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転生したので貯金します。たぶん。~現代知識で稼ぐ、浪費家の異世界生活~  作者: 千流


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次は、どこへ行こう?

十四歳になってから数日。


 成人まであと一年だと意識したせいか、前より町の外が気になるようになった。


 一度エルダへ行ったからだと思う。知らない町へ行って、知らない店を見て、リーネとは違う物や値段を知った。あれを経験してしまうと、この町の中だけ見て満足するのは難しい。


 問題は、どこへ行くかだ。


「……地図が欲しいな」


 机の上には、この前整理した紙が並んでいる。


 石鹸、鞄、白いソース。今までやってきたことは書いてあるけど、この先どこへ行くかなんて当然書いていない。


 そもそも、俺はこの辺りの町をほとんど知らない。


 エルダだって、ベルクさんから話を聞くまでは名前を知っている程度だった。王都はもっと遠いし、いきなり行くような場所でもない。


「近くに、もう一個くらいないのかな」


 エルダとは違う町。


 できれば、俺が見たことのない物があるところ。


 あと、商売になりそうな物もあれば最高だ。


 ……別に買い物がしたいわけじゃない。


 仕事だ。


 たぶん。


     ◇ ◇ ◇


 ちょうどその数日後、ベルクさんがハンスさんの店に来ていると聞いた。


 俺が店へ行くと、二人は奥で荷物を確認しているところだった。


「こんにちは」


「おう、レイン」


「また来たのか」


 ベルクさんが片手を上げる。


「またって、俺この店には普通に来ますよ」


「俺がいる日に来る率が高いんだよ」


「今日は聞きたいことがあって」


「ほらな」


 笑われた。


 否定はできない。


「ベルクさんって、エルダ以外にも行きますよね?」


「行くぞ」


「この辺だと、他にどんな町があります?」


 ベルクさんが少し考えてから、近くにあった椅子を引いた。


「何だ。今度は別の町へ行きたいのか?」


「できれば」


「エルダに一回行っただけで、もう次か」


「一回行ったからですよ」


 知らなかった物がたくさんあった。


 町が変われば、売っている物も違うし、値段も違う。だったら別の町も見てみたいと思うのは普通だ。


「まあ、近場ならいくつかある」


「どんなところです?」


「何が知りたい?」


「全部」


「雑だな」


 ベルクさんが笑った。


 それでも、近くの町についていくつか教えてくれた。


 農作物が多く集まる町。


 職人の工房が多い町。


 街道沿いにあって、旅人や商人がよく立ち寄る町。


 同じくらいの距離でも、それぞれ全然違うらしい。


「街道沿いの町って、どんな感じです?」


「人の出入りが多い。宿も多いし、店も多い。長く住む奴より、通り過ぎる奴相手の商売が目立つな」


「店も?」


「ああ。旅の途中で必要になった物を買ったり、逆に邪魔になった物を売ったりする奴もいる」


 そこで少し引っかかった。


「売る?」


「旅人が?」


「そうだ。荷物が多すぎたとか、金が足りなくなったとか。まだ使える道具を売っていく奴は珍しくないぞ」


「へえ……」


 面白そうだ。


 新品を売る店ならリーネにもある。でも、旅人が使っていた物まで店に並ぶなら、見たことのない物が混じっているかもしれない。


「今、買い物のこと考えただろ」


「考えてません」


「早かったな」


「本当に考えてませんって」


 正確には、見てみたいと思っただけだ。


 まだ買うとは言っていない。


「その町、ベルクさんも行くんですか?」


「行く。毎回じゃないがな」


「次は?」


「……そっちに回る予定はあるぞ」


 思わず身を乗り出した。


「いつです?」


「まだ少し先だ」


「どれくらい?」


「お前、ついてくる気か?」


「駄目ですか?」


 ベルクさんが俺を見る。


 前にエルダへ行ったときとは違う。


 あのときは初めて町の外へ出ること自体が目的みたいなものだった。でも今回は、知らない町を見たい理由がある。


 何が売られているのか。


 何が必要とされているのか。


 リーネと何が違うのか。


 それを知りたい。


「親に聞け」


「そこから?」


「当たり前だろ。十四歳になったからって、勝手に連れていけるか」


「来年成人なのに」


「来年だろ」


 それはそうだ。


「分かりました。聞いてみます」


「あと、まだ決定じゃないぞ。荷物と予定次第じゃ行き先が変わる」


「じゃあ決まったら教えてください」


「そのくらいならな」


 よし。


 少なくとも、次に行ってみたい場所はできた。


 名前すらまだちゃんと聞いていないけど。


「そういえば、その町って何ていうんです?」


「そこからかよ」


 ベルクさんが呆れたように笑った。

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