表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力する彼女と努力をやめた僕  作者: 成浅 シナ
2年生編
PR
67/87

58 思案

その日のの天気はあいにくの曇天模様だった。


「うげっ、降ってきた」


あと10分程自転車を漕げば学校に着くというタイミングでポツリポツリと雨が降り出す。

しかも次第に雨足は強くなってきていた。


これは学校に着く頃にはずぶ濡れになりそうだ。


自転車のギアを1番上まで上げて全速力で漕いでいく。

途中まだ開店前の店の軒先に自転車を止めて慌ててレインコートを羽織る生徒の姿も見えた。


確かこの時間の降水確率は40%と微妙な数字で、降ってすぐ止んでしまう可能性だって十分ある。


それならここでレインコートを羽織るのも面倒臭く感じた。


幸い籠に突っ込んだ鞄は雨よけのためにビニール袋を被せてあるし教科書が濡れる心配もない。




そんなことよりも今は―――



『任せとけ』




そう彼女に僕は伝えた。


それも初めて会ったときのように『助けてあげないと』という恩着せがましい気持ちじゃなく『助けたい』という本心からの素直な気持ちで。



だけど頭の中はぐちゃぐちゃだ。


大見得切っていながら一晩明けても具体的な対策案が見つかっていない。


立候補者の締切は来週の月曜日。

休日を合わせても1週間切っている。



やはり現実的な方法は他の立候補者を立てること、か。


だが1ヶ月以上前に募集がかけられているにも関わらずこの時期まで名乗り出ないなら今さらやる気がある生徒を見つけることは困難を極めるだろう。


しかも役職が生徒会長。

その役職名を聞くだけで面倒臭そう、仕事が大変そうだというイメージが大きい。

その上現在会長を勤めているのが『あの』八戸(やと)咲華(えみか)だ。


僕でも名前を知っているほどの超有名人。

その後任になるのだから荷が重いのは明確。


カリスマ性はなくてもせめて真面目に仕事をしてくれる人を擁立しなければならない。


真面目で、人気者、責任感があって―――



頭に浮かんだのは2人の顔。


那須祈と永田詠子だ。




そりゃ会長に推薦される。

僕だって生徒会長に相応しい人と言われれば真っ先に思いつく。


だが、当然祈は論外。詠子だって注目を嫌うため頼めない。


だったら運動部...か?


総じて運動部は積極的な奴が多いイメージだ。僕の中では。


クラスで目立つのも運動部の連中ばかりだし。


でも部活が忙しいって断られるだろうなー...

それに僕が頼むと「じゃあお前やれよ」って言われそう。



限界があるな。


自分で言うのもなんだが僕は人望がなさすぎる。


とにかく目立たず面倒臭いことにはそもそも関わらないようにと今日までやってきたツケが回ってきている気がする。



自分から問題に首を突っ込んでおいて他を巻き込むのは心苦しいが...



駐輪場に自転車を止めてタオルで髪をゴシゴシ拭きながら教室棟3階の2年生フロアを眺める。


ここからじゃ何も見えないしまだ登校していない可能性もあるが同じフロアを使う『友人』に向けて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