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第25話 プール開き

 あつまっさかり…夏いねぇ~

 そんなクソみたいな言葉を考えつつトムをつれて厩の方に来ていた。


 厩は屋敷の北側裏庭に配置され、御者が面倒を見ているのだが現在で払っていて誰もいない状況である。


「なにされるんですか?」

「はい!今日はプールを作ります」


 スッと手を挙げるトムにどうぞと指さすマイク


「プールとは何でしょう?なぜこんなところで調理を?」

「ノォ!食べ物ではない!ナニソレ美味しいの!?とか言わない!プールとは水がたくさん入った桶のことだ!」

「…あぁ、だから厩に…」

「ちゃうちゃう…馬用の水飲み桶より大きいんだよ、場所がいるからここに来たの!」


 そういうとあっという間に空きスペースに土属性の造形魔法でプールを設置、排水を特に考えず作りたいようにパパッと作る。水着に着替え、ラヴェに作らせたトム用の水着を渡し、いざ着水!


 スライムでつくられたボールと浮き輪を手に入れておいたのでそれを出す。シャチ型のヤツとか寝そべるヤツとかも作ってもらっている。


「一応勤務中だから遊ぶとかはさすがに怒られると思うんですけど…」

「大丈夫大丈夫!厨房の人たちもあの方に連れ出されたのか可哀そうだなって思われてるって!」

「その認識でいいんすか?でもやっぱり遊ぶのは…」

「そんなに言うならいいや…」


 ふぅと安心するトム…だが


「ラヴェぇぇ~一緒にあ~~そぼっ!」


 北棟に呼びかけるとメイド服っぽい水着を着たラヴェ到着!


「じゃあトム戻っていいよ!」

「いえ!ご一緒します!」


 そうして水中に飛び込んできた!正直だなぁ~って溺れてる溺れてる…

 当然泳ぐということは当たり前に習うことではないのでトムには浮き輪を掴ませてあげる。足着くと思うけど…?


「ではわたくしも失礼します」と静かに入って溺れるラヴェ、ゴボッゴボッゴボッボォォォ


「足着くって!」


 駆け寄って手を取る。



 まずは二人の泳ぎの指導をすることにした。

 顔をつけることはできたので、息継ぎの練習をして造形魔法でビート板を用意!バタ足の練習…


 すぐできるラヴェと浮けないトム…身体能力の違いだな…


 ラヴェにはクロールを教えて、トムにはバタ足の練習としてプールの縁を掴んでバシャバシャさせた。


「これで本当に泳げるようになるんですか?」

「泳ぐ基本だけど浮くことを覚えることとあとは推進力を生み出すこと、この二つがあって初めて人は泳ぐという行為につなげていわけだから、それを自覚するための練習だよ…」


 しばらくするとラヴェのクロールが完璧になっていたので次に平泳ぎと背泳ぎを教える。


「あの~なんでラヴェルはあんなにポンポンできるんでしょうか?」

「運動神経だね~本来人間は水に浮けるらしいしそれを本能で分かっているから溺れる恐怖心がそれほどないんじゃない?」


「それにしてもじゃないですか?」と指さす先にはすでに習得して後ろで泳げてるラヴェ…出木杉ちゃん!!


 トムにはもう一度ビート板を使って泳がせる。今度はまぁまぁ進んでた…そして教えてもないのにバタフライをし始めるラヴェ…なんで?


 ある程度泳ぎをマスターさせ、追いかけっこをするも…勝負にならん……

 トムが遅すぎる…しばらく浮き輪にのりのんびりすることにしてトムには塩焼きそばを準備させた。


 プールサイドにイスを並べサイドテーブルを置きご飯を持ってきてもらう。

 ラヴェとトムとご飯を食べていると馬と御者さんが帰ってきた…


「マイク様?これは?って、え?待て…おい!」


 御者は引っ張られるままに入水…二頭の馬が水浴びをし始めた…


「あ、ごめんごめん、勝手に作っちゃった…今から直すよ…」

「え?いや…この暑さなので馬にとってはありがたいものなんです…ただ一つ言わせてもらえるなら、もう少しだけコンパクトにしてもらえるだけでうれしいのですが…」


 それならばそうしよう…馬が上がれるようにスロープを付けて小さくしていく。水を空中に浮かせて抜きつつ形を整えていく、同時にウマを誘導…陸に上がったので同時に温風をプレゼント…


 プールの形を整えて柵をつける…馬用のプールが完成した!と言っても厩の横に長方形でスロープが両サイドについてるどちらかというと馬用の温泉施設にあるやつだが…


「いらなくなったら言ってね…」

「あ…ありがとうございます!排水はお任せください!」


 余分な水は処理してくれるみたい。トムは疲れたか簡易イスにもたれて寝てしまった…俺も眠くなったので部屋に戻って寝ることにした。トムのことは御者さんに任した。よしっ!楽しかった…



 次の日…

「馬に乗られませんか?」


 御者を務めるライアンに呼び止められた。以前から乗馬を習いたい話はラヴェに話していたがそれが廻っての誘いだろうか…


「お偉いさんの仔馬を旦那様がもらったらしいのですが魔獣になりつつあるみたいなんですよ、面倒見といてくれと押し付けられまして自分も手に負えないんですけど坊ちゃまならその…いけるかな…と」


 なんだそのアバウトな信頼!でも面白そう!!!


