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不滅のリーパーキング~死体の山で梯子を作れ。あなたに届く、その日まで~  作者: 柳原ミツキ
第一章

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メスガキ少女、グリムちゃん

ダイン達は晴天の青空の下、迫りくる魔物から全力で逃走していた。

「貴様...!!フレイヤ様を愚弄したな!?......おい、この手を放せ!魔物の前に貴様を葬ってくれる!」

「うるせえ頭ダイヤモンド聖騎士!てめえが下らねえポリシー掲げてるせいで壊滅寸前ってこと、忘れんな!!」

「言い争ってる場合ですか!このままだと追いつかれます!なんとかしないと......あっ」


ぎゃあぎゃあ争う二人を尻目に周囲を観察していたルイは、あるものを見つけた。

「ダイン君、見てください!あれ、僕が言っていた骸骨の建物です!」


エレオノーラの髪の毛を引っ張りながら目を配らせると、数十メートル先に気味の悪い建造物を視認した。

多数の人骨が固められたような角ばった建造物。そして、それにはかまくらのように入り口が一つ存在している。


「......!よし、あそこに逃げ込むぞ!...って痛、痛いって!お前、脛を蹴るのは反則だろ!?」

「ふん、あれが貴様らの言っていた目的地とやらか。いいだろう、あの魔物をこの手で葬り去ってやりたかったが、祈りはもう使えんしな」


不機嫌に鼻を鳴らし、ダインの脛を蹴るエレオノーラ。

こいつ、まじで覚えてろよ......!!

