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空白  作者: 夏蝶
14/26

僕の気持ちが...

 父親の命が残り少なくなったと知らされてから早くも一週間が過ぎようとしている。

 僕の気持ちが変わるわけもなく、前と変わらず過ごしている。

 毎日晴れていた気がする春の空から雨が増える梅雨に差し掛かってきて自分の気持ちも考えも雨に流されてように何もかも決まった通りのことを淡々とこなして言っているだけの生活。

 あの何歳かわからない、自分とその兄弟にだけ見えるあいつもはじめのうちは色々言ってきたが僕の気持ちを読み取ったのかあまり言ってこなくなった。

 けれど、変わったことがひとつある。

 なぜだか色がはっきり見えるようになった気がするのだ。

 こんなことをいうと何を言ってるんだと言ってくる人がいるかもしれないけれど、詳しくいうなら、感情が増えて来たという方があってるんだと思う。

 今まではどんなことでも諦めたような濁ったような、灰色に近い、霧に包まれたようなそんな色が必ず混じっていた。

 それは今まで何かにすがりついて、絡みつかれて、もがきすらしなかったからすべての物事が他人事であり、興味のないことだった。

 今回のことで初めて自分自身の思いを、感情を口に出し伝えた。押し殺すことなく、他人からの受け譲りじゃなくて、自分自身の声を伝えた。

 それからはすべてが澄んだような気がした。

 自分についてかんがえるようになった。

 あの時、どうしたかったか、どうされたかったかを...

 自分は結局羨ましかったのだ。どうにかしてあの父親に見てもらいたかった。相手にして欲しかった。褒めてもらいたかった。認められたかった。好かれたかった。自分の学歴でも、成績でもなく自分自身を...

 だけれども、あのことを許すことが不可能に近く、顔を合わせると何を言い出すかわからないまま、逢いにいくのは考えがたく、今はそんな心の余裕が無い。

 それに、捨てた子供に本当に会いたいかなんてその本人しか知らない。

 あの兄弟には建前を言っているだけかもしれない。

 この時ばかり血の繋がりを恨んだ。

 結局恨み、切り捨てることができなかったのだ。

 自分の不器用さに嫌気がさした。

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