各国訪問を決めました
はいっ!霞さんや霧矢さんから許可を得て各国を回ることになりました!
とはいえ・・・まずはどこに行くかが問題なんだよね。霧矢さんは海の国がおススメらしい。
まぁ、確かに・・・楓や雪の国の方は悲観的というか、私の存在に不信感を持っている感じがするしね。
でも、だからこそ、そっちから回るべきじゃないかなとも思ってる。嫌なことを後回しにすることは良くないし。
おばあちゃんも、嫌いなものは最後に食べると後味が残るから、最初に食べちゃいなさいって言ってたし!・・・あれ?なんか違う?
「――というわけで、楓の国に行ってみたいと思います」
「・・・よりにもよって、一番厳しい所を選ばなくても」
霞さんはそう言って心配してくれるけど、でも、やっぱり、一番最初に厳しい所をクリアすれば、後は楽だと思うんだ!
「危害を加えられるわけじゃないですし、大丈夫ですよ!・・・万が一にも危険なことがあったら・・・コトノハで逃げちゃいますから平気ですって!」
これは本当だ。コトノハさえあれば私はこの世界で悪いこと以外は何でも出来てしまうのだから、逃げるなんて簡単だ。アレ、何だっけ、この状態をたしか“俺つええええ”とか言うんだっけ?
うーん、どうも日本では最近の話題に乗り切れてなかったから、中途半端な知識だなぁ・・・。
「夢未様・・・どうか、雫をお傍から絶対に離さないようにしてください」
「はい、雫くんは責任を持って、私が・・・」
護ります。と言おうと思ったのに、霧矢さんが珍しく私の言葉を遮った。
「違います。雫は優秀な神官です。不測の事態に遭ったとしても自分で対処できます・・・彼は、貴女の護衛役のつもりでつけているのです」
ああ、護衛対象に護られる護衛もいないよねー・・・って。
「えええ!?し、雫くんが私の護衛?!」
びっくりしてしまって、つい、声が裏返ってしまう。
「――夢未様、僕が頼りない風貌なのは自覚しています・・・でも、必ず夢未様を護りますから!」
まだぷくぷくと丸みを帯びた頬を真っ赤にさせて、雫くんは半ば叫ぶように宣言した。
ああ、頼りないだなんて、そんな風に思わせちゃいけないのに。私は慌てて勘違いを正そうと口を開いた。
「や、違くて・・・頼りないなんて、思ってないよ?ちょっとびっくりしちゃっただけで・・・そっか、うん、わかった。じゃあ、頼りにしちゃうね、雫くん」
「っ、はいっ!」
力一杯頷く雫くんは、めちゃくちゃ可愛かった・・・。
***
「――では、我が国に滞在なさるので?」
第・・・んーと、何回目になるかも忘れた代表者会議で各国訪問のことを言うと、楓の国の王子である森さんがそう訊ねてくる。
なんとなーく、目の輝きが違うような気もしなくもないけど・・・これって歓迎するっていう意味?それとも、邪魔だな~とか?
「はい。楓の国の神殿にお邪魔しようかと思って・・・」
「夢未様は国賓ですから、我が宮殿にお招きしますよ」
「へぁ?!・・・あ、いえいえ、雫くんもいますし・・・そんな、ご迷惑じゃ」
「いいえ、是非。お付きの方の部屋も用意させますので」
な、何なに!?なんかいきなり、森さんの押しが強くなった気が・・・!
「おい、森・・・」
「なんですか、海斗殿」
「お前・・・これ幸いと・・・」
「ふふ?・・・何の話でしょうか?」
うあぁ・・・森さんと海斗さんの視線の間にバチバチと火花が散ってる!
小声だから何を言っているのかよくわからないけど・・・えこひいきとか思われちゃったのかな?!
「――お2人とも、みっともないですよ」
私がオロオロしている間に、またも2人のケンカ?を止めたのは錬さんだった。うん、もう、役割分担が出来てる気がする。
「そうですよ、何も楓の国一国に留まるわけではないでしょうから。ね、夢未様」
今度は霧矢さんも割って入って、私にそう確認してくるので頷き返す。
「そうですよー、海の国にも、もちろん、雪の国にも行きますから!“ダメ!えこひいき!”ですよ!」
「あ、いや、そういうつもりで言った訳じゃ・・・」
「えこひいき・・・だなんて、思ってもいませんし・・・」
あれ?反応が変だけど、どういうことかな?桜の国がえこひいきされてるっていう話じゃ・・・?
チラリと霧矢さんを見ても、苦笑が返ってくるばかり。じゃあ、と雫くんを見れば、こちらは何故か合点のいった様子でそうかそうかと頷いている。
・・・なんぞ?
まぁ、ともかくもお知らせはしたので、各国訪問を始めたいと思います!!
*ユメちゃんの盛大な誤解の補足*
――森と海斗との口論の真実――
海斗「お前、ここぞとばかりに夢未サマを口説くんじゃねェだろうな!!」
森「ふふん、何のことだかさっぱりわかりませんね。ただ、楓の国を気に入ってもらうための“努力”はするつもりですよ?」
海斗「なにぉぅ!?抜け駆けすんな!!」
森「フン、狭量な人間は嫌われますよ?楓の国を選ばれたのは夢未様なのだから、文句を言わない方が良いのでは?」
海斗「・・・くっ」
的なやりとりがされていました。




