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ある転生王の一代記  作者: アレグリア
第4章 二つの継承

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第47話

~アマーリエside~


父が死んだ翌朝、私はまだヴィーネンの皇帝宮廷にいた。


ヴィーネンはヴァルデンハイムの都ではない。皇帝宮廷と帝国の中央官庁、法廷が置かれた帝国の首都だ。父の死で帝冠は空いたけれど、それらまで止まるわけではなく、新しい皇帝が決まるまでの日常行政は既存の代理制度がつなぐ。


私は皇帝位を継いだわけではない。


それでも父の死後の宮廷処理と、ヴァルデンハイム側の政務がある。すぐ本領へ戻るわけにもいかなかった。


最初に困ったのは、報告が終わっても誰も帰ろうとしなかったことだった。


「以上が、昨日までに確認できている範囲です」


机の向こうで役人が頭を下げる。私は返事をして、手元の紙へ目を落とした。


皇帝宮廷内の警備。昨夜のうちに主要な信号路へ流した父の崩御と警戒の短い速報。その後を追って各地へ出した正式な使者。各地から届き始めた弔意。止めてはいけない支払いと、日程を動かしても問題のない行事。どれも説明は終わっているのに、部屋は静かなままだった。


顔を上げると、役人たちは立ったまま私を見ていた。


昨日までなら、ここで父が何か言ったはずだった。追加の確認をするか、担当へ戻すか、その場で決めるか。私が横にいれば、父がどう聞くのかを見ていればよかった。


今日は誰も父を見ない。


見られる場所にいないのだから当たり前なのに、そのことを今になって分かったような気がした。


「地方への通知は、予定通り出してください」


声にすると、全員がわずかに姿勢を変えた。


「宮廷の警備は今どうしていますか?」


「宮廷内は増員しております。城門と政務区画についても、通常より確認を厳しくしております」


「こちらの護衛を、市中へ増やしてはいませんね?」


「はい。帝国側の巡回は通常どおりです。こちらは宮廷と滞在先の警備に限っております」


「では、そのままで。ヴィーネンに何か起きているように見せたくありません。宮廷内の警備だけでは足りない理由が出た時に、改めて報告を」


「承知いたしました」


書記が書き留める。私は次の紙を見た。


「この支払いは昨日の日付ですね。止めたのですか?」


「陛下の崩御後、一度確認を待つべきではないかとの意見が出まして」


「契約そのものは父が亡くなったことで消えません。期限が来ているなら払ってください」


「はい」


今度こそ、役人たちは頭を下げて退出した。


扉が閉まってから、息を吐いた。さっきの判断が正しいのかどうか、父ならもう一つ何か聞いたのかもしれない。でも、それを確かめる相手はいない。


机の端には、次の面会予定が置かれていた。待ってくれる人たちばかりではなかった。




午前の終わりに会った男は、最初に長い弔意を述べた。


父がいかに長く諸領邦の均衡を守ってきたか。突然の死をどれほど惜しんでいるか。自家の当主も深い悲しみの中にあること。言葉に嘘があるようには見えなかった。父と長く付き合ってきた家なのだから、本当にそう思っているのだろう。


「そして我が家は、殿下による継承を支持いたします」


その言葉を聞いた時、肩から少し力が抜けた。


男は続けた。


「ただし、新たな統治の始まりにあたり、先代陛下の御代まで認められてきた我々の権利について、改めて確認を賜りたく存じます」


安心するには、少しだけ早かった。


男の隣に控えていた書記が、別の文書を差し出した。地方で臨時の負担を課す場合の協議。身分会を通してきた課税。地方裁判の扱い。代々認められてきた役職上の権限。新しい要求ばかりではなく、文書に並んでいる項目の多くには見覚えがある。


「これは、これまで認められていた内容の確認ですか。それとも、今回新しく認めるよう求めているものも含まれていますか?」


男はすぐには答えず、一度、自分の書記へ目を向けた。


「大半は従来の権利の確認でございます」


大半。


「では、残りは?」


「先代陛下の御代に、戦時負担について何度か特例がございました。新たな御代では、その扱いを従前の慣行へ戻していただけないかと考えております」


「特例をすべて無かったことにする、という意味ですか?」


「そこまで一括して申し上げるつもりではございません。どの扱いを戻すべきか、個々の事情を改めて協議いただきたいというお願いです」


父が生きている時なら、彼らはここまで一度に出しただろうか。たぶん、いずれは出した。今だから出したというだけだ。


「これまで正式に認められていた権利は、私が継承したという理由だけで取り上げません」


男の表情が少し緩んだ。


「ありがとうございます」


「ただ、先代の時代に変更されたものまで、今ここで一括して元へ戻すとは約束できません。どの特例を、なぜ見直したいのか。項目ごとに出してください」


男は一瞬だけ口を閉じた後、ゆっくり頭を下げた。


「承知いたしました。それで結構でございます」


私は文書を手元へ引き寄せた。


「もう一つ確認します。その協議で私と意見が一致しなかった場合、先ほどの支持も取り消すという意味ですか?」


男は今度は書記を見なかった。


「いいえ。我々は殿下の継承を支持いたします。その上で、新たな御代に何が維持されるのかを確認したいのです。すべて望み通りにならなければ従わない、という申し立てではございません」


