーとやらは余りがあるのか?」
「え?ご入用ですか?」
「あぁ、小型のモノとこの耳にかけるモノをそれぞれ2つずつ融通してほしい」
「2つですか…かまいませんが小物が増えるのですがよろしいですか?」
「ああ、頼む」
「では…」
父上の執務室でサクッと小型スピーカーを造形、中身にしっかり造形魔法をかけていく。面倒臭がって刻印魔法も造形魔法で一気に溝を作って下地を作っちゃ仕上げていった。
「…これは、とんでもないな…」
目の前で行われている魔法の行使が信じられない…レベルが高いことは言うまでもないがその繊細さ足るや長年の研鑽を積んだもの以上の技術を感じられる。
さらにその速さもすさまじく、次々にスピーカーとやらを生成している。ちらっと見える刻印魔法も造形魔法の過程で施行している…効率を考えた作業手順…一度や二度作った程度でできることなのだろうか…
そんな思いにふけっているセブンの前でマイクは次に記憶デバイスの方にとりかかっていた…と言っても造りは小型スピーカにつけてる記憶装置とほぼ同じなのでパパッと造形して通信・管理魔法の魔法陣も並列構造に刻み2つ完成!チャンネルも作りタブらないように気を付けて、携帯用のイヤーカフタイプも生成!
「完成しました。父上!あ!一旦確認しますね……………うん問題ないですね、ではこれで!」
「ああ…」
マイクが執務室から出ていくと控えていた執事のトクがセブンから品を受け取る。イヤーカフを片耳にかけ試す。
「…これは素晴らしいいですね…なるほど簡単に扱えますし…知らないものも入っていますが、これはとんでもない成果になりますね…」
「あぁ、なぜこれだけの才があるのか…底なしの知識の源泉だな…勇者のようだ…」
「勇者ロイ殿ですか?ですがあまり知識を広めるようなことはなかったかと記憶していますが?」
「あれは知識はあっても実現しようなどと思っていなかったからな。なんてことなく当たり前のようにとてつもないことを話してくる、阿呆だ…」
「では坊ちゃんは?」
「転生か…魔王がいなくなったのもそれの影響か…全く…たった5歳で魔王討伐の勇者か……とんでもない存在に育ってくれるものだ…」
ー後日ー
セブン・イングランディーレは魔法協会を訪れ、魔法陣に装飾を及ぼす影響に関する論文と魔力残滓・循環の清掃システムの構築に関する論文を持ち込んだ時以来であり、すぐ貴賓室に通された。
「本日はどのような内容の論文でございましょうか。」
協会本部長がこうして応対する始末である。それほどの功績が前回含めセブンの功績としてあるのだ。
「これは魔法陣における構築方法の分散化に関する論文だ…今までの純粋な魔法陣の拡大化と同じ効率を維持できる積層構造と並列構造の併用方法だな…これは前回提出した論文の応用だ。これで魔道具の小型化や携帯化も可能になる。そのうえでこっちの魔法陣の縮小化における問題と解決法だ。これらも特許申請の上で使用無償としてくれ」
「なんと…!!これはまたすごいものを…さらに無償で…よろしいのですか?」
「あぁ、金をもらっても使い道がない…それより便利になる方が効率的だと…」
「優秀な息子さんのようですな…」
「ああ参ったよ…これ以上成果を上げないことを祈るよ…」
「検証次第で認められるでしょう…魔道具の方の特許もお取りになられますか?」
「耳が早いな…売りに出るかどうかはわからないな…重要なのはガワより中身のようだからな…」
「多彩ですな~将来が楽しみですぞ…ほほほ」
「やめてくれ…これ以上の注目は勘弁してほしいんだ!」
イングランディーレ家はこれらの成果を上げることにより完全に魔法協会を味方につけた。これにより冒険者ギルドと2つの大きな後ろ盾が生まれたことにより、陞爵に対しての邪魔はなくなった。こうして無事子爵となった。勇者パーティーの活動、公爵令嬢との婚姻による特殊な貴族な位置づけではあったが、更なる貢献により今後の陞爵も現実的になっていくのであった。
こうしてイングランディーレ家にまた春が来るのだがマイクは何ごともないように気楽に過ごすのであった。




