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第104話 香辛料の更新料

カレーチェーン店トム壱番屋に香辛料を下ろす商会がある。


その名をカルカッタ商会…西のヤンド国との繋がりがあり、近々王国の子爵の地位を賜ることになっている。


というのも乗っ取りといっても致し方ない方法でその地位に就こうとしていたのである。


しがない商人ではあったがドン子爵という貴族に取り入ることに成功し、御用商人という立場を得ると瞬く間に商会を大きくすることに成功した。


信用を得たことで内部情報を掴むことも容易になり、計画的な犯行をもとにドン子爵当人を事故という形で死に追いやる。


夫人はその影響で倒れ、屋敷を回すものがいなくなる。王都で貴族学園に通っていた嫡男が悲報を聞きつけ帰還するも屋敷はメチャクチャになっており、再起は厳しくなってしまう。


そこに声をかけてきたのがカルカッタ商会マドラスという男だった。この男がドン子爵を事故死に見せかけた男であり、いままさにドン家を手に入れようとしている男である。


カルカッタにより資金援助を受け立て直しを図るドン子爵家であったが、多数の汚職が発覚、それらが仕組まれたことも知らずにマドラスの助言を真に受けた子爵家当主に就任したアルバート・ドンは徐々に馴染の文官たちを次々にクビにしていった。そしてアルバートは人間不信になってしまう…


信用するものが減ったことで領地運営は上手くいかなくなる。それにほくそ笑む男がその顔を隠しながらアルバートの近くに居座っていた…


そんな状況を不審に思っていた者がいた…


夫人の面倒を見つつ、何とか屋敷を回そうとしていた妹フラグラーレ・ドンであった。


兄の奇行を止められず、かつて屋敷を支えていた者たちをなんとか支援していた。少ない資金でドン家を支えようとしていたが、それもカルカッタ商会の会員にバレてマドラスまで話が行ってしまう。


結果、兄に話が回り、そのまま屋敷に軟禁されることになってしまった。


兄からも信用を失い、マドラスには気味の悪い笑みでいずれ可愛がってあげようという乗っ取り宣言にもとれる言葉を吐かれ、屈辱と悲しみで感情がぐちゃぐちゃになった。


しばらくして兄が死んだ…


事故らしい…


そして母も死んだ…


兄の死にショックを受け、何もできなかったことへの罪悪感と衰弱した体ではもうどうにもならなかった…精神的にも身体的にも追い込まれた結果、首をつって発見されたらしい…


フラグラーレは家族3人の死に目すら見れていない…彼女は絶望した…


しばらくして家督を継ぐことに決まった…成人した年である。そしてマドラスがその婚約者に選ばれた…


何もかもを奪われた…貴族としてのプライドすら…


死のうと思った…だがそれをさせるほど甘くないのがマドラスという男であった。


カルカッタ商会はどんどん大きくなり、王国の香辛料の流通を全て握るほどになっていた…


さらに王都でカレーが流行したこともカルカッタ商会を乗せていた…


なぜこんなにも世の中とは不平等なのだろうか…私が何をしたというのだ…そんな風に考えることしかできず毎日に絶望していた…


そんな時、知らない少年が私の自室に侵入してきた…


「お姉さんは?…もしかしてドン家の人?えっ…と…フラグラーレさんかな?」

「は…はい、どちら様ですか?」

「あぁ、おたくの御用商人がね、不当に商品の値を引き上げてきたから…

 シバきに来たの!!」


フラグラーレはフリーズしてしまう…どこのだれかはわからなかったが、もしかしたらこの子が救ってくれるのかもしれない…


「それで色々調べたらカルカッタ商会のマドラスってやつはさ、貴族になるためにこのドン家を没落させようとあんなことやこんなことやっててね、いろんな悪行が出てきちゃって外聞悪いから中身だけもらおうと思ってきたわけよ…」


目の前にいる少年から感じる存在感はとても強く、何でもできそうな雰囲気を持ち、本気で救われるかもしれないと思ったフラグラーレは涙が出そうになりながら少年の言葉を待った…


「だからお姉さんには悪いけど、ドン家ももらうね!」ニコッ

「!?」


訳が分からないまま話が進み、私はドン家の当主代理となった…


少年はマイク・イングランディーレと言い、8歳…

マイク君はしっかり補助を付けてこのドン家を支援してくれつつ、カレーという商品のためこのドン家を使い王都に香辛料を安く流通させていた…さらに流通の起点となったことでドン家の領地にお金が回るようになった。


流通に必要な道の整備はマイク君自身が瞬く間に終わらせたらしく、直線の大きな道路を空に通してしまった…


その途中に領地のモノを売れる場所を作り、そこに領内から余ったものが集まるような仕組みが生まれ、そこから街や村の道も整備してもらい、流通を活発化してもらった…


さらに領内に入らず空の道を行くことで関税がほぼいらないという仕組みに商人が集まり、その道を使いお金を他の場所で落としていく循環も生まれた。


そのうえで空の道の整備も簡単に設計されており、持続可能な道としてかなり助かることとなった。


気にするべきは道中の地面の割れくらいで柱や道との接続部に無駄に隙間はないのでほぼ問題ないとされている。雨などの排水機能も問題ないように対処は考えられており、並みの土属性の魔法使いで対応可能らしい…


さらに道中に不思議な魔道具も設置され空の道で怪しげなことをしようとすればすぐさま対応され、悪さをする連中がとっつかまってさらされる事件が多数起きた…


そうして支援をしてもらい私でも簡単に領地を回せるマニュアルと人材を派遣してもらい、1年経たずにそれなりの暮らしを取り戻した。


人材の派遣といってももともとこの領地を回してた文官たちで、なぜか王都でマイク君に保護を受けていたらしい。その影響でこのドン家とカルカッタ商会の癒着に気づいたという話だった…


本当にありがたい…


父と母、そして兄も失ってしまったがまだ生きることはできている。


これから少しでもマイク君のために生きていこうと思っている…


今、マイク君はこっちの状況をそれほど気にしてはいないみたい…カレーのお店もこっちに出していいか聞いても返信がこない…

なんとか香辛料を使った料理も増やしていきたいのだけど、何か案はないかな…


簡単ではないことをパパッと決めていったマイク君はやっぱりすごい子だったんだな…


また隣に来てくれないだろうか…社交界に私も行こうかな…

フラグラーレはそう空にささやくのだった…



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