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ピッツバーグ、ペンスルヴェイニア…4

 シートベルトを外し、ぴょこんと車の外に降りたエルが、運転席から動こうとしないビリーに気づき、あれ、となって車内を覗き込み、訊ねた。

「どうしたの?」

「俺はちょっと、他に行くところができてな。まぁ、すぐ近くなんだがよ」

「?」

 どういうことだろう、とエルはビリーの視線を追い、その先の建物に気がついた。

「まぁ、お前ひとりで行ってこいよ。なんてったってカーネギーだからな。面白ぇぞ、きっと」

 ふむ、という顔でエルは頷き、いくらか不満そうに言った。

「なるほど、カーネギーね」

「ああ、カーネギーだ。それじゃ、あとでまた迎えに来るからよ。お前はたっぷり楽しんでくりゃいいさ」

「うん…どこで待っていればいい?」

「そこらへんでうろうろしてりゃわかるだろ」

 エルは少し不安そうな顔をしたが、ビリーはやけにそわそわいそいそとしており、それ以上問うてもマトモな返事は返ってこなそうに思えたので、黙ったままでいた。ビリーは嬉しそうに言った。

「きっと楽しいぜ。なんてったってカーネギーだからな」

「カーネギーね」半ば呆れたように、エルは言った。

「ああ、カーネギーだ」

 エルはもう一度、向こうの建物を眺めた。そこには、ビリーの頭と心の中を占めているであろう、『CASINO』の六文字が輝いていた。

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