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第19話 ソンナバナーナ!

〈バートラム視点〉

つい先日弟との交流が許された。


 その存在を知ったのは1年半前、妹を生んだ後、母が妊娠をしてたのは知っていたので何も聞けなかった。…死産ということがあると思っていたのだが生まれていたのだ……


 ジーンやノヴァに対しても思っていたが弟妹たちはかわいいのだ…あまり関われずにいたが彼らにとって良き兄でありたいとは常々思っていた。なのでさらに弟が増えたことは喜ばしきことであるし母が無事に生んでたことにも安心できた。だが紹介されたのは夕食の席、3歳の弟は黙々と食べて家族の会話に入ってくることはなかった。ノヴァが姉風を吹かせて美味しいか聞いても首を縦に振るだけ、そのくせ3歳らしからぬテーブルマナーを見せて対応以外は完ぺきだった。


 それに対して父は家庭教師をつけると言い出した。何が気に障ったのかわからないほど突然の発言で夕食の場が終わった。母は興味ないと言わんばかりにノヴァを連れて出ていった。ジーンも何がなんだかわからない様子で二人で顔を見合わせる状況になった。


私付きのメイドであるカレンはなにも聞いていないらしい。ただマイクの存在は認識しており同時に口止めもなされていたという。


「なぜこんなことをするんだ?何の意味がある?」


かつて父は妹が生まれた時に言っていた。ジーンやノヴァのことを守ってやれと弟妹を守るのは兄の役目なのだと…



父に理由を聞きに行ったが、教えるつもりもないとキッパリいわれた。その際にマイクとの話すことも禁止された。


何が起こっているのか…今まであんな甘い父が急に…!!


しばらく考えることを止めた。会うことはなかったし、見かけても庭か王国騎士団副団長に連れられて騒いでる姿を見ても視界を外すことになった。


そんな生活から許されたのは少し前にマイクが寝込んだと聞かされた時からだ。最悪の場合一人でも生きるように言われた。弟妹のことも守ってほしいが逃げきれない場合は各自で判断せよと緊張感ある言葉が告げられた。

ずっと何が起こっているのか教えてもらえず、緊急事態になっているのに力になれないことは歯がゆいが仕方ない…

その日婚約者であるビートブラック家が王都で使っている屋敷に避難することになったが、なにも起こらず無事だったと伝えられた。屋敷に戻っても異変はなく、父も母も何かから解き放たれた顔になっていた。


そしてマイクとも普通に関わってあげてほしいと言われた。今さらそんなことを言われてもよくわからない。どうゆう人間なのかも全く情報を持っていないのだ。


それでも屋上庭園のことを聞かされ、とりあえずずば抜けた発想を持ち能力に恵まれた子であることは理解できた。


婚約者のライラが二度目の来訪しに来た。ライラのことは正直まだよくわからない。夫婦の例は父母くらいしか知らないのでそういう関係になれるのか考えつかない。ただライラ自身もこちらを品定めしているのはわかるし、この家の問題にも気づいている。ただ残念ながら答えられることがないんだよね。彼女は頼りないと思うかな、それならそれで仕方によね…


ライラはあっけにとられていた…うん、僕も知らなかったけど、実情を知りたかったみたいだしいろんなことが見当違いだったんだろうね…

マイクもすごいね…いろんなことに気が使えて発想が飛躍して任せることしかできないな…


そうしてまた庭にはマイクがいる。庭師とずいぶん仲良さそうにしている。何かの木を大きなプランターごと運んできている。なにか言い争いつつ倉庫付近にガラスを出現させてなにかを作ろうとしている…



話しかけにいく…勇気がないな、眺めてるだけだ…何をする気なんだ?


