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不滅のリーパーキング~死体の山で梯子を作れ。あなたに届く、その日まで~  作者: 柳原ミツキ
第一章

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デスゲームⅫ 憎悪

「な...ななななんでお前がここにぃ!?確かに、確かに私はお前を殺した!この目で確認したんだ!間違いない!それが、どうして......!?」

両目を見開きわなわなと震えるグリムを横目に、静かにノラの傍へよる。


彼女は口からかすれた息をもらし、ぐったりと椅子に寄りかかっていた。

目の焦点が合っているのかいないのか、いままでに見たことのないほど衰弱していることが見て取れる。


彼女の容体は、一言でいえば重症であった。


顔から視線を下へずらすと、無数の赤黒い痣が飛び込んできた。

身にまとっていた黒い衣服のあちこちが、衝撃によってビリビリに破けている。


その中でも一際痛ましい部位が、机にだらんと伸びている左手であった。

その掌には短剣が突き刺さっており、よほど力を込めてえぐったのだろうか。

鋭い刃で抉られてできた裂傷から、今なお血液が流れ出ており、机から落ちて血だまりを作っている。


「......」

わかってはいた。わかってはいたが......

彼女が負った代償の大きさに言葉を失っていると。


「......ふっ。なんて陰気臭い面をしている。......せっかくの勝利が、台無しではないか」

ボロボロの体で虚勢を張り、口をほころばせるノラ。


「おま、しゃべっても大丈夫なのかよ!?......後のことは俺に任せて、少し休んでろ」

ノラの傍に担いでいたルイを横たわらせ、鞄を下す。

そして鞄の中から鎮痛剤らしきものを取り出し......使い方がわからんな。とりあえず左腕に刺しておくか。


「いつもなら、受け入れ難い申し出だな......。しかし、今回ばかりは...そう、させてもらう......」

言い返す気力も残っていないのか、すんなり申し出を聞き入れ、ドサッと机に倒れこむノラ。


あいつ、死んだわけじゃないよな!?......薬が効いた...のか?

と、若干焦燥感に駆られていると。


「答えてよ...っ!!なんであんた生きてるわけ!?生き返るなんてありえない、あっちゃいけないのよ!そんなこと!」

キッとにらみつけ、うっすら涙を浮かべる少女。


ま、そりゃそうなるよな......

ポリポリと頬を掻きながら、申し訳なさそうに口を開く。


「悪いが俺は特殊体質らしくてな......実質不死身なんだわ。制限付きだけどな」

なっ......!と驚いたまま表情が戻らないグリムに続ける。


「ノラが手に短剣刺してたろ?......お前には何のことかさっぱりだったろうが、あれが鍵なんだぜ?」

意識を失ったノラの手を取り、丁寧に短剣を引き抜く。


「これが血、厳密には魔力を吸うと俺の体が再生する。...剣が魔力を吸う限り、俺は不死身ってわけだ」 

トントン、と指で剣を小突いて、グリムに見せつける。


「......彼の首輪...どうやって取ったの」

顔を曇らせた彼女の先には、すでに首輪がとれており綺麗な寝顔を見せるルイの姿が。


「ああ、あれか。......いや~大変だったぜ?というか、あの首輪を取るためのカギを探すのに、一番時間かけたんだからな?......お前、鍵の置き場所、肝が据わりすぎだろ。まさか...」

「まさか、お兄さんの枕の下とは思わなかった?」


彼女の冷徹とも諦めともとれるトーンの言葉に被せられ、少し緊張が走る。

「......ああ。俺の奇襲を予想してたってことはないだろ?......万一ルイが目覚めたとき、どうするつもりだったんだ?真っ先に見つけられて、外されてたらお前の不利になるだけだったぞ?」


そう、ルイの首輪の隠し場所は、寝かされていた寝台の枕の下だった。

木を隠すなら森の中、というやつだろうか。


「まぁ、なにはともあれ。......人質は取り返した。形勢逆転ってやつだな。お前とボタンの距離はせいぜい5m。一方俺はボタンにすぐ触れられる位置にいる。......この意味が分かるか?」

今なお暗い表情で俯く彼女に、まっすぐ人差し指を指しながら。


「詰み、ってやつだ。うちの仲間を傷つけた代償はでかいぜ?......持ってる情報、全部よこしやがれ」

俺は堂々と、勝利宣言をかましたのだった。


・・・・・・


不敵に笑う黒髪を、満足げに倒れた金髪を、心の底から憎悪する。

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

なんで、あんただけ。


あいつと私、何が違うの?

私だって信じていた。私だって祈っていた。

毎日毎日毎日毎日毎日、頑張って。

……報われないのは、私だけ。


心を押しつぶさんとする負の感情に吐き気がする。


だんだん呼吸が浅くなり、視界が白く染まっていく。

膝が震え始め、耐え切れなくなった両足がぺたんと地面に寄りかかる。


私は意識が遠のいていくのを感じながら、ただ一つ、ただ一つだけ切実に願った。

それは、

「どうか、あの女も地獄に落ちますように......」

あまりにも醜い、呪いの言葉であった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

少しでも先が気になりましたら、☆で応援いただけると励みになります。

次回グリムちゃんの過去が明らかに......!!

どうか、次回もお楽しみに!

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