「分かりました。では、見直しを求める項目を出してください」


書記へ文書を回すと、次の報告が入った。


別の領域の身分会から、正式な忠誠宣誓をまだ行えないという連絡だった。


報告に来た役人は、私が文面を読み終えるのを待ってから説明した。


「先方は継承を拒否しているわけではございません。現地法に従い、身分会の正式な承認手続を経るまでは、新君主への宣誓を行えないとの回答です。通常行政は継続しており、徴収済みの税の送付、治安維持、裁判、街道管理も止まっておりません。守備隊も従前の任務を続けています。ただし、新たな臨時動員が必要となる場合は、承認後に扱いを確認したいとのことです」


紙だけなら、忠誠を保留されたと読める。けれど、現地では役人も兵も昨日までと同じ仕事を続けている。


「承認手続には、どのくらい掛かる見込みですか?」


「招集そのものは始まっております。ただ、各身分の代表が集まるまでの日数は確定しておりません」


「通常行政はそのまま続けるよう伝えてください。こちらから手続を飛ばせとは言いません。ただ、いつ招集し、どこまで進んだかは知らせてもらいます」


「承知いたしました」


役人が下がると、次の面会を知らせる声がした。




ケルンブルク家の使者が来たのは、その日の午後だった。


封を見た時点で、何の話かはだいたい想像できた。父が生きている間、何度か名前だけは聞いたことがある。


ディートリヒ・フォン・ケルンブルク。


ヴァルデンハイム王朝から分かれた男系傍系の人物で、父が進めてきた私の継承について、公然と反対したことはない。ただし、自分が持つ権利を放棄する文書にも署名しなかった。


使者は父への弔意を述べた後、持参した文書を両手で差し出した。


「ディートリヒ・フォン・ケルンブルク殿より、アイヒェンベルク伯領の継承について、正式な審理を願い出るものでございます。請求は同伯領に限られ、ヴァルデンハイムの他領における殿下の継承を争う申し立てではございません」


私は文書を受け取った。予想していたより短い。


使者は続ける。


「アイヒェンベルクには古い継承上の規定があり、本家の男子が絶えた場合、男系傍系の権利を審理すべきだというのがケルンブルク家の主張です。古い授封状、家門文書、過去の継承記録を保全し、審理が終わる前に帰属を最終確定しないようお願い申し上げます」


「審理が終わるまで、アイヒェンベルクをディートリヒ殿の管理下へ置くよう求めていますか?」


「いいえ。現時点では求めておりません。現在の行政を維持したまま、審理前に新たな恒久処分を行わないことを願っております」


少し意外だった。もっと強く出てくる可能性も考えていた。


私は使者の顔を見た。もちろん、顔を見ただけで何が分かるわけでもない。それでも、今ここで彼が求めているのは兵でも鍵でもなく、審理だった。


「分かりました。関係文書は保全させます。請求を審理することも拒みません」


使者が深く頭を下げる。


「ただし、審理が終わる前に、こちらがアイヒェンベルクをディートリヒ殿へ引き渡すこともありません。現在の行政は維持します」


「承知いたしました。それが殿下のお答えであると伝えます」


「お願いします」


使者はそれ以上求めず、文書を残して退出した。


父の机で何度も見た家の名前だった。父がいた時は、まだ決着していない話の一つだった。それが今は私の机の上にある。


「次の予定は?」


書記に聞くと、少し間があった。


「東方国境からの報告が届いております。軍務と外交の担当者が待機しています」


私は文書を閉じた。


「入ってもらってください」




大河の向こうに兵が集まり始めている。


最初の警戒は、昨夜のうちに東方の信号所から光の中継で届いていた。軍務側は、それ以前から届いていた現地報告に、今朝までの短い定型速報を重ねて状況を見ている。


軍務担当者はそう報告し、机の上に広げられた地図でいくつかの地点を示した。


「通常の国境守備だけでは説明しにくい数です。部隊だけでなく、馬と荷車の移動も増えています。食料の集積も確認されています。ただし、舟艇や渡河用資材の大規模な集積までは確認できておりません。既存の渡河地点周辺では動きが増えていますが、訓練や警戒強化でも説明できる範囲が残っています」


