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桜の国のコトノハ使い  作者: 冬華白輝
本編・基礎作り編
14/26

ヤンデレってそういう意味じゃないです!!

ゆめちゃんの主観でものを言っているので、そのあたりはツッコミ無しでお願いします!

「では、まず先程海斗さん達と決めたことなんですが・・・」


 そう言って私は氷室の件を森さんや錬さんに伝える。


 すると、森さんは感心した様子でなるほどと呟き、錬さんは一瞬目を丸くし、ゆるゆると笑顔に変わっていった。


「雪の国では氷はあって当然のもので・・・輸出できるものとは思ってもいませんでした」


「雪の国は雪深い地域が多いですからね・・・」


「作物のない雪の国が氷を輸出できればどれほどに助かるか・・・氷ならば原価はほとんどかかりませんし、雪の国にはそこかしこにあるのですから・・・」


 霧矢さんが困った様子で言い、錬さんはそれに苦笑する。


 なんで誰も今まで気付かなかったのか。そうは思ったけれど、食事を楽しむという感覚と同じで、そこまでの余裕が無いんだろうと結論付ける。


 ある程度生活に余裕が無ければ冒険だってできないだろうしね。


「後は、氷の純度――精製なんですけど・・・出来れば運びやすい四角い形のが良いかなぁと思うんですけど・・・できそうですか?」


 立方体、で通じなさそうだったから四角いって言ってみたけど・・・通じたかな?


「四角ですか・・・それは石を切り出すような形でよろしいのですか?」


 おお、伝わったよ!さすが鉱山も持ってるだけあるね!!


「そうですそうです!業者さんが扱いやすいようにしたいんですよ!・・・いくら重力術で軽くするっていっても、持ちにくいのは大変でしょう?」


「そうですね。巫女姫様のおっしゃっている意味は良くわかります。我が国には職業柄重力術と火術に優れているものが多くおりますから、火術で氷を精製し、重力術で氷室に運び入れるという作業ができます」


 こちらがこうだというイメージを伝えると、ポンポンと返答がある。これってすごいことなんだって本人わかってるのかな?


 だって、私が言っているのはこちらの世界では初の試みなのだ。霧矢さんや海斗さんだって一瞬戸惑うような表情をうかべたのに・・・。


「雪の国は職人肌の方も多いですからね、錬殿の兄君である(くろがね)殿もモノ作りへの熱意は凄まじいと伺ったことがあります」


「そうですね・・・私などはまだまだ・・・」


 霧矢さんの説明に納得!そっか・・・ネガティブ系と職人肌系がいるんだね。っていうか・・・錬さんのネガティブ度が半端無いように思うんですが。


 それにしても、モノ作りってあたりは日本っぽいなぁ。


 最近ではいろんな国も技術が追い付いてきていたように思うけど、やっぱり性能とか作りの丁寧さとかメイドインジャパンの商品への信頼度は高かったと思う。


 まぁ、中には原価を抑えているせいであまりよろしくない商品もあったりするけど、基本的に日本の製品は高性能なものが多かったと、私は思っている。


 そういう職人のプライド的なものが雪の国に受け継がれているんだと思えば、なんだかもっともっと応援してあげたくなっちゃう!


 まぁ、どこか一国に肩入れするのは立場的に良くないし・・・。とりあえずは氷室を作ることは前向きに考えてもらえそうかな・・・?


「どうでしょうか・・・?」


「素晴らしいと思いますよ、巫女姫様。・・・兄達にも報告します。きっと良い返事が頂けると思いますよ」


「わあ、期待しちゃいます!」


 これは本心。だって期待せずにはいられない。これが通れば間違いなくこの世界の食糧事情が向上するんだもん。


「楓の国でも長持ちしないものがありますが・・・氷があれば倉庫を冷やして保存することが出来そうですね」


 やった!森さんも氷室には乗り気みたい。良かったぁ~!


「では、氷室の件は一度持ち帰らせていただきます。・・・移動陣のおかげで時間を短縮して話し合いができるのは良いことですね。定期的にこのような意見交換会を開いてはいかがでしょう?」


 錬さんの申し出は願ってもないことだった。でも霞さんはどう思うだろう?まぁ、お人好しの桜の国の住人だし、案外普通に頷くかな?