意外な脚力から放たれる蹴りに涙を浮かべ、全力で入口へ走るダイン。


魔物の足音がすぐそばまで迫ってきている。

息を荒げながら必死で走るも、距離は縮まるばかりだ。

「くそっ、このままだと...ひっ!!」


「グオオオオオ!!」

雄叫びとともに魔物が爪を振り、ダインの服を掠める。

布の裂ける嫌な音が耳元で弾け、背中に冷たいものが走った。


次の攻撃は避けられない。そう感じた刹那、横からエレオノーラがダインの背を思いっきり蹴り飛ばした。


「なっーーーぶっ!?」

「こっちの方が早いだろう!!フレイヤ様の慈悲に感謝するんだな!!」


容赦ない衝撃に体が前方へと吹き飛ばされる。

背後では、ダインのいた付近に魔物の深い爪痕が残されていた。


ダインは勢いのまま入口へと体を滑らせ、窮地を脱する。

遅れて、ルイの首根っこを掴んだエレオノーラが入り込んできた。


「おい、ぼーっとするな!さっさと階段を下りるぞ」

エレオノーラが顎をしゃくった先を見ると、地下へつながる階段が目に入ってきた。

明かりはなく、ただ暗闇のみがダイン達を待ち構えている。


「ゴアアアアア!!」

魔物は怒号を室内に反響させ、入り口を鋭利な爪で斬りつける。

カラカラと骨の破片が周囲に飛び散り、建物全体が大きく揺れる。


「迷ってる暇はねえようだな」

「先頭は僕が行きます。ダイン君は、その後を付いてきてください」

ルイに導かれ、ダインは壁に手を添えながらゆっくりと階段を下りて行った。


そんな様子を見たエレオノーラは、

「なさけない男だな......もじもじしてないで、さっさと降りろ!」

「ちょっ、お前!押すなって......っておわああああ!!」

「ちょっ、ダインく....わあああああああああ!!」


エレオノーラに背を押され、バランスを崩したダインの体が前方へ倒れる。

ドミノのようにダインに押されたルイもバランスを失い、二人そろって階段を転げ落ちていく。


角ばった階段に体を打たれながら転がり続けると、硬い地面へ放り出された。

「ぐっ!!......痛てて....!!」

「うう.......だ、大丈夫ですか、ダイン君...」

「あ、ああ。......おいエレオノーラ!何しやがんだ!」


コツコツ、という音を響かせ、階段から優雅に下りてくるエレオノーラ。

「あまりに遅かったものだから、ついな。......すまない、私はせっかちなんだ」

「......ったく 。お前、もう少し協調性をだな」

「そうですよ、僕たちはパーティなんですから。......というか、ダイン君に怪我をさせるとは、いい度胸ですね??」


エレオノーラに不平不満をこぼし、ルイが危ない目つきで睨んでいると、突然暗闇に明かりが灯った。

急に視界が明るくなり、眩しさから目を細める。

「気を付けろ!!敵襲かもしんねえ!って.....え?」

警戒するダインから気の抜けた声が漏れた。


三人の視線の先には、複数の机と椅子が置かれている。

それぞれの机には赤いボタンが置かれていて、壁には大きなモニターが張られていた。

モニターには、デカデカと「問題です♡」と、表示されている。


「うそ、だろ?」

「これって、あれですよね」

「......はぁ。ここの開発者はバカなのか?」


ダインの気の抜けた声が、小さな空間に木霊した。

「クイズ番組じゃねえか」


・・・・・・


とりあえず、席へ座る三人。

すると前方に備えられたモニターの画面が移り変わり、部屋の扉から一人の少女が出てきた。


「ようこそ!グリムちゃんの~ボーンテッドダンジョンへ!」

そういって皆の前に躍り出る黒髪の少女。

紫紺の瞳を輝かせ、ツインテールがぴょこぴょこと跳ねる。


「みんなにはクイズに答えてもらいまーす!私が先に答えたら、みんなの首が閉まっちゃう!」

そう言うと、天井からアームが出現し、あっという間に三人の首にチョーカーが付けられた。

椅子からはベルトが出現し、体を拘束してくる。


「え、ちょっ.......!!お前、急に何つけやがった!」

ダインが問うと、いたずらな笑みを浮かべるグリム。

「おにーさん達の首には~特製チョーカーを付けちゃいました!さっきも言った通り、私に先を越されちゃうと首が閉まっちゃうの!」


グリムは軽快なステップでダインの前に立ち、チョーカーをツンツンと指でつついた。

「ワンちゃんみたいで似合ってるよ~お・に・い・さ・ん?♡……あっ、ちなみに三回間違えたらチョーカーが完全に閉まって死んじゃうから。せいぜい頑張ってね~♡」


「ちょ、ちょっと待ってください!僕たち、まだ参加するとは......ぐっ!」

ルイが抗議しようとすると、グリムが指をパチンと鳴らした。

すると、三人の椅子からベルトが飛び出て、拘束する。


「あ~だめだめ。イケメンなお兄さん♡ここに入ってきた時点で、参加は確定。脱出する手段は、私にクイズで勝つしかないんだよ~?」

勝ち誇った顔でルイに近づき、鼻をデコピンするグリム。


「......おい、小娘。お前は何者だ。まさか博士の助手、などとは言わないだろうな?」

エレオノーラがグリムを睨みつけると、むむむ~?と凝視し、ぷふっと噴き出した。


「ちょ、ちょっと待って~!笑笑。被験者さんたちは~素敵な『おにいさん』しかいないって聞いてたのに........プークスクス!お、おばさんが混じってるんだけど~!!アハハハハ!!」

「貴様ぁ!!殺す!絶対殺す!!......くっ!!くそっ!!このベルト、なかなかの強度を...!!」


グリムの挑発に青筋を立て、ベルトを外そうとじたばたするエレオノーラ。

グリムはそんな彼女の前に立つと、エレオノーラの豊満な胸をビシバシ叩いた。


「ねぇねぇ!このッ!大きくて邪魔くさい『脂肪』!!どうした...ッの!......おばさん、体脂肪率いくら?ねえいくらなのか教えてよぉ!お・で・ぶ・さ・ん!♡」

「くっ......貴様ぁ!!ぶっ殺......!!」


グリムの辱めに顔を歪ませ屈辱に耐えていたエレオノーラだったが、急に不敵な笑みを浮かべた。

「......!!ふふ、なんだ。貴様、胸がコンプレックスなのか?可哀そうに......いや、いっそ羨ましいともいえる。『貧乳』の貴様は感じたことがないだろう?......男の獣のようないやらしい視線をな!!そうだろう?ダイン!」

「急に俺に振るなよ!!......だがまあ、胸は大きいに越したことはない!!」


ダインの性癖開示とともに、グリムへ反撃の一手を刺すエレオノーラ。

グリムは頬を赤らめこちらを睨みつけると、懐からボタンを取り出した。

「......!!ふーんだ。おばさんの負け惜しみとか、ちっとも効かないんだけど。けどま、今の状況わかってないみたいだし、『わからせ』てあげる」


そう言ってグリムがボタンを押した瞬間、三人に強力な電流が走った。

「ぐああああああああああ!!!!」

全身が硬直し、強烈な痛みから意識が一瞬飛びかける。

鼓動が早くなり、どくんどくんと、全身が脈打つのを感じる。


「どお?今の状況、わかった?あなたたちは私より、下の立場なの。......そのすっかすかの脳みそに行っても分かんないだろうから、『痛み』で覚えさせるね?♡」


目の前がチカチカする。体はしびれ、思うように動かない。

......くそっ、生意気なメスガキの声が脳内で響いて煩わしい。


いまだ痛む体をなんとかずらし、ほかの二人を視界に収める。

二人ともぐったりしているが、どうやら意識はあるようだ。


「......おい、お前ら。無事か......?」

「え、ええ。なんとか......」

「......くっ。生意気な小娘め......後で後悔させてやる......」


ボロボロになった三人を横目に、上機嫌で席に着くグリム。

「さ、始めよっか」といって、グリムもチョーカーとベルトを締める。

「ルール説明、はじめまーす♡」


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