「今の情報だけで、渡河準備と判断できますか?」


「いいえ。現時点では、そこまでは申し上げられません」


大河は地図の上では一本の線だった。実際には幅も流れも場所で違う。渡りやすい場所もあれば、そうでない場所もある。


「今後の報告を揃えてください。確認できた兵の増減、馬、食料、荷車。こちら側の要塞の状態と備蓄。主要な渡河地点と、そこへ通じる道路。それぞれ別の報告で来ると比べにくいので、同じ項目で見たいです。数字が分からないものは、分からないと書いてください。推定なら推定と分かるように」


軍務担当者がうなずいた。


「国境各所からの報告様式を揃えます」


そのまま担当者は、現在の警戒態勢について説明を続けた。


「主要地点の監視は現状でも可能です。予備を前へ出せば反応は速くなりますが、その移動は対岸からも見えます。こちらが増援した事実そのものを、向こうが次の行動の理由に使う可能性はございます」


「では、今は監視を厚くしてください。大きな移動は、次の報告を見てから判断します」


「承知いたしました」


担当者が下がった後も、地図は机に残った。


父が死んでから、まだほとんど時間が経っていない。国内の人たちと話しているだけでも終わらないのに、川の向こうまで待ってはくれないらしい。




翌朝、外交担当者が別の文書を持ってきた。


「ヴィーネンに常駐しているヴェリスラヴ使節団から、正式な申し入れが提出されました」


内容は、大河を利用する商船の通航条件、一部の河川関税の引き下げ、以前から双方が自分の側だと主張している中洲と河岸についての協議、それから国境沿いの軍事施設を今後拡張する場合の制限だった。


期限を切った最後通牒ではない。


「ヴェリスラヴ本国から指示にしては速くないでしょうか?」


「おそらく、老齢だったということを踏まえて、皇帝崩御に備えて、事前に指示があったのだと思われます。」


「したたかなことですね。では、ここで条件を変えた場合はどうなるのでしょうか?」


「与えられた権限の範囲を越えるものは、おそらく本国へ照会することになると思われます」


すぐ返事が戻るわけではない。


兵を見せながら、以前からある問題で条件を取りに来た。


外交担当者が続ける。


「先方は、通航、関税、中洲と河岸、軍事施設を個別に協議すること自体は拒んでおりません」


「分かりました。こちらも分けて検討します。全部を一つの返答にしないでください」


「かしこまりました」


「それから、今は受けるとも拒むとも返さないでください。軍事側の次の報告も見ます」


「承知いたしました」


外交担当者が文書を持って下がる。


相手が何を欲しがっているのかは、昨日より少し分かった。


でも、分かったから答えが決まるわけではない。




その日の後、帝国から届いた報告には数字が3つ並んでいた。


3。3。3。


「正式な表明ではありません」


外交官は最初にそう断った。


「現時点で確実に支持すると見られる選帝侯を整理した場合、ルートヴィヒ殿が3、ヴォルフガング殿が3。残る3票は、まだ最終的な態度を明らかにしておりません。アルテンフェルスは正式表明前です。リューネンベルクはヴォルフガング殿へ傾いておりますが、確約には至っておりません。中央河川域の聖職選帝侯も態度を固めていないとの報告です」


帝国の皇帝は9人の選帝侯が選び、5票を得た者が皇帝になる。


父が生きていた時には、次の選挙も父のいる世界の話だった。今はもう、父の席そのものが空いている。


紙の上に私の名前はない。当然だった。


ヴァルデンハイムの世襲領では、女である私でも領地を継げる。でも帝冠は違う。皇帝に選ばれる資格は男性に限られている。


私が父の後を継いで皇帝候補になる道は、最初から存在しない。ヴァルデンハイム王朝に帝冠を残すなら、男系傍系のヴォルフガングを立てる必要がある。


外交官は票の報告に続けて、フロレーヌの動きも説明した。


「フィリップ王は、ルートヴィヒ殿を支持する方向で動いております。正式な宣言ではございませんが、複数の選帝侯宮廷へ使節が入り、ルートヴィヒ殿を次期皇帝として支持するよう働きかけています。また、フロレーヌ東方では部隊の移動も確認されています。ただし、帝国内へ入った事実はございません」


「フィリップ王がルートヴィヒ殿を支持する理由について、何か掴めていますか?」


「フロレーヌ側が明言しているわけではありません。ただ、ヴァルデンハイム王朝から再び皇帝が出ることを望んでいない、という見方が最も強うございます」


それなら不思議ではなかった。父とフィリップ王は長く競ってきた。


「ヴォルフガング殿へは、こちらの支持を改めて伝えてください。父が亡くなった後も、ヴァルデンハイムの立場は変わらないと」


「正式にお伝えしてよろしいでしょうか?」


「はい」


外交官が頭を下げる。


「アルテンフェルスには、私から書きます」


その言葉を口にしてから、少しだけ迷った。


正式な書簡だけでいいだろうか。レオンなら、書かれた文章の向こうにある事情をどこまで読むだろう。


それより先に、国王として伝えるべきことを整えなければならない。


「書記を呼んでください」




公的な書簡は、思っていたより短くなった。


父の死を正式に知らせる。父の死後も私の下で政務を継続し、国家間の関係をこれまで通り維持したいこと。国内の継承手続はヴァルデンハイム自身が処理するので、外部からの介入を望まないこと。そして皇帝選挙ではヴォルフガング・フォン・エルレンシュタインを支持し、アルテンフェルスの選帝票も同じ方向へ向けてほしいこと。


