第二十話 これは閑話になるのかな?
本編には直接関係無いので、特に読まなくても問題ありません。
うちの迷宮の紹介をします。
まずは世界各地からの転移装置で辿り着く1階層。
ここでは他の転移装置に飛べないよう、到着したら各自にチェックがなされます。
これにより、迷宮を経由した長距離転移をやれなくする訳ですね。
これが人族が管理している迷宮なら、それを稼ぎにするのでしょうけど、そういう訳ではないので禁止にしています。
そうして広いエリア内には様々な店が立ち並び、冒険に必要な品が買い求められるようになっています。
とは言うものの、一回の冒険で必要な消耗品のみの販売になってまして、大量購入はやれないようになっています。
転売を防ぐ為ですね。
当初は冒険者のモラルに期待しての注意のみでしたが、商人から委託された冒険者が大量に買い込み、それを商人に転売するという案件が起きました。
なんせそこで売られている消耗品はかなり安価な割りに性能が高いので、それを狙われたのですね。
それからも商人達があの手この手で商品を持ち帰ろうとして、それに対抗しているうちに自然と対策が増えたのです。
なので現在では余りに不自然な購入に対しては要注意人物指定が成され、全ての店に注意喚起が成されます。
そして動向を見てクロなら権利剥奪となり、もうここに来る事は出来なくなります。
次に2階層から50階層までは迷宮部分となっており、基本的にはモンスターは出ないようになっています。
ここに出るのは情報ネズミと救急隊のメンバーのみになっていて、倒れた冒険者の救助などをやっております。
たまに空腹で倒れている冒険者も居て、渡した食事を派手な勢いで食べる困った常連も居るようです。
そう、常連はいざとなれば助けてもらえると高を括り、困った節約方法を使うので、3回目には要注意人物になり5回目でしばらくの間の潜り禁止が言い渡されます。
そうなれば定宿にも居られなくなり、一度お帰りいただく事になっています。
本来はその程度は苦にもならないのですが、宿にも限りがあるのでちょっとした既得権益になっており、その放棄は冒険者にとっては困った事態になるようで、注意で大体収まってくれます。
そうして50階層には次のフロアへ向けた転移装置があります。
次に50階層からの転移装置の先の話です。
いきなり100階層に到着です。
そうしてここからは各種の罠が出現し、更に難易度が上がっていきます。
今までは罠と言っても簡単な物ばかりでしたが、これからは掛かると確実に怪我をします。
そうして宝箱には全てカギが掛かっており、開錠スキルが無いと痛い思いをします。
大した怪我では無いのですが、それでも連続で怪我をすると命に関わります。
そうして倒れた場合は救助に来ますが、お宝は没収です。
そして1階層のエスケープエリアで倒れている事に気付くのです。
つまり、振り出しに戻る、という訳ですね。
本来は身包みを剥いでも良いのですが、そこは武士の情けです。
ここで倍数フロアの説明をしておきます。
10~50・110~490階層の10倍数フロアには、ちょっとした休憩エリアが設けられていて、休憩や宿泊がやれるようになっています。
なので連続での潜りに対する疲労軽減が成される訳ですね。
特に100から500までの100の倍数フロアには、本格的な休息エリアがあり、そこには売店も備わっています。
貸し毛布や各種の薬に食事なども多数取り揃えていて、消耗品の補給もやれるようになっています。
取得したお宝との交換も可能になっていますので、ひたすら潜り続ける事も可能です。
ただし、そこの売店の店員は人化した竜なので、強盗など企もうとすると手酷い罰則を受けます。
そう、永久停止処分ですね。
すぐさま捕らえられて最寄の冒険者ギルドへ通達の後、そこらの転移装置から外に投げ捨てられます。
迷宮の外でなら、死のうが食われようが関係無いので、そういう処分になっています。
ちなみに迷宮の外に待機要員が居るのは極秘になっています。
彼らは万が一の用心の為の人員で、軍隊や攻撃の人員を察知したら緊急連絡をする事になっており、たまに投げ捨てられる冒険者が報酬になっているのは内緒です。
そうして次はプライベイトフロアの説明です。
51階層は迎賓フロアとなってまして、各国からの使者の受け入れを行っております。
