干ばつが起きました
走り込んできた槙さんの用事というのは、キノコ類を育てていた地域の干ばつの知らせだった。
「そんな・・・あそこは雨の降りやすい多湿地域だというのに・・・」
王妃陛下が愕然として呟く。
干ばつにあった地域はこの国の中でもかなり湿気の多い場所らしく、1年の半分以上雨が降っているんだそうな。
カナン様の力が届きにくくなって、世界が崩壊へと向かっているんだって、改めて目の前に突き付けられた気分。
それならば、見て見ぬふりはできない。
「・・・あの、そこに行かせてもらっても?」
「夢未様?」
「え、でも・・・」
私の発言に槙さんは渋るような表情を見せる。
そりゃそうだよね、自国の悪い面をよその人には見せたくないだろうし。
でも。
「私は、この四季の世界を豊かにするために来たんです。異常が起こっているならば、ちゃんとこの目で見ないといけません」
そのために、カナン様から“コトノハ”という力を授かったんだしね。
「――槙、連れて行ってさしあげろ。私が連れて行っても構わないが、お前の管轄の土地だ、お前が説明するのが良いだろう」
「・・・わかりました。では、ご案内します。神殿の移動陣を使いますので」
「あ、はい!」
槙さんに案内されるがまま、私は雫くんと一緒に宮殿のすぐ傍にある神殿へと向かうことになった。
「・・・ねえ、雫くん。桜の国もそうだったけど、その国の主神殿って必ず宮殿のすぐ傍にあるものなの?」
「そうですね。各国と連絡を取る時は神殿の祭壇を使うので、必然と」
「あ、そうだよね。ということは、各地域にも配置されてる神殿もそれぞれの首長がいる場所に建ててあるってことかな?」
「はい、その通りです。夢未様」
なるほどー。
移動陣ができて、国の中の移動も簡単になったんだね。
「巫女姫様のおかげで、干ばつの知らせもすぐに受けることができました。ありがとうございました」
槙さんがこちらを振り返り、頭を下げる。
「え、い、いえいえ。・・・っていうか、突然干ばつにあったんですか?」
「ええ、突然です。前日まではなんてこともなかったのに、翌朝には干上がっていたそうです」
作物の成長速度はご都合主義だなぁって思ったけど、干ばつまで同じ速度、ううん、倍以上の速度で起こってしまう。
この世界の歪みのせいなのか、それとも、カナン様の力が届かなくなったせいなのか。
どちらにせよ、私がやるべきことは1つだ。
「じゃあ、あまりのんびりしてはいられませんね。急いでその地域に向かいましょう!」
「「はい」」
・・・う、でも、走らないでください・・・体力が保たないので・・・。(切実)




