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不滅のリーパーキング~死体の山で梯子を作れ。あなたに届く、その日まで~  作者: 柳原ミツキ
第一章

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デスゲームⅢ

「くくく、カモがネギ背負ってやってきた♡」

ノコノコとやってきた三人組を見て、少女は内心ほくそ笑んでいた。

ここ最近ちっとも挑戦者がいなかったので、退屈していたのだ。


「どれどれ~?今回はどんなカモが引っかかったかな......っと」

部屋の奥の小さなモニタールームから、三人をじろじろと観察する。


「うわ~、育ちの悪そうな平民ね......こいつは大したことなさそう」

そう思い、まず最初に目に入った青年ダインから視線を外す。


「隣の男は......なんか貴族っぽい感じがするわね。ちょっと注意が必要かな」

もし上流階級の人間なら、頭がきれる可能性が高い。警戒しとくに越したことはないだろう。

要注意人物としてルイを頭の片隅にとどめ、次は隣の女へ。


「......この女、聖騎士?自我強そ~。......私にはわかるわ。この女、遊びに誘われても趣味を優先して断るタイプね......なんかムカつく」

と自分の中で勝手に妄想し、エレオノーラに対して苦手意識を持つ。


「まぁ勝てるでしょ!......ていうか、勝つ以外の選択肢ないんだけどね」

自身の置かれた現状にため息をつきつつ、自分を叱咤激励する。

「今回勝ったらようやくチャラよ!.......ようやく、普通の生活ができる」


そう溢すと、グリムは自身の両頬をパチンと叩き、気合を入れる。

「さ、ゲームを始めよっか♡」


・・・・・・


時は現在。2勝0敗のグリムはすっかり上機嫌で、足をパタパタさせていた。

(こ~れは勝ったでしょ。厄介そうなルイは吊れたし、残された二人は崩壊寸前。正直、こっから負けるほうが難しいわ♡)


勝ちを確信し、喧嘩する二人を肴に妄想を膨らます。

(あ~これが終わったら何しよ♡まず巨額の報酬でショッピングでしょ?それから美容院行ってマッサージしてもらって、それから......)


と幸せな夢に浸っていると、温度のない機械音が響き渡った。

「問題です。」


(はーい終わり終わり♡お疲れさん♡この勝負、私の勝~ち♡……恨むなら、私じゃなくて愚かな自分を恨んでね~♡)

欠伸をもらし、のんびりと構える。


「デデン!『大地を濡らす曇天、又草木を焦がす炎天が汝を襲い...」

ピンポーン、と軽快な効果音が響き渡った。

「16条」

「「......は?」」


今、何が起きた?

ダインとともに間抜けな声が漏れ出る。


「正解です。よって第一試合、勝者は被験者チーム。」

「ちょっっ!!おかしいでしょ!なんでそんな」

空いた口が塞がらず、信じられないものを見る目で回答した人物を見やる。


ボタンから手を放し、したり顔でこちらを見つめてくるのは......エレオノーラだ。

「ふん、フレイヤ教典第16条だ。私が知らぬはずがなかろう?......どうやら、頭が悪いのは貴様の方だったようだな、グリム?」


勝ち誇るエレオノーラに指を刺され、反射的に背を向ける。

(ぐっ、この女......!!......お、落ち着きなさい。冷静になるの、グリム・ホッブス。まだ、一試合落としただけ。あと二試合あるわ。......まだ、慌てる時間じゃない)

血がにじむほどに唇を噛みしめながら、なんとか怒りを鎮める。


「ふ、ふーん。少しはやるみたいね。約束通り、チョーカーは外してあげる。......ベルトの拘束も解いてあげるから、第二試合が始まるまで好きにしてて」

懐からカギを取り出し、二人のチョーカーに差し込む。


二人のチョーカーとベルトを外し、奥の部屋へ戻ろうと体を向けると、背後から耳障りな声が聞こえてきた。


「お、なんだなんだ?急に元気がなくなったなぁ、グリムちゃんよぉ。もしかして、涙が浮かんでこっちを向けないとか、そんなこと言わないよなぁ!?」

首を絞める圧力から解放されたせいか、威勢よく挑発してくるダイン。


(この口だけ男が......!!何も役になってないザコのくせに......!!)

どう調理してやろうかと怒りの炎を燃やしていると、味方であるはずのエレオノーラが言葉の刃をダインへ向けた。


「おい貴様、私の手柄だということを忘れるなよ?......まったく、何が俺が法則を見つけるまで答えるな.....だ。危うく死ぬところだったな?わ・た・し・の!おかげで助かったな?」

「ちょっお前!たまたま得意分野が出たからって調子乗んなよ!?とりあえず助かったけど、まだピンチってこと、忘れてねえだろうな!?」 

「あ~負け犬の遠吠えが気持ちいな。ほれ、もっと吠えてみろ、ワンワン、ワンワン!」

「この野郎!!ぶっ殺してやる!!」

「やってみろ阿呆!!貴様など、神に頼らずともこの手で葬ってくれるわ!!」


ぎゃあぎゃあと取っ組み合いの喧嘩を始め、すっかり置いてけぼりにされてしまった。

(なんか、私がいなくても勝手に潰れてくれそうね?......なんかアホらしくなってきた)


数秒前の怒りはすっかり冷めてしまい、奥の部屋へと足を運ぶ。

「......まぁいいわ。このからくりが解けない限り、私の勝ちは揺るがないんだから」

モニターに映る、いまだ喧嘩を続ける二人を見やり上の階へ足を運ぶ。


そこにはチョーカーをつけ、電流でボロボロになったルイが横たわっていた。

「あ~あ。死んだ魚みたいになっちゃって。......イケメンが台無しじゃん」

そういってルイを抱きかかえ、寝台へ寝かせる。

「ゆっくりしててよ。......もうじき、残りの二人もやってくるからさ」


そういって寝室を後にする。

別に特別な思い入れがあるとか、そんなことはない。ただ......

「お兄にちょっと似てるのは、卑怯じゃん」

今亡き兄へ思いをはせ、モニタールームへ向かうのであった。

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