そこでは休憩、食事、宿泊が可能になっておりまして、王侯貴族の生活水準を参考にしてあります。
そこのスタッフはしっかりと教育されているですが、競争倍率が意外と高いのです。
やはり料理の残り物のお裾分けが魅力なのでしょうか。
給金もかなりの高額になっていますし、休暇は自由に申告可能になっていて、すぐ下のレクリエーションフロアでのんびりと過ごす事が出来るようになっています。
レクリエーションフロアは52階層です。
ちなみに一般は入場有料なのですが、あちこちの職場からの優待願いを持参するので、大抵は無料になっています。
そしてちょっと豪華な宿もありまして、そこは迎賓スタッフ専用となっております。
レクリエーションフロアでは様々な催し物が開催されており、それは各国からの要請によって許可が出てなされています。
最近では物産展が多いようですね。
各国の自慢の特産品の展示販売なども行っているのと、観光案内なども行っているようです。
他には再現した異世界の競技なども行われていまして、初期の頃には手動式ボーリングが話題を呼び、ピンを立てる仕事とボールを送り返す仕事と得点を計算する係がかなりの人気でした。
休憩事にはタダで遊べるからですね。
今では魔導式になっており、点数も自動計算になって楽になりましたが、当時は本当に児童の玩具のような代物でした。
後、そこには露天風呂もありまして、景色はシステム渾身の作の異世界の風景が再現されております。
それははっきり言って富士山からの風景の再現なのですが、肝心の情報提供者が持っていた色褪せた絵葉書でしか分からない為、あんまり似ていません。
今後の展開としては、エンジンの開発に希望が見えているようで、後々にはカートレースなども可能になるかも知れません。
そういやスキー場もありましたね。
人工降雪は魔法があるので意外と楽にやれるのですが、何分寒いのでスキーの後は露天風呂が人気のようです。
そうして美味しい料理を堪能し、豪華な宿でのんびりし、身も心もリフレッシュしてまた仕事に戻るようですね。
あ、ちなみに高給と言いましても、人族のような通貨ではありません。
なんせ生活するのにお金はあんまり必要ではなく、大抵はポイント制になっておりまして、働けばポイントが得られ、それで色々な買い物が出来るようになっています。
そのポイントと交換出来る中で一番の人気は、異世界のお金になってまして、俗に日本円と呼ばれています。
その複雑で精緻な模様の紙幣は皆の人気になってまして、殆どコレクション対象ですね。
内緒ですが、紙幣の場合は等価になってまして、1万円札1枚が1万DPになっていたりします。
なので札束を1つ誘致するたびに100万ポイントが消し飛ぶので、かなり痛いのですが言えないので内緒にしています。
その代わり、大抵は1000円札でも良いので、札束1つ10万ポイントで獲得して各所に配っています。
次は53階層の話です。
500階層の転移装置はこの階の中央広場に繋がっておりまして、それが冒険者によって稼動する時には警報を発します。
そうすると周囲から猛者達がわらわらと……
この階層は万が一、500階層をクリアした冒険者が出た場合や、使者と偽って襲撃者が出た場合に備えてある団体に開放してあります。
その為、そこにはそれに関連した俗名が付けられております。
『ノーキンパラダイス』
そうです。脳筋なモンスターの集う、とっても熱くて激しいフロアなのです。
そこでは戦いを好む連中や、ストレス発散の為の様々な訓練施設が充実していて、日々誰かしらは暴れています。
そうして警報が鳴り響くと皆は中央広場へと急行し、対象に向かって突撃する事になっています。
そして54階層には各国からの応援部隊が集結する事になっています。
普段その階層は各国の交流フロアになってまして、様々な職種の者達の技術交流などが行われています。
そのついでに酒盛りになったりするので酒蔵も充実しており、様々な施設も充実しております。
なお、この階層には武器庫もあり、非常時には開放されるようになっています。
その下の55~80階層はモンスターワールドです。
現在のモンスターワールドは26カ国となっていまして、それぞれの種族で樹立した国なので、種族間の争いも起こらないようになっています。
と言うのも領土拡張はシステムへの要請で可能なので争いが起きにくく、現在では各国の仲は良好になっています。
