プロローグ編005/【椎堂 縁(しどう えにし)】と【百宮 遼史朗(ももみや りょうしろう)】と【ウェアカノン】
【吟侍】は、【愛海】と話していた【おじちゃん/無名の虚無】がどうやって彼女に近づいたか疑問に思った。
が、それはすぐに理解した。
それは、たくさんの大物からのコネを持つ少年、【椎堂 縁】の【コネクション】と言う結論だった。
【縁】は、不思議と大物のコネを持つと言う特性を持っている。
それは、彼自身が持っている、自分の【因果律を変更する力】が元になっている。
自由自在という訳ではないのだが、本来の未来とは異なる未来を作り出すことが可能なのである。
分かり易い例を挙げれば、
本来交差点を右に回る未来だったとして、それを左に回る事で出逢う存在を変えると言う事である。
これならば、誰にでも出来る事だが、【縁】の場合は、
普通に生きていれば一生出逢わない他国の国王に謁見する未来など、どう努力や行動を変えても実現出来ない様な未来を自分のちょっとした行動で作り出す事が出来るのである。
ただし、それは自分の好む未来とは限らない。
自分にとって不都合な未来であれば、また更に未来を変えて回避するしかない。
間に合わなければ命を落とす事もある。
そう言った諸刃の剣的な力である。
若い彼は、それを面白がって多用した。
それにより、多くの大物と偶然、知りあう事が出来る様になり、コネクションを増やして来たと言う事実がある。
【おじちゃん/無名の虚無】と知りあったのも、【愛海】をダシにする事により、彼女を求めていた【おじちゃん/無名の虚無】と知りあう事が出来たものの、【愛海】が目を付けられると言う事態に発展していたと言う事になるのだ。
そう言う意味では他者も巻き込む危険な力と言えるのである。
また、その力で、【愛海】とも知り合い、彼女の【イリュージョン・フィクション・チャンネル】と言う力を頼りになる【百宮 遼史朗】を紹介すると言う条件で、【遼史朗】と1つずつ譲り受けているのだった。
つまり、今回は役に立たなかったが、【遼史朗】は【愛海】のボディーガード、【縁】はそのボディーガードを紹介したと言う事の報酬としてである。
そんな感じで、【愛海】と【縁】と【遼史朗】はそれぞれ知り合いとなっていた。
【吟侍】は、【縁】と【遼史朗】にも会い、後継者となる【愛海】のフォローをしてもらう様に頼んだのだった。
そんな彼女達の他に、後継者としてでは無く、別の意味で【吟侍】が注目している女性が居る。
その名は、彼の妻、【芦柄 カノン】と同じ様な名前を持つ、【カノンネーム】の【ウェアカノン】である。
【ウェアカノン】は、【虚構の世界】における【レアキャラクター】として存在している。
そして、【地球風】に言えば、【ミシュランの星】の様に、彼女が登場した事によって【虚構の世界】の格が上がるとされている。
【ウェアカノン】は、着ている【ドレス】から、
【レッドドレスのウェアカノン】、
【ブルードレスのウェアカノン】、
【イエロードレスのウェアカノン】、
【グリーンドレスのウェアカノン】、
【ホワイトドレスのウェアカノン】、
【ブラックドレスのウェアカノン】、
【ピンクドレスのウェアカノン】、
と言う7名が登場し、それぞれ、複数の【ラスボス】を出現させる事が出来るとされている。
7名の内、多くの【ウェアカノン】が登場する程、その【虚構の世界】は格が上だと判断されている。
【ウェアカノン】はどのような存在?で何を意味する者なのか?
それは不明とされている。
【虚構の世界】は、【イリュージョン・フィクション・チャンネル】以外にも数多く存在する。
それらの格を決めるのは、そこに【ウェアカノン】が存在するか否かで左右されている。
もちろん、価値基準はそれだけでは無いのだが、少なくともこの世界においてはこの【ウェアカノン】が出せるか否かによって一般的に格が上か下かが決まっているのである。
【ウェアカノン】の事は別名、【ウェアカノン・ブランド】とも言われている。
そう言う存在である。
そして、もう1つの別名が、【コピー・カノン】である。
つまり、【ウェアカノン】は、【吟侍】の妻、【カノン】の生体データを【クアンスティータ】がそうした様に、何者かがコピーして、【虚構の世界】に【ウェアカノン】として定着させたものである可能性があるのだ。
【カノン(本物)】とは全く別の存在とは理解しつつも、夫としては黙って見ていられない気になる存在。
それが、【ウェアカノン】である。
彼女がどういう存在で、どうなって行くのか?
それが少し気になっているのである。
夫としてちょっとした独占欲の様なものだろうか?
そっくりな存在を誰かの手に渡したくないという感情も持っている様だ。
なので気にしている存在である。




