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不滅のリーパーキング~死体の山で梯子を作れ。あなたに届く、その日まで~  作者: 柳原ミツキ
第一章

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デスゲームⅧ 偽りの勝利

「正解は、『塩』だろ?」

「ピンポーン!正解です。よって第二試合の勝者は被験者チーム」

「「うそ!?」」


今、何と言った?塩、だと?

真横に座る黒髪の青年へ視線を送ると、その青年はこのデスゲームの支配人である少女、グリムへ指を突きつけていた。


「グリム、悪いが勝敗は決したぜ?なぜなら......言わなくてもわかるだろ?見つけちまったのさ、正解へたどり着く道しるべをなぁ!!」


ダインに正解を当てられ、動揺を隠しきれずにいるグリムは。

「ふ、ふーん?カッコよく決めちゃってるとこ悪いんだけど、盛大な勘違いだよ?運よくあたったのがよっぽど嬉しかったみたいだね?......第3試合はもっと厳しい条件にするから。じゃ、少し待っててね」


そう吐き捨て、そうそうに部屋を出ようとするも、ダインに呼び止められる。

「おいおい待てよ。俺の言ってること、伝わんなかったか?......これ以上やる意味ねーから降参しろって言ってんだ。さっさとルイを返して、ヒントを渡しやがれ。このしなしなメスガキが」


ダインの挑発にピタリと足を止め、振り返らずにグリムは問うた。

「......これは警告よ。あんまり舐めた口きかないほうがいい。私がその気になれば、連れてった仲間を即座に殺すことだってできるんだから。その上で質問するよ?......何を根拠にそんな妄言をたれてるの?」


先ほどまでとは打って変わって、冷たく重いグリムの声が部屋に木霊する。

「......ダイン。間違えた私がいうのもなんだが、ここは大人しくしておけ。ルイの身の安全は私たちにかかっている」


ルイの身を案じた私の言葉にフンっと鼻を鳴らし、スタスタ歩き去ろうとするグリムを、またもやダインが止めた。


「だから待てって......ったく。しょうがねえ、そこまで言うなら教えてやるよ。このゲームの必勝法ってやつをな」

「「!?」」


椅子に拘束されたままのダインは、言葉を続けた。

「ノラ、俺たちの予想に足りなかったのは何だと思う?」


ふいに質問され、心臓が跳ねた。

こいつ、いきなり何を言い出すかと思えば。

仲間の命がかかっているのだぞ!?


しかし、さすがのダインもノープランではないだろう。

とりあえず合わせておくか。


ええ~と、確か、正解は時計の時か分を参考にしていると予想していたな。

さらに、参考にするのは交互だと。

しかし、交互ではないことが一問目で判明した。つまり......


「時と分、どちらを参考にするか、その指針が必要だったな。もちろんわかっているさ。しかし......そんなもの、どこに......」

とダインの方を見ると、彼の指は、目の前の画面を指していた。いや、正確には......


「あの少女のイラスト......?」

私の言葉にコクリと頷くと。

「ああ。頭の中で思考を乱してくるこいつが、実は正解への糸口だったってわけだ。見てみろよ、こいつの口にあててる手」


言われるがままに視線を移すと。

「手......右手だな]

右手になにか仕掛けが.......いや、手というより、右が重要?

……まさか。


あることに気づき、バッとダインの方をみると、満足そうに頷いていた。

「気づいたみたいだな。口にあてた手が右か左か。それが時か分、どっちを参考にすればいいかを表してたんだよ」


......確かに、先ほどの時刻は16:40。右手を口に当てていたから参考にするのは40。

40だから塩、という結論に至ったわけか。

「なるほど......しかし、もし違っていたらどうするつもりだったのだ?ダインの残り解答権は一個だったし、間違えれば勝利は絶望的だったぞ?」


そんな私の問いに、ダインはグリムの方へ顎をしゃくると。

「正直分の悪い賭けじゃなかったぜ?明らかに、俺が『右手』って呟いたときのあいつの反応がおかしかったからな。......おかげで確信が持てたぜー!ありがとなーグリム!」


爽やかに手を振り、煽り散らかすダインに少し呆れる。

同時に、何もできやしないと決めつけていた、この男に助けられたという事実に強い苛立ちも感じていた。


自分一人で生きていく、すべて一人で解決していくと。

そう決めて生きていたが、なんという屈辱だろう。


「......礼はいわんぞ」

「急にご機嫌斜めだな!?お前の周り地雷原かよ!?」


ダインがなにか言っているが、そんなことよりも注意すべき人物が。

視線の先では、煽られたグリムがゆっくりと振り返り、こちらへ歩いてきていた。

俯いていたので表情は読み取れないが、放つ威圧感が増している。


「おっかねえなぁ、おい。で、でも、いくら威圧したって無駄だぜ?もう種は割れてんだ。お前の勝ちはもうねーよ」

ダインが少しビビりながらも、勝ち誇った顔で言い放つ。

確かに、もうこちらの勝ちは決まっているように思える。


……しかし、妙な胸騒ぎがするのはなぜだろう。

私の勘、特に悪いものを察知する勘は、なぜか当たってしまうことが多いのだ。


勘違いで合ってくれと固唾をのみこんでいると、グリムが顔を上げた。


それは、今まで感じたどの冷徹なものだった。

こんな顔に見覚えがある。

任務で何度も出会い、そして殺してきた。


......人を殺すと、決めたやつの顔だ。

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