表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不滅のリーパーキング~死体の山で梯子を作れ。あなたに届く、その日まで~  作者: 柳原ミツキ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/48

グリム・ホッブス④

そこから先は記憶が無いが、気がつくと家に着いていた。

玄関で靴をよたよた脱ぎ捨てていると、リビングから騒がしい声が。


「だから!いい加減働いてほしいって言ったんだ!仕事のミスがなんだ!みんなに謝って、これから挽回すればいいだけじゃないか!」

「このガキが......!社会の浅瀬でちゃぷちゃぷしてるだけのお前が、どうして深海の暗さを知ってるよ!?何も知らねえくせに、いっちょ前に説教してくんじゃねえ!」。


どうやら、兄はもう仕事から帰ってきていたらしい。

足をもつれさせながらリビングへ向かう。


「あっ!また一瓶開けて......!言わせてもらうけど、父さんのせいで迷惑してるんだよ!没落した司教の息子だと、周りのやつらは憐れみと忌避の目を向けてくる!......いや、俺はまだいい。問題なのはグリムだ!」

急に自分の名前を呼ばれ、ドアの前でピタリと止まる。


「父さんだって、気付いてるんだろう?もう日が落ちるっていうのに、まだ帰ってこない。......今日職場で聞いたんだ。グリムが最近学校に来てないってね。......なんでだと思う?」

「さぁ。あいつも、学校でなんかやらかしたんじゃねえか?」


突然ドンッと鈍い音が響き渡り、心臓が飛び出そうになった。

「何他人事みたいに言ってんだ!父さんがそんなだから!きっとグリムはいじめの標的にでもなったんだろう!わかっているのか!?父さんは今、娘の人生をめちゃくちゃにしているんだぞ!?」

「ああ!?......クソッ!どいつもこいつも俺のせい俺のせいと!!もううんざりだ!」


父が一際声を荒げると、しばらく喉を鳴らす音だけが聞こえてきた。

チラリと部屋をのぞくと、兄が椅子に座りながら酒を飲む父と対峙している。

父は酒瓶をラッパ飲みすると、勢いよく机に打ちつけた。


「ゴキュッゴキュ......プハァ!......そうだ?お前が嫌な目で見られてるのも、グリムがいじめられてるのも、全部全部俺のせいだ!俺のせいで俺も、周りのやつらもみんな不幸になっちまう!......だから」

父は兄の目をじっと見つめると。


「だから、俺のいない場所で勝手に生きてくれや」

「......!!くそっ!もういい!母さんを探し出して、グリムと三人で暮らしてやる!!」

「無理だよ」


「!!」

「グリム!?」

私は、気が付くと二人の前に飛び出していた。


「グリム!帰ってきてたのか!!......心配したぞ?もう遅いっていうのに、まだ帰ってきてなかったから。......というか、今何か言ったか?」

お兄が私の身を案じてきたが、私は無視して続けた。


「......今日、お母さんにあったんだ」

「......え?そ、そうか!まだ近くにいたんだな!......さっきまでの話は聞いていただろう?ほら、一緒に母さんのとこへ行こう?そこまで案内して...」

兄がドアの方へ向かい私の手を取るが、それを無情にも振り払う。


「......グリム?」

私は口を開いた。

言わなければ。私が手を振り払った理由を。


母は私たちを見捨たから、一緒に暮らすことはできないと。


「......なぜ、答えないんだい?」

兄が困惑したような顔をしながら、再度手を取ってくる。


……声が、出なかった。

言ってしまえば、信じたくない現実が確定してしまう気がして。

代わりに涙がボロボロこぼれ、嗚咽を漏らす。


「......!どうしたんだグリム!......学校でなにかされたんだな!?俺に言ってみろ!お前にひどいことをしたやつらに、地獄を見せてやる......!!」

手を握る力を強めながら戦慄く兄に、ふるふると首を横に振る。


そんな私の態度に疑問符を浮かべる兄に、なんとか伝わるよう唇を震わせる。

視界がぼやけてうまく見えなかったが、兄の目をちゃんと見て。


「おかあさんね、私のことなんか知らない...って言ってきたの。それでね、おかあさん......知らない男の人と歩いてた。......ねえお兄、処女ってなんなの?隣にいた男の人が、おかあさんは処女だって...」


両目を見開き言葉を失う兄の背後から、父の呆れたような罵声が飛んできた。

「あんなアバズレ、捨てて正解だったな。お前らもその血を引いてること、忘れんじゃねえぞ?」

「お前えええええ!!!」


兄は激昂すると、父のもとへ飛び掛かった。

叫びをあげながら父の胸ぐらをつかみ、思い切り拳を食らわせる。


温厚な兄があそこまでキレている姿を見るのは初めてだった。

父の鼻から赤が飛び散り、よたよたと壁に寄りかかる。


「て、てめぇ......!!もう容赦しねえ!お前は俺の息子でもなんでもねえ!ぶっ殺す!」

「それはこっちのセリフだクソ親父!あんたの暴行に耐えながらも、必死に俺たちを育ててくれた母さんをバカにすんじゃねえ!!」


兄と父の、本気の親子喧嘩が始まった。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

次回でグリムちゃん回は終了です。

大きく話が動く予定ですので、どうか期待して待っていてください!

星を付けてくれると、私のモチベが上がります!よろしくお願いします!

では、また明日!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