第八章~第九章
第八章 日本における神の概念
これまでの閲読により、御神からの御意識が既にお向けになっている可能性があるため、本項においては一度当該対象から離れ、日本古来の「神」の概念について説明する。
本項において述べる「神」とは、日本古来の信仰における神格を指すものである。
当該概念は、自然現象、土地、祖霊、事象等に宿る存在として認識されており、単一の定義に収まるものではない。
すなわち、「神」は人格を有する存在として語られる場合もあれば、現象そのものとして扱われる場合もあり、その在り方は極めて多様である。
また、日本における神は、必ずしも絶対的な善悪の基準に基づいて行動する存在ではない。
災厄をもたらすこともあれば、加護を与えることもあり、その振る舞いは人間にとって一義的に解釈されるものではない。
このような性質から、神は畏れの対象であると同時に、敬うべき存在として扱われてきた。
人間は神に対し、祀る、鎮める、あるいは遠ざけるといった行為を通じて関係性を維持してきたとされる。
ここにおいて重要なのは、人間と神との関係が、一方的な支配関係ではなく、一定の距離を保った共存関係として成立している点である。
すなわち、神は人間に影響を及ぼし得る存在であるが、同時に人間側の行為によってその関係性が調整される余地が存在する。
いわゆる「神隠し」と呼ばれる現象も、この文脈において語られることが多い。
当該現象は、神の領域に人間が触れた結果として発生するもの、あるいは神の意思により人間が一時的または永続的に姿を消すものとして理解されてきた。
しかしながら、これらはあくまで伝承及び信仰に基づく解釈であり、一定の枠組みの中で説明可能なものとして扱われている。
最後に付記する。
本項における「神」は、人間が長い時間をかけて理解し、関係性を構築してきた存在である。
したがって、当該存在は未知のものではあるが、「認識可能なもの」として扱われている点に留意すること。
第九章 従来の神隠し
神の領域に触れた人間が、神の側へ引き込まれる。あるいは、神の御意志によって一時的に存在を移される。
当該現象は、古来より「神隠し」として語られてきたものであり、その多くは境界領域において発生するとされている。
すなわち、山、森、水辺等、人の生活圏と自然との境目において顕著であり、人間の認識が不安定となる環境下で発生しやすいものと理解されてきた。
また、特定の条件下においては帰還する例も確認されており、当該現象は不可逆的なものではないとされている。
これらの特徴から、従来の神隠しは「神と人間との接触に起因する一時的又は局所的な事象」として認識されてきた。
しかしながら、現代において一般的に「神隠し」と呼称される事象の大半は、当該伝承とは異なる性質を有する。
すなわち、その実態は、事件、事故、自然環境下での遭難、経済的又は社会的要因による自発的失踪等、物理的及び科学的に説明可能な事象である。
これらは、発生過程が十分に観測されていない、または関係情報が欠落していることにより、結果として「突発的に消失した」ように認識されているに過ぎない。
したがって、当該事象は本質的には不可解なものではなく、「説明が困難であるように見える」事象である。
いわゆる「神隠し」として扱われる理由は、説明の欠如ではなく、認識の不足に起因するものである。
最後に付記する。
従来の神隠しは、いずれも人間の理解の範囲内に存在する事象であり、適切な情報が揃えば説明可能なものである。
すなわち、「理解できないもの」として扱われてきたのではなく、「まだ理解されていないもの」として認識されてきたに過ぎない。




