表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の国~蛾のお姫様は最下層の彼と溺れる恋をする~  作者: 泉花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/49

9.襲撃と喪失(1)

*** 9 ***


炎をまとった小石が飛び交い、砂煙が広がっていく。


夜の闇に炎がパチパチと音をたて、黒の中に血のような赤が浮かび上がる。


何が起きたのか理解できないエレオノーラは叫ぶことも出来なかった。



「エレオノーラ、怪我はない?」


「え、えぇ……」


リベルトがエレオノーラを抱えて部屋を飛び出さなければ、爆発に巻き込まれていた。


それほど威力のあった爆撃は炎の柱を空に伸ばしていた。



「あら、避けられちゃったのねぇ」


「……フィアンマ公爵令嬢?」


炎を背景に、黒いブーツで砂利を踏み鳴らしながらロゼッタが姿を現す。


二つに結った赤色の髪が炎の威力に揺れて、太陽のフレアのようにギラギラとしていた。


リオナのお気に入りに与えられる戦闘服をまとい、ロゼッタがエレオノーラを捕捉すると妖艶に舌なめずりをした。



「そんなに男の匂いをぷんぷんさせていたらバレバレですわよぉ。エレナ様ぁ?」


「どうしてあなたが……」


「エレナ様が男に誘惑されたって聞いてぇ。連れ戻すよう命を受けましたのぉ。わたくしに命じるなんて、王族の方々もなかなか目の付け所が違いますわねぇ」


自信に満ちた恍惚の笑みで瞳にエレオノーラを映しこむ。


あまりに威圧的で恐ろしい魔女の姿に戦慄が走るが、負けていられないとエレオノーラは手に汗を握りしめた。



(フィアンマ公爵令嬢は強い。魔女の育成学園で火の魔女として好成績を収めたと有名な方だもの)


弱いエレオノーラを見せれば、ロゼッタはもっと調子に乗る。


ただでさえ魔法の使えないエレオノーラには不利な状況だ。


なんとか隙を見つけて状況を打破しなくてはと、沈黙を選んでロゼッタに抵抗を示した。



「実はわたくし、前からエレナ様に腹が立っておりましたのぉ」


クスクスと嘲笑を浮かべ、高圧的にエレオノーラを一瞥する。



「魔力も持たないのに、ルドヴィカ様やビビアナ様と並ぶなんてあきらかおかしいですわよねぇ? 王族たるもの、最強でなくては示しがつきませんことよ?」


長年抱えていたエレオノーラのコンプレックスを刺激し、煽っていく。


こうして話している間にも、建物の炎は大きくなっていき、黒煙が空に浮かぶ月を飲み込んでいった。



「わたくしの方がずっと強い。ここで男を滅し、エレナ様を捕まえれば──」


赤いルージュが蠱惑(こわく)の微笑みに色を添える。



「わたくしの次期当主の座も確実ですのよぉ!!」


ロゼッタが手を前に突き出すと、炎の塊が放たれる。


あまりに早く、屋根や床の木材を巻き込んでエレオノーラに一直線に炎が向かっていった。



(ダメだ、避けられない!)


せっかくここまで来たのに――!!


声を上げることも出来ず、エレオノーラは熱波に耳を塞いで視界を閉ざした。


だがいつまで経ってもエレオノーラの身体は熱に焼かれない。


室内の温度は上昇し、全身汗で濡れているが、身体の感覚は残っている。


何がなんだかわからないまま、エレオノーラが目を開くと、リベルトがエレオノーラの前に出て片膝をつき、剣を構えてロゼッタと対立していた。



「リベルト……?」


リベルトが息を深く吐き、グッとかかとを踏み出してロゼッタに斬りかかる。


力強さと俊敏さがロゼッタに襲いかかり、焦ったロゼッタが炎を暴発させて大きく後退した。



「何っ!? 剣で炎を斬ったですって!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