表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力する彼女と努力をやめた僕  作者: 成浅 シナ
2年生編
PR
68/87

59 対策会議

「んーーー......」


昼休み。

祈の名を伏せて事情を説明し『どうしても生徒会長になりたくない知り合いを会長にさせない方法』について聞くと直樹はそう唸った。



ついでに当たり前のように同席していた矢野はというと


「あ、うまっ。当たりだわこれ」


と購買で買ってきた新作パンを頬張っていた。


話聞いてたのに完全他人事だわこれ。

もしかしたら矢野も協力してくれるのかなって少し期待してたのに。



「この時期にやる気があるやつは立候補してこないだろうしな」


直樹も僕と同じ考えに至ったらしい。

何か思案しているらしく宙を向いたり水筒のお茶を飲んだりしながら頭を悩ませている。


ほんとすまん...

関係ないのに巻き込んで。


「どうしてもその『知り合い』とやらはやりたくないって言ってるんだよな?」


「ああ。元々断れない性格ってのもあるんだが、生徒会長本人に頼まれてますます断りずらいっていうか」


「でも生徒会長に言われるってその人相当凄いだろ。やってみたら結構ハマれるんじゃね?」


「だめなんだよ!それじゃ」


つい強めにそう言ってしまい慌てて謝る。


「わ、悪い」


「お、おう...」


ほら、直樹も戸惑ってるじゃないか。


「これ以上見てられないんだ。その人は...やれば出来るって出来ないことまで引き受けて限界超えて潰れることがよくあるから」


これまでの事を思い出しながらそう伝えると直樹は「なるほどなぁ」と腕を組む。




「んで、『その人』っていうのは押川の好きな人なん?」


そこで今まで我関せずの態度だった矢野が口を挟む。


「なっ...!?」


完全に不意をつかれ言葉にならない声が漏れた。


目の前に座る直樹は『あちゃー』とでも言いたげな顔で矢野を見る。


「矢野ぉ...それは言ってやるなよ」


んんっ!?


「いやだって押川分かりやすすぎー。話とか押川の言い草聞いてりゃ女だってすぐ分かるしだいたいあの生徒会長様にそこまで推される奴だろ?そこまで選択肢狭まりゃもう誰かまで俺予想出来てんだけど」


「はいストップ。その先は言うなよ」


その先まで言いそうな雰囲気の矢野を直樹で手で制する。


「んだよ〜。黒木(くろき)も気になってんだろ?それかもう知ってんのか」


「俺も誰かは聞いてない。でも本人望んでないのに周りが突き止めんのはマナー違反だって」


もうやめて!!

本人目の前にして心のなか丸裸にしようとしないで!


っていうか直樹には前に好きな人いるのは気づかれてるし相手も予測してそうな気配はしてたけど!それで気遣ってくれるのは超超超嬉しいけど!!




「ほら、透もうノックアウト寸前じゃん」


状況説明しなくていい!!


「そ、そのうち...話すからもう許してぇ」


情けない声を上げながらそう懇願すると矢野がケラケラ笑う。


「はいはいっと。そんな初恋中の乙女みたいな反応されちゃぁもう深く突っ込まねぇって。黒木も怖ぇ顔すんな」


矢野はパックのジュースのストローを咥え


「で、どうすんの?とりあえず知り合いには当たってみるけどよ、多分無駄足だぞ?」


「部活やってる連中はただでさえ練習時間短いしな。うち進学校だし勉強、部活、生徒会って厳しいだろうな」


矢野の言葉に直樹がそう付け加える。


「あ、そうだ。会長以外の立候補者ってどうなってるんだ?」


「え...あー、そういえば知らないな...そもそも誰が立候補したかなんてまだ分からないだろ。選挙活動前だし」


僕の言葉に矢野が何気なく


「もし他の役職に希望者が多ければ溢れた奴が他の役職に回ったりしねぇの?」



あ...



「それあるかもな。他の役職でも生徒会に入ろうって意思があるなら」


前のめりになって言う直樹の手を僕は両手で包んだ。


「それだ」


「いや、始めにそれ言ったの俺、俺」


矢野が口を挟むが一旦無視する。


突然手を握ったのに直樹は無反応だ。

このくらいのスキンシップは去年からあったから気にもならない。男子同士のノリって奴だ。


「とりあえず隣のクラスに今生徒会入ってる奴がいるからその辺どうなのか聞いて見るよ」


「頼んだ!直樹!」


「でもさぁ」


ようやく先が見えてきたって時に矢野が気だるげに机に頬杖をついて口を挟む。


「去年がそうでも今年は違うってことあるんじゃね?なんか新しい試みをって今年から色々やってるみたいだし」


「あー、それあるな。じゃあ手っ取り早く生徒会長に聞く方がいいか...」


2人の視線が一斉に僕に向けられた。


言わんとしていることは分かるし直接問題を解決しなきゃ行けないのは僕自身だ。


さすがにここまで相談に乗ってもらって「じゃあお願いします」なんて言えるほど肝っ玉が座ってない。



「分かった。放課後にでも行ってみるよ」


「お、1人で行けるか〜。付いてってやろうか」


矢野がそう言って来るが心配でそう言ってるのか、茶化してるだけなのか...


絶対これ後者だ。



「おい矢野」


そこで直樹の助けが入る。


「ここは見守ってやろうぜ。生徒会長だって別に食って掛かろうとして来るわけじゃない。透でも1人でちゃんと出来るさ。心配なら一緒に後ろから隠れて見守ってさ...」



「はじめてのおつかいか!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