創造主、憂う
久々なうえに、短いですが・・・更新です。
「本日も、滞りなく」
彼女には余計な機能はつけなかった。なぜなら、徐々に関係者の記憶から“あの子”の存在を風化させるためだけに作った“人形”だから。
いずれ消してしまうのに、感情を与えて情が移るのは避けたかった。なにせ、見た目は俺のお気に入りとなった“あの子”の姿なのだから。
「そう・・・後は徐々に連絡を断つようにしておいて」
「かしこまりました」
深々と頭を下げてそう返事をした彼女を見やり、俺は“あの子”のことを考える。
いよいよ四季の世界とのリンクが途切れかけている。行き来することが出来なくなってから数年、声を届けることすら出来なくなってしまった。
“あの子”がたった1人で頑張っている。きっと俺の声が突然聞こえなくなって不安になっているだろうに。
こちらから様子を伺うことは出来ても、干渉はできない。
「・・・ユメちゃんは強いけど、それでも、最初から俺の眷族だったわけじゃないからなぁ・・・」
「――四季の世界はあまりにもぜい弱です」
溜息交じりに呟けば、その呟きに返事があった。
まぁ“彼”が来ているとわかっているから口に出して呟いたんだけど。
「ディム」
俺の末子で、後継者。
「父上は、色々と感情移入し過ぎです」
「そうだねぇ・・・でも、有限のモノが愛しいと思うのは、自分にはないものだからだし、俺だけが特別というわけでもないだろう?」
事実、他の創造主や創製神も有限のモノ・・・自分達が作りだした箱庭に暮らすモノ達を愛でる者はいる。
「――ですが、眷族にするなど・・・しかも“彼女”はクマリ様の世界の」
クマリ、とは俺を創造した母なる存在である創製神。だが、今はもう実務はすべて俺に任せ、後は力を継ぐだけの所まで来ている。
「母上の世界はもう俺の世界でもある。問題ないよ」
「・・・父上、もう、無茶な真似は・・・」
「大丈夫、無茶じゃないし。俺はね、ただ、四季の世界が復活する所を見たいんだよ。まだまだ若い世界だ。滅びるには早い」
「――はぁ、わかりました。見守りましょう。“彼女”が上手くやってくれればいいのですが」
「大丈夫だよ、ユメちゃんは俺の眷族になれた子なんだから。・・・俺達は力が強すぎて干渉が出来ないけれど、ユメちゃんならなんとか出来ると思って送り出したんだからね」
そう。だから“あの子”がどうか無事に四季の世界を復活させられるようにと願う。
「そう、ですね・・・」
ディムも、もどかしいのだろう。自分達が作った世界の後始末を、何の関係もなかった只の人間の女の子を眷族にして押しつけてしまった罪悪感にさいなまれている。
「世界に力が戻れば、干渉も出来るようになる。それまでは、ユメちゃんに頑張ってもらうしかない。・・・終わったら、ご褒美をたくさんあげようね」
「ええ」
頷くディムと共に、水鏡に映る箱庭・四季の世界の様子を見つめる。
そろそろユメちゃんが本格的に動き出す頃合いだろう。
大丈夫、君はちゃんと出来ているよ。