ウチの庭は騒がしいな…


あの子と今後仲良くなれずとも守るべき弟だと賑やかな庭を見下ろして思うのだった…


「バーバーバー♪バーナナーナー♪」

「ご機嫌ですね坊ちゃん!そんなにうれしいですか?」

「面白そうな植物あったらって頼んだ一発目がバナナって…素晴らしすぎるでしょ!ただ生育の難易度がずば抜けちゃってるけど…

 とりあえず温室栽培になるよね?」

「ですね…ただこのままプランターで育てていいものか…」

「生育方法は調べられなかった?」

「いえ、メモは取ってます」


そうして差し出されたメモには

===================

・適温 20~30°最低15°

・水やり必須、土が乾いたら、葉にも必須

・赤土7:腐葉土3 

===================


「これだけ?どのくらい大きくなるの?」

「屋上持っていきましょうか?」

「え?大丈夫?土だけでも相当重いんじゃない?屋敷崩れるとかシャレになんないよ!」

「…処分ですかい?」

「庭改造しようよ!」


「いいんですかい勝手に?」

「バレないでしょ…庭園で植物愛でる人たち居ないし!」

「ええ~責任はとらないっすよ~、旦那には説明お願いしますぜ…」


屋敷入口右側のスペースにバナナゾーンを設置することになった。とりあえず土を用意…土魔法で性質を模倣したバナナの苗に付随している土と腐葉土を準備、他の場所との境として低いカベを設置。土を混ぜ土壌を準備


「土魔法って便利っすね…ここからガラス張りっすか?」

「うん!ガラスも土魔法で作れるようになったけど魔力消費半端ないからね…足りるかな…」

「これ、支柱も必要っすね…ちょっととってきます」


2,3メートルを想定して四隅に柱を設置、四方向から中央にアーチで接続、柱を補強してガラスを内と外から補強。

入口を作り暖房機能を考える。


単純に焚火を設置するか床暖房みたいな機能にするか、もっとわかりやすく魔道具を買ってくるか?外との圧でカベが割れないようにしなきゃいけないし湿度とかも大切だよね…スプリンクラーも必要かな、飛び石とかあっても楽しいかな…


「坊ちゃん、持ってきましたよ~あっという間ですね…屋敷からバレバレですよ、もうラヴェルに気づかれてますぜ」

「透けて見えてたりしないのね、なにかしらカモフラージュが必要かな…」

「もう植えても大丈夫ですか?うまいこと換気も考えませんと室温維持も難しくなりますぜ…」

「やっぱ地面から温めちゃおうか…水を撒くし水源引っ張ってきて土の中に温水通しちゃおう!ってことでお湯作れる魔道具と水まく魔道具が必要かな…オレはその間に地面に通す管を考えとく…」

「ほいほい…どっちもあるんで持ってきますね…魔力は坊ちゃんが供給してくださいよ…」

「あとできればガラスに映し出す映像魔法の魔道具も」

「そんなもんねぇよ!」


ということで地面を通す管を作成、熱伝導を考え安全面を考え…鉄でいいかな?


ちょい柔い?これアルミかも…勝手に合金っぽくなった。よしよし魔法万歳!土の中に敷くのもちょちょいのちょいやで!ちゃんと循環できるのか?もしかして排水も必要か?くそ!やればやるほど計画性の無さが顔を出すな…


「はぁ~持ってきましたぜ~坊ちゃん!おお!いい感じなんすかね?」

「うん、そこにハメてくれ、でこっちがスイッチ…」


「問題なさそうですね…うわっこの水の出方いいっすね…」

「よし、じゃあバナナ植えよう!」


ようやくバナナのな苗木を植え、ちょっと成長促進魔法とともに地面を固める。魔法が便利すぎたがもう魔力も1割切った。


「よしいい感じ…」

「なんか温いっすね…これはいいかも」

「換気の方はまたあとで…とりあえず魔力ないからここまで…あぁ~楽しみだぁ~」


こうして温室づくりバナナ園の第一段階が終わった。残りは換気と気温計の設置、屋敷の景観にしっかり合うようにすれば問題ないかな…


あとはアーロンにブン投げ!OKOK!!


問題を残しつつ温室は完成した。ガラスに工夫して曇りガラスを生み出したり、強度を上げたガラスになったり、初日にできなかった換気口を整え、気温計の設置、徹底管理できる環境は作った。


ただ今はだいぶ熱くなっているので温まり過ぎて困る。クーラーが必要だ。


だがそんなことよりもまだ父上に報告していない。3,4日たっても黙っていたらアーロンの方に訪ねてきたらしい。その対応をオレにブン投げたらしい。なんでだよっ!


