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Apostles12~罪を背負いし少年の復讐譚~  作者: 尖閣諸島諸島警備隊第6小隊隊長代理
一章 対[火]の使徒
34/44

エピローグ~誓いと覚悟~

第一章のエピローグです。


「全く、シンさんはどこに逃げたのかしら?」


「分かんないにゃ。気配も見つからないしにゃ…」


【地下だ。下に降りる】


ライトネル、バステト、ステラの三人は、組織の本部に帰ってきて突如消えたシンを探していた。


「地下に居るのね!?行くわよ!」


【いや、恐らくもう――】


途端に表情を輝かせたライトネルが、ステラを遮って地下へと続く穴に駆け出す。


「あんなの、絶対に納得出来ないわ!シンさんも一緒に皆であいつらを懲らしめてやるんだから!」


シンは、組織の総司令官であるギルヴェルトと戦隊長のクリスの策略により、現在組織から追い出されようとしていた。

ライトネルはそれを断じて許容出来ないようだ。


「それに、まだご飯奢ってもらう約束があるし!」


そう言って、ライトネルは穴に飛び込んで下階に降りる。

それに続いてバステトとステラも下階に続く穴へと飛び込んで行った。



下階に降りてからは、ステラが二人を先導して通路を駆けていた。

それから地下へと続く穴に飛び込んで下階に降りてを繰り返し、遂に目的の階層へとたどり着く。


ステラが迷いなく道を進むことが出来るのは、シンの魔力反応を感知しているからだ。

しかし、ステラの心の中には焦燥が渦巻いていた。

魔力反応が普段のシンと比べて薄すぎる。

それはつまり、対象者が既にその場に居ないということを表している。

単に死にかけているという可能性もあるのだが、それはあり得ない。


そして、ステラはその部屋へと続く最後の通路を曲がり、そこへたどり着いた。

そこは、白に統一された部屋、いや、ただただ真っ白な部屋。

だが、その白とは正反対の焼け焦げたような真っ黒に染まった立方体が、部屋の中央にあった。

注意深く辺りを見回すが、部屋の中には誰も居なかった。

代わりに、少し部屋の中に踏み出した先に、一枚の紙切れが落ちていた。


急いでライトネルが飛び出し、紙切れを手に取る。


---------------------------------------------------------------------------------------------


俺はここから出ることにした。

お前たちはここに残るか、それとも各々の道に進むか、好きな方を選べばいい。

短い間だったが、楽しかった。

俺に仲間の大切さを教えてくれてありがとう。

これで一旦はお別れだが、絶対に会えないと決まったわけではない。

また機会があれば、共に笑い会う日々を送りたい。

今まで本当にありがとう。


PS.奢ってやることは出来ないので、一緒に財布を置いておく。入っている分だけ、ライトネルはご飯を食べてくれ。


------------------------------------------------------------------------------------------


手紙の通り、紙切れの下には黒い財布が置いてあった。


ライトネルは、堪らず紙切れを手から取り落とした。


「…何よ…何で何も言わずに行っちゃうのよ…何でよ…」


言葉と同時に、涙が溢れてくる。


「…まだ…何も出来てないのに…」


「仕方ないにゃ…これがシン君の覚悟にゃ」


慰めるように、バステトはライトネルの背を撫でる。

しかし、ライトネルの涙が止まることは無かった。


「私たちも、私たちに出来ることをするしかないにゃ。何もしないのはシン君も望んでいないはずにゃ」


「…ぐすっ…ぅ…うん…」


涙で顔を濡らしながらも、ライトネルはバステトの言葉に頷く。


その間、ステラはただ立ち尽くしていた。

星の守護者であるステラには、元より感情が無い。

にもかかわらず、シンと関わることによって自分の中で蠢くものに気付いた。

シンは、自分に感情を教えてくれた。

怒り、焦燥、喜び、楽しみ、友愛、そして、恋。

ステラの中で、シンはとても大きな存在だった。


その時、不意にステラの頬を滴が流れる。

理解した。これが"悲しみ"だと。

この、胸にポッかりと穴が空いたような、どうしようもない感情。

今まで理解した感情と同様、自分では制御出来ない感情だ。

感情が赴くまま、ステラは涙を流し続けた。



◇  ◇  ◇



「…私は、ここに残ろうと思うにゃ」


しばらくして、そう口にしたのはバステトだ。


「この組織には何だか裏があるように思えて仕方ないのにゃ。私はそれを明らかにしたいにゃ」


「……私も…バステトと一緒にいる」


【同意】


ライトネルとステラもバステトの意見に同意を示す。


「じゃあ、私たちは今まで通りにゃ。シン君が帰ってくるかは分からないけど、私たちは自分の事を頑張ろうにゃ」

「…うん」

「…(こくり)」

バステトの言葉に三人が頷く。

悲しみに沈んだ表情をしているが、その頷きには確かな決意が込められていた。


悲しみに打ちひしがれ、踞ろうとも、時の流れは共に寄り添ってはくれないのだ。

どんなに悲しくても、どんなに進むことが苦痛でも、立ち止まってはならないのだ。

シンも、そう思って行動したのだろう。


「…よし!そうと決まれば宴会にゃ!その財布のお金で皆でご飯食べるにゃ!」


その言葉に、ライトネルは弾かれたように顔を上げる。


「……え!?それは駄目よ!?だって私のお金だもの!シンさんが私にくれたんだから私がご飯食べる分に決まってるでしょ!」


「まあまあ、そう言わずににゃ~」


【性格悪…ばか女神】


「ちょっとステラ!?あなた何を言ってるの!このお金は私が貰ったんだから私が――」


「「…………」」


「私が……うぅ…もう!分かったわよ!皆でご飯食べるわよ!」


二人の無言の主張に堪えきれなかったのか、遂にライトネルが折れたようだ。


「何食べようかにゃ~」


【悩】


「あの…あんまりたくさんは――」


「「……………」」


「何でもないわよ……」


ライトネルは全てを諦めたような表情になった。

シンが去ったと知った時よりも落ち込んでいるのは、気のせいではないだろう。


「それじゃあ行くにゃ!」


バステトの言葉に、三人は同時に歩き始める。

その後ろ姿には、既に悲しみは存在していなかった――。








「――追放した少女の始末はどういたしましょうか?」


「既に手は打ってある。手が空いている五つの戦隊を向かわせた。あの少女は少し厄介だが、五つの戦隊を向かわせた今、いくらあいつでもひとたまりもないだろう」


「五つ…ですか。過剰戦力に思えますが、どのような命令を?」


「…ふっ、好きなようにしろと言っておいたさ。この事を知ったらあの少女は生きた心地がしないだろうねえ」


「ふふっ、中々酷い仕打ちを。しかし、それなら情報漏洩は確実に防げますね」


「くっくっく、そうだな」


その場を二人の悪笑が包み込んだ――




第二章に入ってから第一章のエピローグを書き忘れていることに気が付きました^^;

他にも忘れている部分があるので、随時追加していきたいと思います。

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