 ―――なんて思っていたら、予想を裏切ることなく、霞さんがこっくりと頷いた。


「桜の国は大歓迎です。どうぞ、ご自由に使って頂きたい。・・・それから、三国の皆様にひとつお願いが」


「なんでしょう?」


 突如お願いと言い出した霞さんを見つめ、錬さんが首を傾げる。


「夢未様をご本人の意思なく引っ張りまわすことの無いようにお願いしたい。この方は我が桜の国が創造主様よりお預かりした尊いお方なのです」


 んー、この世界じゃ私って知的財産権的な扱いなんだろうなぁ。それにカナン様に睨まれたら怖いってこの世界の人達は魂レベルで刻まれているみたいだし。


「わかっておりますよ、女王陛下。・・・我々とて創造主様を怒らせたくはありませんし」


 森さんがそう言うと、霞さんはホッとしたように頷いた。


「でしたら良いのです」


「あ、心配されなくても、移動陣もありますし、他の三国にも行ってみたいと思っていますから。―――それに、私がどこかひとつの国だけを優遇することは絶対にありません」


 たぶん、この辺りのことを心配されるんじゃないかなーと思って言ってみれば、海斗さんも森さんも錬さんも揃って苦笑いをうかべていた。


 うん、桜の国優遇説はあらゆる面で考えられたんだろうねぇ。


 でも、氷室はすべての国が恩恵を受けるはずだし、これで誤解も解けそうだ。


 こうして、第一回?意見交換会はお開きとなり、三国の使者達は自分の国へと帰っていった。



***



「夢未様、お疲れ様でした」


「・・・なんか、今日一日だけですごいことになっちゃった気がします」


 食事を終えて自室に戻り溜息をもらすと、霧矢さんが困ったように笑う。


「ですが、この世界を良い方向に変えようとなさる夢未様のお気持ちは他の方々にも十分伝わったと思いますよ」


「そう・・・大丈夫でしょうか?」


「ええ、大丈夫ですよ」


 霧矢さんが太鼓判を押してくれるから少しホッとして、緊張のせいで強張っていた表情を緩める。


 なんか、いつも笑顔をうかべているっていうの、結構キツイかも・・・。


「今日はお疲れでしょうから、ゆっくりお休みになってください」


「はい、ありがとうございます」


 部屋から出ていく霧矢さんを見送り、私は身体から力を抜いた。


「・・・はー・・・食事、豪勢だったな・・・」


 なんか、無理させたっぽい。まぁさすがに肉とかそういうのはなかったけど、桜の国にある食材という食材を使った!って感じの食事だった。


 霞さんや霧矢さんは後で食べると言ってはいたけど、たぶん、私が食べたものよりもずっと質素なものだろう。


 やっぱり、緊急に食糧事情を何とかしないといけない。


「手っ取り早く、いろんな種を各国に渡す?・・・雪の国でも取れそうな野菜とかあるよね・・・ほら、北国の方がおいしい!的な・・・」


『ああ、あるよねー!俺はねー、きりたんぽとかー、南部せんべいとかー、かもめのたまごとかー、仙台牛とかー・・・』


 カナン様・・・今度から電波ジャックと呼んでいいですか。っていうか、東北名物ですね。私も好きです。


『・・・ごめんなさい』


「突如話しかけられるの、びっくりするんですからね」


『いやぁ、だってさぁ・・・ユメちゃんがヤンデレ怖いって叫んでるの聞こえて、あ、そうだ。彼がヤンデレだけど大丈夫かなぁって心配になってさー・・・』


 ヤンデレ・・・いたの!?あの中に!?


「ちょ、だ、誰ですか!!ヤンデレ!!」


『えー?錬君。・・・ホラ、病弱でデレてたでしょ?』


 ―――ん?ちょっと待て。まさか、カナン様・・・ヤンデレの意味を勘違いしてる??


「カナン様?・・・ヤンデレって病気がちの人がデレるんじゃなくて・・・あー・・・例えば、君が僕の方を見ないなら殺しちゃう~的な、危険発言しつつデレる人をいうんですが・・・」


『え?・・・そうなの?』


「錬さんの場合は、病弱末っ子のテンプレですね・・・」


 本気でヤンデレだと思って仕込んだのが、病弱末っ子とか・・・うーん、一応テンプレを外さないのはさすが。


『いやぁ・・・』


「褒めてないです!!・・・もう、遊び半分で病弱にさせたらだめですよ!!」


『遊び半分っていうか・・・まぁ、死なない病気っていうか、不可抗力なんだよ、彼の病気』


 不可抗力・・・?


『うん、つまりね?彼はその身体に内包する力が半端ないわけだ。さすがに生まれてくる子達全てを改造してるわけじゃないからね?』


「あ、わかってます・・・そこまでカナン様も暇じゃないですよね」


『そういうこと。・・・つまりさぁ、雪の国の彼は内包しているだけで外に出せない力のせいで病気のように見えてるっていうことなんだけど・・・これ、たまに俺が作った他の世界の住人にも見られる症状でね、魔力内包症って俺達は呼んでるんだけど』


 魔力内包症・・・表に出せない力・・・熱中症の魔力版みたいなものかな?


『そうだね、体内の熱が発散されないってあたりが』


「どうにもならないんですか?」


『んー、この世界に限って言うなら、ユメちゃんが何とかできるんじゃない?』


「私の“コトノハ”で?」


『そういうこと。まぁ、他の世界についてもいろいろと試行錯誤してる最中だから、ユメちゃんも何か良い手立てを思いついたら教えてね!・・・あ、じゃあもう俺、行くから』


「はい。・・・まぁ、また言い忘れてたことがあったりしたら、時間のある時にいらしてくださいね」


 うん、基本的にカナン様の大丈夫は信用しないことにしたから。


『あははー・・・うん、わかった』


 たぶん苦笑いでもうかべただろうカナン様からの返答があり、通信が切れるようにプツリと繋がりが切れた感覚が残る。


 はぁ、まさかの弊害。まぁ、本当の意味でのヤンデレじゃなくて良かったけど・・・なんか、宿題が増えた。

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