「へぇ~これはなに?」


 オンざ首の魔石を指さす…


「これは魔獣化を抑える魔石らしく旦那様に頂きました。今はおとなしくしていますがこの鎖を解くと体格以上に激しく動きます…」


 たしかにポニーにははみから伸びる鎖でその動きを制限されている。


「なでてもいいの?」

「ええ…問題ないはずです」


 妙な魔力を感じる…魔獣たらしめようとする魔力…覚えがあるな…


 荒々しく図々しい己が魔力で乗っ取ろうとする我にまみれた魔力…



 魔王の種…!


 あれ結局なんで取れたのかよくわからないんだよね…出ていけって思っただけなんだよね…あとは合成魔法に興味がでて…


 いつの間にか魔力が出て仔馬の中の魔王の種を浄化した。体から黒いモヤが溢れ段々と消えていった…


「な…なんですか?今の?坊ちゃま何されたんですか?」

「分かんない…ただ似た感じのモノを知ってただけだよ…これで魔獣化も収まったと思うよ…」

「本当にそんな感じがしますね…もし暴れてもなんとかできますか?」

「ちょっと待って!」


 なぜそう思ったかはわからないが魔獣化を抑える魔石に手を添えて魔力を送った、急な魔力の低下は危険な気がしたからとでもしておこう…


 ライアンは首を傾げ見守ってくれ「もういいよ」と言うとビビりながら鎖を外した…手綱に付け替える


 仔馬はキョロキョロして気づく、自分の中にあった邪悪なものがなくなってることに!尻尾は上下に動き始めたけど…すぐおさまった…疲れたみたい…


 今のことは秘密にしといてとライアンに伝えその場をあとにした。



 その晩父上に呼ばれた…めんどい…執務室に入るとソファに座るよう言われさっそく


「仔馬のことを聞きたいのだが、どうやって魔獣化を止めたんだ?」

「…わからないです」


「…そうか魔法なのか?」

「おそらく…似た感じを知っていたので出ていけ!ってやると黒いのがフワッて…」


 ジェスチャーを交えて伝える…こんなんで伝わるかいっ!オレも教えてほしいんだわ!


「浄化魔法だな…光と闇と無属性の混合魔法…いや合成魔法か…」


 知ってんのかい!教えてくれてありがとう!


「それができる人間は希少ということは覚えておきなさい…口外はもちろん禁止だ!誓約魔法は必要か?」


 そんなにか!?一応しておくか…でも咄嗟にできなかったら嫌だしな…


「…大丈夫です!自分でやっておきます!」

「そうか…」

 そう言って頭を軽くなでて執務室から出ていった。執事のトクが後ろに控えていたのだがいつの間にかドアでオレが出るのを待ってくれている。


 初めてだな…心がざわわ…とした



 部屋にはスプマンテが控えていた…


「我が君!また一つ魂を取り戻したのですね!喜ばしいことでございます」


 ザッツ見当違い!


「あぁ、そのことで少し怪しまれたが浄化魔法ってことにしてもらった…ちなみにだけどスプマンテはどれくらい数の魂に分けられたのか知らねぇのか…?」

「我が君の魔力を感じれる色のない存在のみですよ…復活魔法の弊害ですね…」

「…そうか、忘れないように記述しといてくれ!」

「はい…それではゆっくりお休みください」


 はぁ、色のない存在っていうのは何なんだろうな…スタンド使いは引かれ合うみたいに魔王の種持ちが寄ってきたら面倒くさいな…


 それにしても浄化魔法か…光はわかるけど闇と無はどう作用してるんだ…

 闇はデバフ効果かな…光が邪魔してそうだけど…管理魔法やら妨害魔法でシールドですみわけができるか…結果が出てるのに過程がわからないっていうのもおかしな話…でもないか……

 感覚で出力しただけだもんな…あるあるだな。問題ないな、うん!


 考えてもわからないしいずれ理解できればいいか…布団でいろいろ考えても仕方ない…zzzz


 こうして浄化した馬は正式にイングランディーレ家の馬になった。そのため乗馬はできるようになっておきたい。乗せる気満々に駆け回っているらしい。名前を決める際に種牡馬の愛称でもあるプイとかキンカメとかハーツクライとかドゥラとか読んでも反応してくれなかったので、オルに決まった。キタサンとかイクイノとかおどうでもいいか聞いたらプイッとされた…試しにオルフェ…とまで言ったら後ろ足が飛んできた!危にぃ~危にぃ~


 栗毛とか鹿毛みたいな馬体だったのがいつの間にか煌めいて見える…これは月毛になるのでは?今は仔馬なのでまだよくわからないが楽しみ…


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