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桜の国のコトノハ使い  作者: 冬華白輝
本編・基礎作り編
16/26

プレゼンします!

 というわけで、第二回意見交換会。挨拶もそこそこに、まずはそれぞれ氷室の設置についての返事を聞かせてもらうことにする。


「―――あの、氷室はどうでしたか?」


「海の国は大いに助かる。なにせ、一番困っていたことだからな」


 海斗(かいと)さんが真っ先に口を開いてくれた。そうだよね、海の国が一番食材の貯蔵に困ってたもんね。


「雪の国も言うまでもなく、です。氷が商品になるとは思ってもいなかったと兄達が感謝すらしていました」


「楓の国も許可がおりました。湿気の強い国ですからね、氷室は必要です」


「桜の国は夢未様の発案に反対することなどありえません」


 (かすみ)さん・・・桜の国は私のイエスマンっていう宣言なんだけど・・・良いのかなぁ・・・まぁ、いいかぁ、悪いことできないんだし。


「じゃ、“氷室と氷を運ぶための移動陣を造っちゃいます”ね。“神殿の敷地内に邪魔にならないように設置する”ので、後で確認よろしくお願いします」


「「「「「―――は?」」」」」


 あ、ついて行けてない?すみません。でも、次のプレゼンが控えているので、許してね!


 ズン、と地面が揺れる。先程の発言自体で“コトノハ”が発動したわけだ。


「ゆ、夢未様・・・」


 霧矢(きりや)さんが慌てた様子で私に視線を向ける。


「うん、桜の国の主神殿にも氷室を造ったので、管理者は後で決めてくださいね?」


「――承知しました。夢未様の力でもう驚くこともないだろうと思っていたんですが・・・本当に“コトノハ使い”の力は我々の想像をはるかに超えていますね」


 悪いこと以外はたいてい出来るのだから、一々驚いてたら身が保たないと思うよー。なんてことは言わないけど・・・ああ、またか。くらいになるまで“コトノハ”は使いまくるつもりなので、諦めて欲しい。うん。


「それでですね、今日は各国に新しい作物の作付をお願いしたいんです」


「作付、ですか・・・」


 (れん)さんが眉をハの字にして、私の掌に乗る種を見つめる。


「4つ、ということは雪の国も・・・ということですか?」


「そうですよ」


 森さんに問われて、私はこっくりと頷く。


「え、巫女姫サマ、そりゃ無理じゃねぇ?あそこは1年中雪が降ってんだぜ?」


「そうなんですけど、ちゃんと雪の中でも育つように改良したので、バッチリですよ!そもそも冬のお野菜なので」


「冬の野菜・・・雪の国でも育つ野菜があるのですか・・・?」


 海斗さんに説明していると、錬さんが反応する。


「ありますよ~!まずは国内流通させてほしいので、各国で育ててその状況を報告してほしいんですよ」


 氷室は生産量を増やすものではなく、食料を保存するためのものだから解決になってないしね。


 コレが成功したなら、雪の国でも食糧生産ができるんだって希望を持ってもらえるだろうし、この世界の発展にも意欲が出るだろうから。


 基礎的な部分をまずは満足してもらわないと先に進めない。基礎がしっかりしてないと応用は利かないもんね。コレ、勉強もそうだよなって考えたら、絶対にいけると思ったんだよねー。


「では、早速持ち帰らせて頂きます・・・」


「はい、お願いします。・・・雪の上からパラパラっと蒔くだけで大丈夫ですからね」


 収穫だけは面倒かもしれないけど、そこまではショートカットしないと矛盾するしね。ほら、季節とか、気温とか成長過程がね、うん・・・。


「はい。承知致しました」


「楓の国でも新たな作付けができるのであれば万々歳ですからね」


「海の国もなかなか作物は育たねぇからなぁ・・・まぁ、巫女姫サマの力で改良されているなら問題ねぇのか」


 うん、なかなか良い反応ですね~。頭ごなしにダメなんて言われないだろうとは思ってたけど。やってみないとわからないっていうだけで、不利益があるわけでもないし。


 まぁ“コトノハ”で創ったわけだから失敗はほぼ無い。


 コレで少しは桜の国以外の人達からも信頼してもらえるかな?


 最初に会ったときの森さんの反応は私にとってはすっごく当たり前のものだった。桜の国では全面的に私を肯定していたから、逆におかしいな、と思ったくらいだし。


 この世界を、国を、おもちゃにするような巫女姫ではないか?その見極めの視線を初めに感じたのは、実は海斗さんからだ。それはすぐに霧散したけれど、森さんの視線は結構しつこかった。


 彼が私を夢未様、と呼んだときに初めて認めてもらったと思えた。


 彼等は各国の代表だ。彼等に認められたなら、次は国に残った人達にも認めてもらわなければ、いくらこの世界のためになることでも私の一方的な押し付けになってしまう。


 それだけは避けたいし、一緒にこの世界を再生させていきたいから。まずは土台作りのためにもこの作付は絶対に成功してもらわなければならない。だから“コトノハ”で創り出すときに願った。この世界を救うための第一歩としての役目を担った種に。


 種が芽吹き、花を咲かせ、実をつける。この世界がそうやって再生できるように願いを込めて―――。

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