↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したので貯金します。たぶん。~現代知識で稼ぐ、浪費家の異世界生活~  作者: 千流


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
149/264

今度は、買う理由がある

回す道具をミラの店に売ってから、しばらくはリーネで過ごした。


 石鹸や鞄のことを確認したり、父さんの工房を手伝ったり、トーマのところへ遊びに行ったり。町の外へ出るようになってからも、帰ってくればやることは意外と多い。


 そんなある日、ハンスの店へ顔を出すと、ちょうどベルクが来ていた。


「お、いいところに来たな」


「また何かある?」


「なんで最初から何かある前提なんだよ」


「ベルクがいるから」


「まあ、あるんだけどな」


 やっぱりあるじゃないか。


 ベルクは笑いながら、荷物の横に置いていた紙を広げた。


「五日後にまたラグナへ行く。前に話した白いソースの件もあるし、向こうで仕入れたい物も出てきた」


「五日後?」


「ああ。今回は向こうで三日くらいだな」


 ラグナ。


 その名前を聞いて、最初に浮かんだのは中古道具屋だった。


 カイルにも、あの25リルの道具がどうなったか話していない。


「行く」


「早いな」


「俺も行っていいんでしょ?」


「お前の親がいいって言うならな。もう道も宿も分かってるし、俺は構わん」


 そこまで聞いて、俺は少し考えた。


 前回までは、町を見たいという理由が大きかった。


 今回は違う。


「ベルク、中古品って町をまたいで売ったりする?」


「するぞ」


「普通に?」


「普通にっていうか、物によるな。安く仕入れられて、運ぶ手間をかけても利益が残るなら」


「やっぱりそうだよね」


 ラグナの中古道具屋には、旅人が手放した物が入ってくる。


 リーネではあまり見かけない物もあった。


 だったら、ラグナで安く買ってリーネで売れる物もあるんじゃないか。


「何だ。また買い物する気か?」


「仕入れ」


「言い方変えただけじゃないだろうな」


「今回はちゃんと考えてるって」


 ベルクが怪しそうに俺を見る。


 失礼な。


 俺だって前回の経験から学んでいる。


「いきなりいっぱい買わない。少しだけ買って、リーネで売れるか試す」


「それならまあ、商売としては普通だな」


「でしょ?」


「何を買うか決まってるのか?」


「まだ」


「誰に売る?」


「まだ」


「いくらで売れる?」


「……まだ」


 ベルクが黙った。


「だから、それをラグナで探すんだよ」


「順番だけは間違えるなよ」


「分かってる」


 買ってから考えるんじゃない。


 売れそうな物を探して、値段を見て、リーネでいくらなら売れそうか考える。


 それから買う。


 完璧だ。


     ◇ ◇ ◇


 家に戻って両親に話すと、今回も許可はすぐに出た。


 前と同じベルクとの旅で、行き先もラグナ。宿も分かっているし、前回きちんと帰ってきたことも大きいらしい。


「今度は何買ってくるの?」


 母さんが聞いてくる。


「まだ決めてないよ」


「その方が怖いんだけど」


「今回は仕入れだから」


「前も仕事用のお金で道具買ってなかった?」


「あれはちゃんと使えたよ」


「ミラちゃんのところに売ったんでしょ?」


「そう。20リルで」


「いくらかかったの?」


「……28リル」


 母さんが笑った。


「8リル減ってるじゃない」


「その分、いろいろ分かったからいいんだよ」


「ならいいけど」


 よくないと思ってそうな言い方だった。


 でも今回は違う。


 最初から売るために買う。


 つまり、本当の仕入れだ。


     ◇ ◇ ◇


 出発前日。


 俺は机の上に三つの袋を並べた。


 貯金には触らない。


 自由に使う金も持っていくけど、今回の目的はそっちじゃない。


 問題は仕事用だ。


 前回ラグナへ持っていった100リルから25リルを使い、その後の改良に3リル。ミラの店へ20リルで売ったから、仕事用の金は今、642リルある。


 その中から、今回は80リルだけ持っていくことにした。


「全部持っていく必要はないよな」


 仕入れを試すだけだ。


 むしろ、持っていく金を決めておけば使いすぎることもない。


 自由に使う金は171リルのまま。そのうち今回は40リルだけ持っていく。


 仕事用80リル。


 自由40リル。


 合わせて120リル。


 もちろん、全部使うつもりはない。


 紙にも書いておく。


『ラグナで売れそうな物を探す』


 その下に、もう一つ。


『買う前に、リーネで売れるか考える』


「よし」


 これなら大丈夫だ。


 目的もある。


 予算も決めた。


 買う前に考えることまで決めた。


 ここまで準備しておけば、さすがに変な物を買って帰ってくることはないだろう。


 机の端には、いまだに使い道の分からない6リルの金属の筒が転がっていた。


 俺はそれを引き出しの中へしまった。


 今回は、あれとは違う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。