次は生産フロアの話です。
各国にもそれぞれ生産拠点はありますが、共通の生産を受け持っているのが80~95階層の生産フロアになっています。
ここでは大規模農園や大量生産の必要な諸々の生産を受け持っており、各国からの出稼ぎ人員で賄われています。
もちろん薬草なども生産されており、日々大量の回復薬もここで生産されています。
もっとも、初級と中級のみが迷宮都市に一部出荷され、残りは迷宮内の各国に販売されています。
と言っても価格は人件費に少しのプラス程度なので、皆は気軽に使用する事が出来るようになっています。
ノーキンパラダイスも大得意客ですね。
大量に生産される産物の中でも、現在の一番人気は何と言ってもジャガイモで、特に蒸してバターを付けて食べる方式が伝わってからは爆発的な人気になりました。
他にもスライスして揚げて塩を振りかけて食べる方式や、シチューに入れて食べる方式、蒸して潰してサラダに入れる方式などが次々と伝えられ、その人気はとどまるところを知りません。
二番人気はニワトリです。
誘致当初、飼育に熱中した一団がひたすら整備しまくり、今では広大なエリアで大量のニワトリが走り回っております。
そのエリアにはニワトリの餌になるような物が豊富にあり、擬似ながら太陽の下での健康的な飼育になっています。
その為、味わいが深くて美味しい鶏料理になるようで、それを使ったカラアゲは絶品との評価を受け、各国からの要請もかなり多いです。
三番人気はなんと、豆腐です。
畑の肉と言われる大豆から作られる豆腐ですが、大豆の苗の誘致と豆腐の作り方の誘致でかなりのポイントを消費しました。
それらは研究班の手により製法が確立され、生産フロアで大量生産の途中、枝豆の食べ方を教えたら半分枝豆に化けたものの、豆腐も現在では必要に応じて作られています。
余計な添加物が入っていないので、そのほんのりとした甘さが人気の秘密らしいです。
特に肉の苦手なモンスターには絶賛されておりまして、魚肉すらも食べられない種族のもはや必需品と言えるかも知れません。
他にも米、小麦、大麦なども誘致して研究後に育成されており、大豆はもとより小豆も育成しており、竹糖の誘致もやりました。
サトウキビに関しては隣の大陸からの仕入れをしておりましたが、自作の目処が立ったので農園は代理人に進呈しました。
現在では様々な果実も生産しておりまして、最大の人気は桃です。
いよいよラストです。
おっとその前に、現在の予備フロア、96階層から99階層の説明です。
かつて故郷だった世界のあれこれを復元しようと取っておいた予備フロアになっておりまして、現在は技術研究班への使用を許可しています。
将来的にはかつてのあちらの国の工業地帯のようなものが出来上がるのでは無いかと思われ、ゆくゆくはサーキット場なども出来るかも知れないです。
楽しみですね。
てはラストの説明に入ります。
最下層は501階層になっていまして、その最奥にはダンジョンコアルームとダンジョンマスタールームがあります。
その手前には研究班、開発班、生活向上班、生産改良班と、総合執務室があります。
研究班はもたらされた異世界の産物を生産可能に研究する班であり、開発班は現行の施設の改良や新たな発想に基く新しい施設を開発する班であり、生活向上班は皆の生活の向上を目的として、様々な発案を集計して議論して書類にして提出する班であり、生産改良班では品種改良などを行っております。
そうして総合執務室では全迷宮の統括業務を受け持っていて、各国からの要請や幹部達からの要請、迷宮自体の問題点など、
部署では対処出来ない問題を主に処理しています。
ちなみにそこには迷宮管理用の執務室もあり、様々な決定や承認などを受け持っています。
そして管理不在の折には室長の幹部がそれを代行します。
最後は駆け足になりましたが、これがうちの迷宮の仕組みです。
◇
◇
◇
うん、はっきり言って、オレ要らないな。
実際、迷宮管理と言っても地主みたいなものだしな。
あいつらはあいつらで好きに暮らしているから、オレが特に何もする必要は無いんだよ。
だからもし、オレが永久に戻らなくても、あそこは何時までもあり続けるだろうな。
魔物達の楽園として。
ダンジョンマスターと迷宮管理がごっちゃになっていますが、正式名称:ダンジョンマスター、通称:迷宮管理と、こういう感じでお願いします。