一刻も早くなくなったように見せかけなければ…


必要なのはそう光学迷彩!よしっ!


「というわけだから力貸してくれスプマンテ」

「あぁ、我が君が私を頼ってくださるなんてなんという名誉…!あぁ我が君なんなりとお使いください!」


スプマンテは文字を司る悪魔であり、マイクが綴っていた人工知能魔法を世界隷属魔法と勘違いした可哀そうな元魔王の手下である。現在魔王は消滅したがマイクに宿ってると勘違いしている。


「それで我が君、光学迷彩とは何でしょう…」

「隠密魔法の上位互換かな…そこにないように見せてある感じだな…」

「幻惑魔法とは違うのでしょうか…」

「…あぁ近いな…目の錯覚っていう現象のみにフォーカスしたものにしたいんだよね…」

「なるほど…幻影魔法と妨害魔法の混合魔法が幻惑魔法ですし、そこに隠密魔法を混ぜるだけでは意味がないということですね…視覚ということなら光属性が必要になりそうですね…」


「なかなかいいアイディアだな…まずは光属性で映像魔法を作るところからか…」

「光栄です我が君!流石です!我が君!映像魔法とは何でしょう?」

「最近研究されてる秘匿技術らしい。世に広まるまでに時間がかかるらしい。同時に音響魔法も仕込んだ魔道具ができるとか…」

「ふふっ!それを先んじて作ってしまおうとは…素晴らしき我が君!私、あなた様に仕えさせていただけていること光栄の極みでございます。」

「問題は父上に内緒で作っていいかだな…」


映像魔法は宮廷魔導士である父セブン・イングランディーレの研究であり勇者の活躍を後世に伝えられるように勇者自身に頼まれ魔法である。片手間に作業していたがこの研究にたくさんの支援者がついてしまい本格的に売り出すことが決まっている魔道具でもあった。


魔法自体も光属性の一種、管理魔法を使用することで魔道具に落とし込んだ仕組みであるため光属性させあれば簡単なはずなのだが、光属性を持って生まれるものはかなり稀らしく、仮に生まれても教会などに囲われるケースも珍しくない。

そのため大量生産もできずましてやその発展系を世間に公表することはない。


それらを踏まえたうえで先に映像魔法を使った混合魔法を屋敷に使うにはためらいが生じた。


「まぁいいか…」


能天気なマイクは何とかなるの精神を持っていたので気にすることなく作業をすることにした。


いともたやすく映像魔法を取得、さらに話題に出た幻惑、隠密さらに隠ぺい魔法の全部混ぜでムリヤリ光学迷彩魔法を作った。当初の視覚のみというのを完全に無視した五感も魔力感知すら隠すレベルに昇華させた。


「うん、やり過ぎた…」


デメリットは使用魔力量と使う際に魔力が膨れ上がること…継続的に使えるものではないので簡略化

対象を固定化させることと視覚のみに限定することで無事に温室に光学迷彩を投影することに成功する。中からはしっかり外が見えるマジックミラ-にもなってしまったのは偶然である。ピンクな妄想を膨らませたことは秘密である。


案の定父上に呼び出され、温室を作ったこと、その中の魔道具2種、表にかけた迷彩魔法、さらに魔石を使わず刻印魔法だけで魔素循環させる技術、すべて報告書にまとめさせられ父上はあちこちに奔走した。技術登録、商業登録、構造登録…父上の功績が積みあがることとなったのは言うまでもない。

さらにそれらの利益はマイク本人にも入ってくるのでかなり儲かることとなった。


ちなみに簡略化された迷彩魔法の内訳は発表されず映像魔法を極めたものがたどり着けるものとされ世間的に悪用の恐れがない。てか光と闇を同時に仕える奴がそうそういない…やれるとしても別々に使用することだが、はたしてそこにたどり着けるものがいるだろうか…


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