プロローグ編014/【虚構の(小)祭典】開幕4
【前】/【フード&アイテムエリア】を堪能した【四菜】は、続いて【下】/【存在パビリオンエリア】を回る事にした。
やはり、自分と同じ、【想像力】を評価された者が、展開する【パビリオン】と言うのをちょっと見てみたいと思ったし、【表現マーケット】として、【想像者】が想像した物事を買う事も出来る。
でも、買うってお金が必要なのかと言う疑問がある。
【フード&アイテムエリア】では無料で食べられたが、【他者】が考えた物を買う以上、対価を払わなくてはならないのでは?と思った。
【四菜】は、
「誰かの物を買うとき、お金とかって必要なの?」
と尋ねた。
【道化師】は、
『はい。
必要でございます。
お金というよりは、【想像の価値】を提供していただく事になりますね』
と言った。
「【想像の価値】?」
『はい。
例えば、【四菜お嬢様】が【金貨】を想像なさったと仮定します。
それは、【四菜お嬢様】が【金貨】を想像されると言う【思考の労力】が発生している訳ですから、それは【金貨】としての価値を持ちます。
分かり易い表現ではそんな所ですが、別に、【金貨】や【紙幣】などである必要はございません。
要は、【想像した創造物】を作ったと言う【価値】なのですから、他の方がそれを価値があると判断すれば、例えば【路上に転がっている石ころの様な物】でも価値は発生します。
逆に、他の方が価値が無いと判断すれば、【金貨】であっても価値は【ゼロ】です。
必要なのは、買いたい物事を提供されている方にとって価値のある物事を【四菜お嬢様】が想像する事が出来るかどうか?でございます。
売り主が求めている価値を【四菜お嬢様】が示せるかどうかは、貴女様のセンスにかかっております。
【四菜お嬢様】が【想像】なされば、【貨幣の代わり】はいくらでも出せます。
ここはそう言う所でございます』
「なるほど。
正に夢の様な所だね」
『ただし、これらを現実の物とするには誓約がございます。
出来る事と出来ない事があります。
そこはちゃんとご理解いただきますようによろしくお願いいたします。
ここでの事は外には持ち出せないのが基本となっております』
「え?
そうなの?」
『そうです。
ここでの物を外に持ち出した場合、外の世界が混乱してしまいます。
そのため、この世界だけで楽しむ様になっているのです。
【宿泊施設】があるのは、そのためでもあります。
この中に居る限り、【夢のような体験】は続きますので。
出たくないと言う方が多いのも事実でそこが問題でもありますが。
また、【第96虚構の(小)祭典】の開催期間は、お嬢様の出身星である【太陽系第三惑星の地球】の時間で言う所のおよそ【半年】と言う事になっております。
その期間が過ぎますと、自動的に退去していただく事になります。
次の【第96虚構の(小)祭典】が開催されるまでの期間はおよそ、【半年】となっております。
どうか、ご理解の程、よろしくお願いいたします』
「そっか・・・
終わりがあるんだね・・・
これも・・・」
『もちろんでございます。
そして、開催期間に違反行為などが確認された場合、滞在権利が剥奪される事もありますのでご注意ください。
あくまでも健全に行っている【祭典】ですので、違反者にはペナルティーなどがあります』
「そうか。
まぁ、ルールは守らないとね」
『違反項目については、説明はしておりませんが、【四菜お嬢様】の脳裏に焼き付かせていただいております。
それはご理解いただいていますよね?』
「うん、まぁね・・・
例えば、【ウォーエリア】以外での殺しは駄目とか、そう言うのはわかってるよ。
大丈夫」
『左様でございますか。
では、【存在パビリオンエリア】をご堪能ください。
疑問点などがありましたら、ご質問ください。
お答えいたしますので』
「わかった。
ありがと。
じゃあ、早速楽しむよ」
と言って、1つ目の【パビリオン】を覗く事にした。
1つ目という事もあり、明確に価値が分かり易い、【絵画】や【彫刻】など、【美術品】を【創造物】として【想像展示】している【パビリオン】に入る事にした。
【四菜】は、
「凄・・・」
とつぶやいた。
何処かの【美術館】で見た物が展示されているのかと思ったが、そこに展示されているのは完全なその【パビリオン】を展開した【想像者】本人のオリジナル作品ばかりである。
ただ、それでもその【技法】は神がかっているとしか思えない程、崇高な出来映えと言える物ばかりだった。
【四菜】は【美術】の事はよくわからないタイプなので、【印象派】とか、【キュピズム】とか言われてもよくわからないが、展示されている物は全て、【写実画】の様な物が基本となっているので、【美術音痴】の【四菜】でもその価値が凄いと言う事ははっきりとわかった。
また、【写実画】とは言ったが、【リアル】に見えるだけで、実際にはあり得ない物などがたくさん描かれているので、【神秘的】に映っていた。
それで、
「凄・・・」
と言う言葉が漏れ出たのである。
絵画としても彫刻としてもどんなに美術音痴が見ても凄いとわかる超逸品ばかり。
基本的にこれほどの作品が展示されていれば、1作品あたりの値段はどんなに少なく見積もっても数十億円から数百億円の価値があると言っても過言ではない。
【四菜】は、
「こんなの払えないよ・・・」
とつぶやいたが、【道化師】は、
『貴女様も価値のあるものを考えれば、ちゃんと買えますよ。
最も、貴女様が、これらの作品にとんでもない価値を与えてしまったのであれば、それと同等の価値のあるものを想像しないと不可能ですが』
と言った。
【四菜】は、
「じゃあ、駄目だ・・・
とんでもない値段を思っちゃったもん・・・
そんなの私、作れないよ」
と答えた。
【道化師】は、
『そうですか?
それは残念でしたね。
ですが、価値は貴女様が決める物と思ってください。
それが、買う時の基準となります』
と言った。
【四菜】は、
「わかった。
気をつけるよ」
と言った。




