第34話 タオルケットとおっとっと…
布を買いに行くと生地屋さんに案内してくれた。
以前ラヴェルがマイクの母ヴィータローザ経由で紹介してくれた服飾店の隣にあった。
前回来たときは気付かなかったな…
生地店に入ると色とりどりの布があった…女性向けだなどう見ても…いやそんなことないタオル生地がある方に向かうんだ!どこだ?ないか?
「いらっしゃいませ!どのようなものをお探しでしょうか?」
「毛布とタオルですね、ありますか?」
こちらにございますと案内されるとカウンターの近くだった。ただすでにハンドタオルやハンカチになっている、毛布はどっちかというと毛皮感強い加工しづらいヤツだった…う~んなかなか思い通りに求めるものはない。
「タオルはどちらになさいますか?毛布はこのアヘジカの毛皮用いたものがオススメでございます」
「このタオルを大きくすることはできますか?」
「オーダーということでしょうか?別料金となりますがどのくらいの大きさになさいますか?」
「こちらのサイズでお願いします」
ラヴェがサイズを記したメモを渡す…
「大きいですね…なにに使われるのですか?」
「夏用の掛布団のようなものですね…もう夏も終わるのでしばらくは使わなくなりますけど…」
「では毛布の方はどうされますか?」
「そっちもタオル生地のような肌触りいいものを作ることってできますか?」
「タオルと同じですか?そうですね…同じようなものになってしまいますがそれでもかまいませんか?」
「じゃあいいです~!もし保温効果良いものができることがあれば敷布団とブランケットにしたいので伺いたいです」
「そうですね…別の素材でなら似たようなものも作れるかと思いますのでその際はご報告させていただきます。それでは今回は特注のタオルのみでよろしいでしょうか?お会計お願いします」
石板に手のひらをのっけて配送してもらうこととなり店を出た。無事終わったと帰ろうとすると服飾店から知ってる人が出てきた…
2人も…
うん母上と姉上…そんでメイドのハナとナナ
「あら…マイク隣の店にいたのかしら?帰るのかしら一緒にどう?」
うわ!なんで?スルーしてくれればいいのに!
「ほら行きましょう!」
姉ノヴァリリスに手を引かれる…御者席にはライアンもいる…くっ…なぜだ?
ライアンが馬を動かす。馬車内は母と姉、隣に母の侍女であるハナ
ナナとラヴェは後ろに乗ったらしい。メイド服で器用だな…
「なにを買ったの?」
と母上…いつものとげとげしさがない?なんか優しい…外だからかなよそ行き用か?
「大きなタオルです…眠りやすいように通気性のいい掛布団がほしかったので」
「そうなのね、でももう夜は冷えるでしょう遅くないかしら?」
「ええ!ですので同じ生地で暖かいものも作れないか頼みました。興味を持っていただいたのでそのうち連絡をもらえると思います」
「たしかにタオルの生地は触り心地もいいし寝る時には最適かしらね…シルクは冷たく感じますからね…」
二言三言会話をすれば家に着くと思っていたのだが外を見ると関門にいた…え?
「ああノヴァと一緒にあなたのカフェに行こうと思ってね、あなたがいるのはツイていたわ…」
うわぁぁー絶対嘘だ!絶対狙ってただろ!強かすぎる…さすが元公爵令嬢!ラヴェも協力してただろ!
しばらくして時計台に着き、階段…平気?
…と思ったらエレベーターがあった…人力らしい、どうやら時計台の最上階まで行ける造りになっているようだ。だが用があるのはカフェなので時計台ふもとの屋上で止まる…安定して運用できている?魔法かな?
…そんなことを考えていると
「マイク?案内してくれる?」
「もちろんです!こちらです!」
うっわ!場違い感半端ねぇ!
外までしっかり並んでる…こういう列を完全スルーするのは気が引けるわー、そうして店内に入ると
「もうしわけ…あれ?マイク様?お連れの方もいらっしゃるのですか…すみません少々込み合っておりまして…」
「個室空いてる?」
「ただいま、ココくんが絵を描いているかと…」
「うん間が悪いね…」
個室に入ると少し絵具クサい…換気しとこっ…
ココがこっちに気づく!
