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不滅のリーパーキング~死体の山で梯子を作れ。あなたに届く、その日まで~  作者: 柳原ミツキ
第一章

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ヴァイス・カーネル、参上っ!

彼は片手でダインを制止すると、背後の騎士と話し始めた。

何かの命を受けたらしい騎士は、懐から筒状の何かを取り出し、詠唱を唱え火を付ける。


すると筒状の先端から、モクモクと淡い赤色の煙が立ち上っていった。

それを合図に、頭上の騎士たちは散り散りになって消えていく。

空に残ったのは地上に大きな影を落とす、重厚な扉だ。


「待たせて悪いね。なにぶん、時間がないもので。......そうだ。俺が何者か、だったな?」

嫌に眩しい男は謝罪を述べ、ダインにきらりと歯を見せると。

「俺はフレイヤ聖騎士団第七班隊長、ヴァイス・カーネルだ。.....君も、名前ぐらいは聞いたことあるだろう?」


自信満々に答えるヴァイスに一言、

「いや知らんが」

「なにぃ!?」


酷くショックを受けた顔でよろめき、がっくりと膝をつくヴァイス。

「そんなことよりさ、黒髪の少女を見なかったか?俺の......仲間候補なんだ。もし上から何か見えてたら、教えてほしい」


「この俺を...知らない....ははっ...巷で噂の黄色い閃光とは、俺のことですよー......」

「なんなんだあんた!めんどくせえな!......っていうかさっき、第七班っていったか?」

体育座りをしながら遠い目をしたヴァイスにツッコミつつ、彼の言葉に引っかかりを覚える。


確か、第七班といえば....

「そう!第七班といえばこの俺!ヴァイス・カーネル....だっ!やっと思い出したか少年。まったく......いやそうだよな?この国で、俺のことを知らんやつなど」

「だから知らねえって。先進まねえから自分語りは後にしてくれ!......俺が気になったのは、お前じゃなくて第七班ってとこだ。俺の連れにエレオノーラっていう聖騎士が」


またしてもどんよりとしたオーラを放ち始めたヴァイスが、急にこちらへ距離を詰めてきた。

「エリィがいるのか!?君、やっぱりエリィを知っているのかい!?」

「近い近い近い!暑苦しいから近寄んな!......というか、やっぱり知り合いだったのか」

ふんふんと鼻息を荒くし、ぐいぐい顔をよせてくるヴァイスを引き離しながら。


「ああ、もちろん知っているとも。知りすぎているくらい知っているともさ!彼女の趣味嗜好、スリーサイズ、はたまた今日の下着の色まで......。なんせ俺たちは彼女に呼ばれて、こんなところまで来たのだからっ!」

両手を広げ、天を仰ぐようなポーズをとるヴァイス。


「うんうん、今日は水色のストライプだよな......じゃなくて、呼ばれた、だと?そんな暇」

ない、と言おうとした瞬間、ある発言が脳をよぎった。

確かノラは以前、『任務を終わらせた』と言っていた。まさかそれが....


「ノラの任務って、あんたたちを呼ぶことだったのか......いや、厳密には違うんだろうが」

「ふむふむ、君はエリィをノラと呼ぶのかい。それに下着の色まで的中させた......なかなかどうして、君はセンスが良いようだね。仲良くなれそうだ。......そう、彼女の任務は、最近多発している児童失踪事件の調査をすること。そして拠点を調べ、私たちを呼ぶことだ。」


謎の親近感が湧いたらしいヴァイスが、満足げに頷いている。

「じゃあ、あんたがさっき送った合図って」

「ああ、君の予想通りだろうさ。今頃仲間たちは、ここに拉致されてきた被害者を救出しているところだろう。......ほら」


彼の指さす方向に目をやると、今まさに一騎の騎士が空を泳ぎ、門の中へと吸い込まれていった。

よくよく見ると、騎士の前には一人の子供が乗せられている。

その騎士を皮切りに、どんどん空飛ぶ騎士団が子供を連れて門の中へ。


「おお......!!じゃ、じゃあグリムもそのうち見つかるよな!......よかったぁ」

さきほどの焦燥感からようやく解放され、ほっと胸を撫でおろす。


「随分そのグリムという子に熱をあげているようだね。俺はてっきり、君はエリィがお気に入りだと」

形のいい顎に手を置き、不思議そうにこちらをみてくるヴァイス。

……別に下着の色を知っているからといって、そういう仲ではないのだが。


「どっちも違ぇよ!俺の一番は......っ!......いや、なんでもねえ」

ふいに出そうになった名を、寸でのところで押し留める。

自分でもまだわからないが、一番を挙げるとするならば......あの、生意気な幼馴染だろう。


「そんなことはどうでもいいんだよ!......ほら、早く付いてきてくれ。実はノラを含めた俺の仲間が、結構な重症を負ってるんだ。はやく脱出して医者に見せてやらねえと」

「なんだと!?くっ!待ってろ!エリィィー!!」

「ちょっ!そっちじゃねえよ!......おーい!ヴァイスさ~ん!?」


「うおおおおおお!!」と雄叫びをあげながら、明後日の方向へと駆けだすヴァイス。

人の言うことをちっとも聞きやしねえ。

あのノラでさえ、あいつを制御するのは無理ではなかろうか。


「......はぁ、あんたらも苦労してるだろ」

ダインの問いかけに、あはは....と苦笑いする二人の聖騎士。


「あんなでも、一応は隊長ですから。実力は折り紙付きですよ?.......まぁ、時に暴走するのが玉に瑕ですが」

もはや慣れっこといった風に、騎馬にまたがり追いかけようとする一人の聖騎士。


「コログ。彼と副長、そしてその仲間をお願いします」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺も連れてってくれないか?......その、俺も探したいんだ。グリムって子を」

今にも飛び立ちそうな騎士に、懇願するダイン。


その騎士は軽く考えた後、ため息をつくと。

「仕方ないですね。......ですが、先に隊長を止めますよ」

「ああ!その後で頼む」


ダインは彼の手を借り、空飛ぶ馬に腰掛ける。

想像していたより乗り心地はいい。鞍は、上質な革でできているようだ。


「コログさん。あの階段の先に、俺の仲間が二人眠ってるんだ。悪いけど助けてやってほしい。」

もう一人の騎士、コログはダインの指さす方向に目をやると、

「ええ、任せて下さい!......重症とのことですから、急ぎますね!」

足早に階段の中へ走り出した。


「僕たちも行きましょうか。......隊長、迷子になってないといいのですが」

お前は子供を心配する母親か、と内心ツッコミつつ、ダインは騎馬の上で風を受けるのだった。

ご愛読ありがとうございます!

しばらくほぼ毎日投稿できそうなので、楽しみに待っててください!

面白かったら星とコメントお願いします!

では、また明日!

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