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転生したので貯金します。たぶん。~現代知識で稼ぐ、浪費家の異世界生活~  作者: 千流


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今度は、最初からわかってる

18リルで手回しの道具を買った翌日。


俺とカイルは、それを持って金属加工をしている店を訪れた。


昨日いくつか見て回った中で、小さな部品でも作ってくれると言っていた店だ。


「これの先に付ける物を作ってほしいんです」


俺が道具を見せると、職人は手に取って持ち手を回した。


先端の軸がくるくると回る。


「何を混ぜるんだ?」


「石鹸です」


「石鹸?」


やっぱりそこからか。


俺は簡単に説明する。


液体を混ぜるために使うこと。


それなりに重さがあること。


手で棒を持って混ぜ続けるのが大変だから、この道具で楽にしたいこと。


職人は話を聞きながら、もう一度道具を回した。


「先に棒を付けるだけじゃ駄目なのか?」


「前にそれに近いのを作ったことがあるんですけど、混ぜるなら先端に広がりがあった方がいいです」


前回は、まず木で試した。


それから金属の部品を追加した。


今回はその失敗を繰り返す必要はない。


「こういう感じで」


紙に簡単な形を描く。


軸の先から何本か短い部分が伸びて、回せば中身をかき混ぜる。


職人は紙と道具を交互に見た。


「作れなくはないな」


「いくらくらいです?」


隣からカイルが先に聞いた。


俺も聞こうと思ってました。


「大きさにもよるが、これくらいなら4リルでいい」


4リル。


昨日の道具と合わせて22リルだ。


前に作った時は、元の道具だけで25リル。


そこから追加で金も使った。


それを考えれば安い。


答える前に、一応カイルを見る。


カイルは少し考えてから頷いた。


「いいんじゃない?」


よし。


これで堂々と頼める。


「じゃあ、それでお願いします」


職人に道具を預け、出来上がるのは明日になった。


店を出ると、カイルが俺を見る。


「前より早いね」


「一回作ってるからな」


何を作ればいいのか。


どこで失敗したのか。


何が必要なのか。


今回は最初から分かっている。


前みたいに、作って試して、駄目だったらまた作り直す必要はない。


「最初から金属にしたのも、その時失敗したから?」


「そう。木でも使えなくはなかったけど、長く使うならこっちの方がいい」


「じゃあ前に使った金も、全部無駄じゃなかったんだ」


「そういうこと」


俺は少し得意になって答えた。


失敗に使った金も、次に生かせば経験になる。


そう考えると、昔の出費も悪くない。


「だから、失敗してもどんどん――」


「それと無駄遣いは別だからね」


「まだ何も言ってないだろ」


「言おうとしてたでしょ」


危ない。


最近、途中で止められるようになってきた。


     ◇ ◇ ◇


翌日。


完成した道具を受け取り、そのまま部屋へ持ち帰った。


見た目は前に作った物と似ている。


手で持ち手を回せば、先端に付けた金属の部分も回る。


「ちゃんと回るな」


「あとは本当に混ぜられるかだね」


そこが一番大事だ。


ちょうど次の石鹸を作る予定だったので、さっそく使ってみることにした。


材料を用意して、いつもの容器に入れる。


俺が道具を構え、カイルが容器を押さえた。


「いくぞ」


「うん」


持ち手を回す。


先端が容器の中で回り始めた。


「お」


ちゃんと混ざる。


前に作った時と同じだ。


いや――。


「ちょっと軽いかも」


「何が?」


「回すの。前より楽な気がする」


前に作った物より、軸の動きがいい。


中古とはいえ、元の道具自体の作りが違うのかもしれない。


ノルンの時みたいな大掛かりな仕組みではない。


でも、棒を握って延々とかき回すよりはずっと楽だ。


しばらく回してから、カイルに渡す。


「やってみる?」


「うん」


カイルが持ち手を回す。


最初はゆっくり。


慣れてくると、少しずつ速くなった。


「……楽だね」


「だろ?」


「これは作ってよかったかも」


その言葉を聞いて、俺は満足する。


道具が18リル。


加工が4リル。


合計22リル。


安い買い物ではない。


でも、これから何度も石鹸を作るなら、そのたびに二人で棒を持って混ぜ続ける必要がなくなる。


「これなら、作る量増やせそうだな」


「でも一気に増やさないよ」


「分かってるって」


まずは売れる分だけ。


作って、売って、また作る。


その中で必要なら増やせばいい。


俺たちは混ぜ終わった石鹸を、大きな型へ流し込んだ。


あとは固まるのを待って、切り分ければいい。


セルトでの石鹸作りは、少しずつ形になってきた。


材料も手に入る。


型も作った。


混ぜる道具もできた。


あとは、作った分をちゃんと売るだけだ。

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