第105話 ドン家の家令はカレー
ドン子爵家…
カレーの店を作ったときに関わった香辛料を取り扱うカルカッタ商会とトラブったときに繋がりのあった貴族である…
地理的には王都より西側、一山超えた先がユニヴァース領でさらに超えた先にあり、意外とビートブラック領やパーマー領、ブルースカイ辺境領が近い場所に存在している。
領地を横断する空の道を作り、王都に向けう道として整え、ゴーレムも使い道を管理しており、交通量が半端ない無料の高速道路になっている。
そうして流通も活性化させ、カレーの店を王都と下町に2店舗出していたわけだが…
今回はドン家からカレー店を出したいという要請が来たらしく、運営陣の中で一番ヒマだったマイクが駆り出されていた…
「え?いつ来てたの?」
ドン家の執務室で驚いている当主代理を務めているフラグラーレ・ドンは本気で驚いている。
ほとんどの領地で言えることだが、人が入ればそれなりに偉い人間に報告が入るもの。だが瞬間移動でマイクが生み出した空の道に一瞬で飛んでくることができるので、報告が届く前にこうして尋ねることができてしまうのだ…
「さっきだよ…それでカレー店やるんでしょ?店の場所と人って決まってる?」
「あ、うん…まだ、数人だけど…石盤使えば管理も楽になるだろうからドン家自体がやろうかなと思ってるんだけど…」
「オレが料理指導することになったから…よろしくね」
「ま‥マイク君、お料理できるの?」
「ふっ!一人でも生きれるようにいろいろと男はできるようになるのさ!」
「へ…へぇ~~…」
かっこいい!!という内なるフラグラーレは大盛り上がりしながらカレー店の候補になった人材を集めた。
厨房に集まったらしく、外に集合させた。いつも通りの青空厨房である。
簡単に土属性の造形魔法で必要なものをくみ上げ、カレー店に関わる4人に説明することになった。
主婦が2人、フラグラーレと同じくらいの年の女の子、あとは犬系男子…だな……
「揃ったみたいなのでトム壱番屋の研修を始めます!まずはカレーの作り方だ!シフトやタイムカード、制服みたいな店のルール、掃除、皿洗い、ワンオペの仕方も覚えていかなきゃいけないけど、何よりもカレーの作り方から知っておかなければならない!」
4人とも困惑している…未だ少年といっても差し支えない子供が謎の厨房を生み出し、熱弁を振るってきたからだ…
いや、一人だけもの応じしないヤツがいた…
「あの!あなたは貴族様であらせられるのですか?」
「ふっ!自己紹介が遅れたな!トム壱番屋の会長であり、イングランディーレ家三男マイクだ!ヨロシク!!」
「「「よろしくお願いします!」」」「よろしくっス」
「まぁ、見た目通り9歳だからな…皆が不安に思う気持ちもわからなくない!だが、心配ない!王都と下町ですでに店は爆売れしている!他にもオレが経営しているカフェや屋台でも収益は常に更新している!」
「いや、そこは疑ってないっす…フラグラーレ様にもしっかりうかがっているので…」
それよりまさかカレーづくりを教えてくださるのがマイク様当人だということっすよ」
「ああ、そっちか…それはフラグラーレからの手紙を1か月以上無視してたのもあったから贖罪の気持ちを込めて自ら来た、あと人員不足でオレしかいなかったんだよね」
そんな説明をしてカレーづくりに入っていった
「え?カレーのルゥー使うんですか?過程で作るのと変わらないじゃないですか!」
「ばかめ、サム…運営とはきれいごとだけでは回らないのだよ…効率を考え、さらに美味しさを追求するとこの形がベストなんだよ、それにルゥの方が熟成期間がある分美味い!他の食材の下準備を考えればこれが一番美味くて効率的なんだよ…」
そして他にも辛さの変えた比率のルゥーの準備、違うフライパンでの加熱など一旦すべての調理工程を見せた。
そして他の工程を見せ、一回それぞれやってもらう…出来たものはそれぞれ試食してチェック、その後無料で配布や持ち帰りをしてもらう。
持ち帰りの容器の説明などもこの際してしまう。マイクの造形魔法でできているので一度の使用で二回利用できず魔素として消えてしまうことや、収納魔法にして突っ込んでおくのでどれくらいで無くなるかをしっかり把握することなど、初歩的なことをパパッと言っておいた…
そうしてある程度カレーの作り方を教えた後はトッピングなどの準備、注文の取り方、チームでしっかり把握できるようにしておくことなど、運営における効率的なやり方も教えておいた。
うん、こんなもんかな
復習させつつ、ある程度の初期のメニューを教えていく。
注文の取り方なんかは結構人任せでもいいかと思ったけど、上手いこと言葉がないらしくある程度のマニュアルは作っておくことにした。
あとはテキトーに対応できるやろ…
その日に掃除や皿洗いの手順なんかも一気に教えてしまった、4人は混乱し始めていた。
今日で覚えようとしたのだろうけど、今は手順をなんとなく覚えてくれればいいとだけ言っておいた。
そうして連日指導をする中でドン家の人にも協力してもらい、作り上げていった…
プレオープンもしてしっかり店が回ることも確認した。4人にはそれぞれの担当の責任者になってもらい、他の従業者も増え安心して任せられる環境を準備できた。
管理魔法の石板も使えるし、魔法協会とも連携して適性検査ができるような施設も近くに作ってもらい、登録して効率よくお金を支払えるシステムにも入ってもらった…
これには父上にも協力してもらったのでマジで助かった…ありがとうちっち(父)!
魔質登録ができてなくても現金で食券を買うシステムも準備しておいた…順番がごっちゃになるのが難点であったが数日で対応できるようになったので何とかできてよかった…
無事マイクがいなくても回るようになり、指導期間を終えることになった…
ふぅ、良かったよかった…
「今回もありがとうございました、マイク様
良ければ今日は我が屋敷でおもてなしさせてください」
「ん…そうだね今日くらいは…ごちそうになろうかな‥」
ドン家で夕食をごちそうになり、転移魔法で帰るのであった…




