いちにちめ(王都)
俺とドラはミーシャを王都に送り届けたあと、そのまま何日か滞在することにした。そのまま引き返してもよかったんだけど、ドラの「おいしいものたべたい!」という鶴の一声ならぬ幼女の一声で、王都に留まることにした。やはりドラにはおいしいものを食べさせたいのである。これは世の真理である。
「それじゃあ王都で観光しようか、ドラ」
「かんこー」
「何日か滞在するならば、宿を取ったほうがいいだろう。私はこれから騎士団の拠点に帰還報告をしなければならないから、案内は明日以降になると思うが・・・」
「あー、そりゃそうだよな・・・ミーシャ、どっかオススメの宿ってある?」
「そうだな・・・普段宿に泊まることはあまりないから詳しくはないんだが、『ふくろう亭』という宿はこの王都でも人気だと聞く。私も何度か足を運んだことがあるが、そこで出される料理はとても美味しかった」
「『ふくろう亭』かぁ・・・じゃあせっかくだしそこに向かおうかな」
「ではそこまで案内しよう。ちょうど拠点への通り道だ」
俺はドラの手を握って、ミーシャの後ろをついていく。ドラの手ちっちゃくてぷにぷにしとる・・・。とてとて歩くドラがかわいすぎて写真を撮りたくなったが今はカメラを持っていなかったため諦めた。オノレェ・・・。
ミーシャについていく道中、『ふくろう亭』について教えてもらった。どうやら『ふくろう亭』は大通りに面しているようで、利用客も多く人気が高いらしい。というかそんな宿だったらいきなり泊まれないんじゃないか・・・?
「この時期は王都を訪れる商団や旅団、冒険者は比較的少なくてな。魔物の繁殖時期ともずれているし、大きな催し物もしばらくは予定されていないから、宿は空きがあるはずだ」
「あ、そうなの?」
「ああ・・・っと、ここだ。この鳥の看板が目印だ」
ミーシャがふくろう亭のドアを開けると、ドアベルが揺れてチリンチリンと高い音をたてた。
異世界の宿か・・・どんな感じなんだろうか?俺は逸る気持ちを押さえながら、ミーシャに続きドラと一緒に、宿の中へと入っていった。
ちなみにミーシャの方向音痴は王都でも遺憾なく発揮されるらしく、何度か道を間違えては通行人に道を聞いていた。




