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Apostles12~罪を背負いし少年の復讐譚~  作者: 尖閣諸島諸島警備隊第6小隊隊長代理
一章 対[火]の使徒
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疑惑

少し短目です。

シン達が使徒の残骸が落ちていると思われる辺りに近付いてきた時、聞き覚えのある話し声が耳に入ってきた。


「――と、そこで私の率いる大砲部隊の砲撃が直撃し、使徒が地に倒れ付したのです。そこで、一気に畳み掛けようと私は剣を取り、クラウソラス戦隊率いるリゼア殿と、ティルファング戦隊率いるクレイス殿と力を合わせ、見事[火]の使徒を撃滅するのに成功したのです。正に激闘で御座いました。しかし、我が軍の損害は運良くゼロで済みました」


「そうか。大義であった」


話していたのは、エクスカリバー戦隊隊長クリスと、組織の総司令官であるギルヴェルトだった。

二人の間には使徒の残骸が積み上げられており、二人を囲むようにして隊員達が立っていた。

シンが聞き覚えがあった声は、ギルヴェルトのものだ。


「ちょっと!おかしいでしょ!?使徒を倒したのは私たちよ!?何出鱈目言ってんのよ!」


クリスの報告には実際とは全く違ったものが含まれており、それに気づいたライトネルは声を荒げながらクリスに詰め寄っていく。


「お前こそ何を言っているんだ?お前たちのような新人で腑抜けの女共に何が出来ると?でしゃばるのは止めろ」


「っ!あんたね――!」


「――そこまでだ」


だが、ライトネルの言葉を遮るように、クリスは言った。


「それ以上動けば、お前の首をはねる。上官であるこの私に逆らったのだから、普通はこの時点で死刑は免れないが、今すぐ戻れば見逃してやろう」


ライトネルには、周りに立っていた隊員達の剣が突き付けられている。

完全に包囲されていた。


「ふんっ!この程度で私をどうにか出来ると――」


「ライトネル。そこまでにしておけ」


そこで、俺はライトネルに静止を呼び掛けた。

その瞬間、クリスの顔が醜悪な笑みに歪む。全て奴の計算通りのようだ。


ここで下手に暴れれば、死刑は免れない。まあ、そうなったとしても対処の仕方などいくらでもあるが、事態が良い方へ転ぶことは無いだろう。

今は、大人しくしておくべきだ。


「――シンさん…!でも…」


「今は大人しくしておけ」


俺は、ライトネルにだけ聞こえるようにそう言った。


その時、クリスはさらに醜悪な笑みを深くして、言い放った。


「死刑は無しにしても、上官に逆らったのだから何か罰が必要だよなぁ…。そうだ。お前たちの内、一人は今日中に組織から出ていけ。二度と帰ってくることは許さない。せっかくだから私が決めてやろう。そこの白と赤みがかった髪の女。お前だ。良いですよね?総司令官殿?」


なるほど。事実を知る者達を徹底的に潰してくるらしいな。しかもこいつ、自分より強いかもしれないのは俺だけだと思っている。

はっきり言ってこいつはライトネル、バステト、ステラの足元にも及ばないというのに。憐れなものだ。


「良いだろう。教育も必要だ」


ギルヴェルトも了承してしまった。

こうなった以上俺に居場所は無い。早々に出ていくか。


「ちょっと待ちなさいよ!そんなのおかしいでしょ!?」


「そうにゃ!いくら上官といってもそんなのとしていいのかにゃ!?」


【断固反対】


ライトネル、バステト、ステラは、俺の味方として立ち向かってくれるようだ。嬉しいものだな。

だが――


「いや、良いんだ。俺は出ていくとするよ」


「何で…」


ライトネルがそう溢して絶句するが、構わない。


「じゃ、じゃあ私もシンさんに付いて行くわ!」


「私もにゃ!」


【賛成】


三人は俺に付いてくる意向を示すが、ここでギルヴェルトが口を開いた。


「それは容認出来ない。組織は現在重度の人員不足だ。君達のような者でも必要なのだよ」


「じゃあ何でシンさんは追い出すのよ!おかしいでしょ!」


「教育のためだ。そのための犠牲は厭わない」


ライトネルは悔しそうに歯噛みし、こちらを見てくるが、俺には何もすることが出来ない。

何もしない。

何故なら、俺は既に違和感を感じていたのだ。この組織に対する違和感を。

"男"はコミュニケーションを嫌ったため単独行動を行っていたと言っていたが、俺と話す時は途切れ途切れながらもちゃんと話すことが出来た。

そして、あれだけ強いにも関わらず、"男"のことを知っている人物は居なかった。

何か裏があるかもしれない。

ずっと、そう思っていた。

そして、今、それは確信へと変わる。


「ふ…っふふ…ふはははは!!やった!やったぞ!あの[火]の使徒を倒した!ああ!素晴らしい!これが未知の金属!これが我らの未来への礎!素晴らしい!これで我らは星を支配する事が出来る!!」


やはり――な。


そもそも、人々を助けるための組織だなんて一言も言ってなかったしな。

シャロンさんが訓練場で言っていた事も嘘なのかもしれない。

いや、あの人のことだから騙されている可能性が高そうだな。


吐き気がする。


「あぁ、お前たち。もう帰っていいぞ。部屋でゆっくり休んでいるといい。と言っても君はお別れだが」


嘲笑や笑いを堪えきれず噴き出す音が聞こえてくる。

そんなことはもはやどうでもいい。

今すぐ、この組織から出ていきたい。


「ステラ、転移たのむ」


静かに頷いたステラは、転移魔法を発動させ、俺達は戦場から帰還した。





既に30話超えていたとは…!感慨深いです…!

少しでも、

『面白いかも!』

『続きが気になる!』

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