「あれ?マイク?これ見てよこの店の外観なんだけどさ…これなら飾れると思うんだよ!」
と言って後ろの母と姉に気づく
「あ~ココ個室使わせてもらいたいんだ…!」
「あぁ~ごめんすぐ片付けるよ!」
「母上!姉上こちらの席でお待ちください…メニューはこちらに…」
ローザはココの絵に引き寄せられていった…
「これはあなたが描いたものなの?」
びくっとするココ、そりゃそう
「は…はい!マイクに、あ、いや、マイク様に気に入っていただき絵師として腕を磨いております」
「あらそうなの…こんなに絵がうまい子がいるなんて聞いていませんでしたね…たたずまいも言葉遣いも平民ではないのね、どちらの子だったの?」
よくわかるな…
「母上!ココは元々はアエロリット家にいたのですよ…不遇な扱いを受けていたので庶子という立場をやめて僕と一緒にこのカフェを作るのを手伝ってくれたんです」
「ふふっそうなのね、何かあればイングランディーレ家を頼って頂戴…力にはなれると思うわ…」
「彼はなにに携わったの?」
「はい、姉上!主に店内のデザインですね…床に魔法陣が組まれていたのですがそれを邪魔しないデザインをしてもらいました」
「魔法陣?」
「はい机とイスを収納できる魔法陣です。最初は多目的に使えるカフェテラスとして絵画教室もできるようにしたかったんですよ」
「ならココも一緒にお茶をしましょ…いろいろ聞かせてほしいわ…」
うん!合掌!ごめんココ付き合ってくれ!オロオロしてる、清潔魔法をかけて席つかせた。悪いな…
「どれがオススメなのかしら?」
「こちらの後光のティーセットです!コーヒーが人気ですね…」
ノヴァリリスに同調する形でヴィータローザも同じものを頼み、マイクとココはレモンスカッシュを頼んだ…
喫茶店と言えばレモンスカッシュ!これを経由することでカフェに進化するという不文律が存在するはず…なので以前自分の育てた作ったレモネードに炭酸を入れたモノをそう呼び取り扱っている。
「聞いたことないわね…レモンすか…って何かしら?」
気になっているようなので飲んでもらうことにした。
「黄色いのね…」
「レモンですものね」
変な感想…なんだこの母娘…
「これは?」とストローを指す。ガラスで作られているので興味が出たらしい。
「それを口にくわえて軽く吸い込むだけで冷たい飲み物は簡単に口にできます…」
おそるおそる口にくわえて吸いせき込んでいた…下手くそ!仲のいい二人をみてカップル専用ストローも作っておこうと思った。
「な!?なに?これは…毒?」
「でもお母様美味しいわ!甘くて刺激があって面白いわ!」
「毒ではなく炭酸ですね…イメージとしては発泡酒ジュースですね」
「発泡酒…たしかにおいしいかも…それに冷たいのね…」
「えぇ!氷で冷やしておりましたので…」
ひとまずコーヒーを飲んで落ちつかせ、ココの話をしてアエロリットの現状、この店の目標なんかを語った…
そういえば母と初めて長く会話をした…姉ともだが未だどんな人物なのか分かっていなかった…目新しいものに目がないのかいろんなものに興味を持つようだ…
二人の反応は似ている…やはり母娘なんだと思わせられる。さて自分は似ているのだろうか、5年接触することなく育った血のつながりだけの家族…
今さらの歩み寄りに素直に反応できずにはいる…なにかあるのかと疑ってしまう、気は許せる気はない…
帰る際ココに心配された…何かおかしかっただろうか?ぎこちなさはあっただろう。そういえばココの話は知っているが自分はまだ話していない…必要性がないし話して解決するとは思っていないからだ…
別に恨んでいるわけではない…好き勝手出来る環境に身を置けることの感謝がむしろある。
さて…これからどう向き合う必要があるだろうか…変える必要があるのだろうか…
考え事をしている間に屋敷の門をくぐっていたのだった…