東方の状況については、ヴェリスラヴ軍が大河対岸で動いている事実だけを添えた。援軍を求める文にはしなかった。


書記が読み上げた後、私は1か所だけ直した。


「『我が国の安定のため』ではなく、『帝国秩序の継続のため』にしてください」


書記がペンを止める。


「ヴォルフガング殿支持の理由でございますか?」


「はい。私の国内事情だけで票を求めているようには書きたくありません」


「承知いたしました」


もちろん、国内事情と無関係ではない。帝冠まで王朝から失えば、父の死後に私の立場がさらに弱くなる。でも、それだけを理由にレオンへ票を求めるのも違う。


書き直した文を確認し、封をする。


書記が退出する前に、私は別の紙を出してもらった。


「こちらは私信にします」


「同じ使者へ預けますか?」


「はい。ただし、公文書とは別封で」


「かしこまりました」


書記が部屋を出る。机の上に白い紙が残った。


公的な文書より、こちらの方が書き出しに困った。


しばらくペンを持ったまま考え、結局、最初に父のことを書いた。


――父が亡くなりました。


そこまで書いて、止まる。公文書にも同じことは書いた。でも、意味は違う。


少し考えて、その続きを書いた。


――最後に会った時も、いつも通りでした。


朝に政務の話をして、昔好きだった菓子を持ってきてくれて、午後の予定を話した。父の襟が曲がっていたので直したことまで書こうとして、やめた。


やめてから、また書いた。


レオンなら、こういう話を読んでも困らない気がした。


――襟が曲がっていたので直したら、皇帝には誰もそういうことを言ってくれない、と笑っていました。


書いてしまうと、あの日の父の声が少し近くなった。


手を止めた。涙は出なかった。ただ、次の文字を書くまでに少し時間が掛かった。


私はこの数日で起きたことを書いた。


私を支持すると言いながら、これまでの権利を確認したいと言う人たちがいる。反対しているわけではないのに、正式な手続が済むまで忠誠を誓えない人たちもいる。ディートリヒ・フォン・ケルンブルクは、アイヒェンベルクだけについて審理を求めてきた。


どの人の話も、聞けば理由が分かる。


ヴェリスラヴが軍を集めながら航行や関税の話を持ち出す理由も、分からないわけではない。フロレーヌがルートヴィヒを支持するのも、向こうの立場から見れば筋が通っている。


一つずつ事情が分かれば、もう少し整理できると思っていた。けれど今は、分かるたびに決めなければならないことが増えている気がする。


そこまで書いて、少し迷った。


父なら、この続きをどう書いただろう。


考えてから、自分で首を振った。父への手紙ではない。


――私自身は皇帝候補にはなれません。王朝に帝冠を残すなら、ヴォルフガングを支持するしかないと思っています。


「しかない」と書いて、少し強すぎる気がした。でも、消さなかった。今の私には、そう見えている。


最後に何を書くかで、また止まった。


助けてほしい、と書くのは違う。何をすればいいか教えてほしい、でもない。レオンが私と同じように見るとは思っていない。


むしろ、違うなら知りたい。


――あなた自身は、今回のことをどう見ていますか。


それだけを書いた。


読み返すと、公文書よりずっと長い。少し恥ずかしくなったが、書き直すほどではないと思った。


封をして、表に宛名を書く。公的な書簡と私信を並べると、同じ相手へ送るものには見えなかった。


それでいい。


呼んだ侍従へ2通を渡す。


「同じ使者に持たせてください。こちらは国王宛ての正式書簡。こちらはレオン本人へ」


「承知いたしました」


侍従が2つの封書を受け取り、退出する。


扉が閉じた。


机には、次の文書が置かれていた。


表紙に書かれた地名を見て、手が止まる。


グライフェン。


数日前、父と一緒に話を聞いた森と鉱山の件だった。


遠い斜面から木を運ぶ場合の費用。現地で炭を焼く場合に必要な人手と場所。村が冬までに使う薪。鉱山側の木炭備蓄。それから、村が昔から森を使ってきた記録。


父と私が、もう少し調べてから決めようと言ったものだ。


追加報告が揃ったらしい。


私は表紙を開いた。


最初の頁には、遠い斜面まで続く道の状態が書かれていた。


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